「スマホに子守り」育ちをゆがめる危険

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「スマホに子守り」育ちをゆがめる危険

子どもを静かにさせるため、スマホを与える保護者が続出

今、子どもを静かにさせるという目的で、保護者がスマホを与えるという場面をしばしば目にします。「スマホに子守をさせないで!」は(社)日本小児科医会によるポスターのタイトルです。

その中で「×」として、次のことが挙げられています。

(1)むずかる赤ちゃんにアプリで応えることは、赤ちゃんの育ちをゆがめる可能性があります。
(2)親子の会話や体験を共有する時間が奪われてしまいます
(3)親がスマホに夢中で赤ちゃんの興味、関心を無視しています。赤ちゃんの安全に気配りができていません。

また、「〇」として、次のことが挙げられています。

(1)赤ちゃんと目と目を合わせ、語りかけることで赤ちゃんの安心感と親子の愛着が育まれます。
(2)親子が同じものに向き合って過ごす絵本の読み聞かせは、親子がともに育つ大切な時間です。
(3)散歩、外遊びなどで親と一緒に過ごすことは 子どもの体力・運動能力、五感、共感力を育みます。

日本小児科医会、メディアへの接触総時間は2時間までと提言

さらに この(社)日本小児科医会では2004年に“「子どもとメディア」の問題に対する提言”を発表しています(メディアとは テレビ、ビデオ、テレビゲーム、携帯用ゲーム、インターネット、携帯電話など)。この中ですべてのメディアへの接触総時間は、2時間までとしています。

この提言は、医療の現場において「心身の発達の遅れや歪みが生じた子ども」を診察されている事実からなされたものです。10年前のものですので、当時、スマホはまだありませんでした。スマホが普及して、メディアに接する機会が一層増えたことを考えると、この提言は生きているものと考えます。

また、仙台市は東北大学と協力し、平成25年に仙台市標準学力検査、生活・学習状況調査を市内2万4千人の中学生対象に行いました。その結果報告から作られた家庭向けのパンフには「スマホや携帯の使用時間は1時間以内」とあります。

「親との温かい関わり」が無いと、後で様々な症状に苦しむ

子どもの脳は、生後数年間の間に著しく発達します。その時期に入る情報は記憶の神経に蓄えられます。私はトラウマ治療をする中で 小学生から60代までの人々に会いますが、子ども時代に得られるはずの「親との温かい関わり」「安全で安心できる居場所」が無かったことが、様々な苦しい症状につながっています。

ゲームやアプリの内容によっては、子どもの言葉、知識、意欲を育てることにつながります。使用時間と内容の検討を、10年後、20年後という「子どもの未来」に思いを馳せてお願いしたいと思います。

(福田 育子/心理カウンセラー)

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