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東大も滑り止め?世界で勝ち目のない日本の大学が目指すべき方向

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合格者の7割近くが東大を断って外国の有力大学に進学

留学生を対象に入学試験と授業を英語で実施する東大の教養学部英語コース(Programs in English at Komaba:PEAK)の入学辞退率が年々高まり、2014年度の合格者の7割近くが東大を断って外国の有力大学に進学しました。これについて、国内のメディアは、「あの東大が滑り止めにされた」と驚きをもって報じています。確かに、入学率はコース開設の2012年度(7割)から13年度が5割、そして昨年度が3割と年々下がっています。

しかし、入学者の実数は3年連続20人台で推移していますし、受験者数はむしろ増えています(2012年度238人、14年度262人)。入学辞退率が年々上昇していることだけで東大の人気が下がったと結論付けるのは、早計ではないでしょうか。むしろ、毎年3,000人超の学部学生が入学する中で、その1%にも満たない人数にしか英語で授業を提供できるキャパシティーがないことに危機感を持つべきです。

外国人教員や留学生の数を増やして英語で授業をすることだけが「国際化」であるとは思いませんが、これではいくらスーパーグローバル大学のトップ校に選定されたところで、絵に描いた餅です。

3割入学はむしろ善戦

そもそも、日本では学歴ピラミッドの頂点にある東大ですが、世界的な大学ランキングでは20~30位程度にしか評価されていません。「Todai」ブランドが通用するのは、欧米仕様の世界地図では右端に位置する小さな島国だけの話で、東大を蹴って他の大学に入学する学生がいることに驚くのは、大海を知らない井の中の蛙である日本人だけです。そんな中で東大に入学するのは、よほどの「日本オタク」しかいないと考えたほうが良いでしょう。そういう意味では、3割入学はむしろ善戦といえるのかもしれません。

優秀な留学生を獲得するためには、欧米と比較して見劣りする奨学金制度を拡充すべきなどという声もあるようですが、的外れの意見です。外国人にとって快適とは言い難い居住環境など、受け入れ体制の不備も日本への留学生が少ない理由の一つでしょう。

しかし、本質的な課題はそうした表面的なことではなく、プログラム内容そのものにあるように思えます。東大PEAKのコース概要をHPで確認しましたが、ただ単に教養課程の授業を英語に翻訳したようなごく一般的な内容です。もっと日本の大学でしか勉強できない分野にピンポイントで特化し、特色を打ち出すべきです。

欧米の有力大学と同じような分野で競争しても勝ち目はない

私自身が30年前に日本の大学を中退してアメリカへ留学した最大の理由は、専攻の国際政治を勉強するのであれば、世界の政治経済の中心であるアメリカが最適であると考えたからです。本来、わざわざ海外へ留学するのは、専攻分野が母国では勉強できないか、または留学した方がより深く勉強できる環境が整っている場合です。

そう考えれば、日本への留学生を増やす方策はおのずと見えてくるでしょう。今から欧米の有力大学と同じような分野で競争しても勝ち目はありません。

日本でしか勉強できないこと、または日本が最も進んでいる分野とは一体何でしょうか。海外で評価が高い日本独自の文化や技術にヒントがあるような気がします。例えば、アニメや漫画、映画などの映像、城や庭園、盆栽まで含めた日本建築、村上春樹に代表される現代文学、いまや世界中どこへ行っても食べられる寿司やラーメンなどの和食を支える食品開発などです。こういった分野で東大がコースを開設するとは思えませんが、学生数の減少で留学生に期待する地方の中堅私立大学の起死回生策として一考されてはいかがでしょうか。

(小松 健司/個別指導塾塾長)

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