起業家の希望「クラウドファンディング」を知る
創業のための資金繰り支援にはやや手薄い予算案
平成26年度補正予算案、平成27年度予算案が1月21日に発表されました。中小企業支援の大部分が、モノづくり(1,150億円)や省エネ設備導入補助(930億円)、小規模事業者の持続化支援(250億円)、既存企業の資金繰りや事業承継(1,380億円)などに振り分けられ、創業や小規模事業者の発展のための資金繰り支援にはやや手薄い予算案となりました。
小規模事業者がどのように事業を発展させることができるか、最適な手段を選択する目利きが必要な年となりそうです。
手軽に資金調達できる手法「クラウドファンディング」に脚光
「アイデアはある」「ファイトはある」「体力はある」。これらを強みにどんなに起業を熱望しようと、しかるべき「資金」を調達しない限り、いずれも事業を興すことはできません。
現実的な方法論として資金調達するためには、(1)自分で貯める、(2)親や親せき縁者から借りる、(3)金融機関から借入をする、といった手法を取ることが多いと思われます。しかし、どれも、自分で貯めるには時間を要する、親や親せき縁者が事業に口を出す、金融機関はそもそも信用してくれない、などのハードルや懸念点もあります。
そこで、近年、手軽に資金調達できる手法として「クラウドファンディング」が注目を集めています。
世界的にもベンチャー企業の発展の一翼を担う
クラウドファンディングとは、自らのアイデアをネット上で公表して共感者を得て、出資してもらうことをいいます。群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語です。東日本大震災で被災した事業者が、国の支援を待たずに自力で資金を調達し事業を再生したことで、日本でも注目され始めました。1万円の出資で、宮城県産の牡蠣を数年間、送ってもらった人もいるかもしれません。これも一種のクラウドファンディングなのです。
世界的にも日本国内においても、ゲーム制作会社などの商品開発の資金に使われるなど、ベンチャー企業の発展の一翼を担っています。
起業家と投資家の双方に険しい一面も
ただし、夢のような手段には、起業家や投資家ともに、その険しさがあることも知っておいた方が良いでしょう。事業者は、自身のアイデアが未熟であったり、プレゼンテーション能力が低い場合には資金調達ができません。
また、投資家側もリスクが無いとはいえません。自身の大切なお金を企業の成長に役立てようと思っていたにもかかわらず、その事業が失敗し水泡に帰す場合があることも考慮しなければならないでしょう。
クラウドファンディングには、(1)投資型(2)寄付型(3)購入型の3種類があります。最もゲイン(利得)が多いとされているのは投資型。また、寄付型は、そもそも寄付であるという理由づけができ、商品の購入と割り切ることができる購入型も、もしも投資した事業に継続性の問題(破綻)が起こったとしても、投資家自身が納得できる理由が持てると思われます。
しかし、クラウドファンディングが未成熟の日本だからこそ、この手法が発展する余地を持っているといえます。
(山根 敏秀/税理士)
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