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「貧困層から世界を動かすリーダーを育てたい」 軽井沢の高校運営に奔走する2児の母

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2014年10月23日放送の「カンブリア宮殿」(テレビ東京)は、世界の貧困・格差問題を是正するために「世の中を変える力をもつリーダー」を育てる学校を日本に設立した二児の母、小林りん代表理事(39)を紹介した。

経済成長が著しいといわれるフィリピンでも、約4割が貧困層。東アフリカのソマリアでは、30年に渡る内戦や干ばつで100万人が難民となっている。インドでは階級差がいまだ根強く残り、女性には平等な権利が与えられていない。そしてそれらの問題に、世界を動かす多くの富裕層は無関心なのが現実だ。
講師は海外から集まった12人の精鋭たち

今年8月、小林さんが資金集めから6年がかりで長野県軽井沢に設立したのは「インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢」、通称ISAK(アイザック)という高等学校だ。文部科学省認可の高校だが、全寮制で授業は全て英語で行われる。

1学年49人のうち日本人は18人で、ほかは世界15各国から集まった留学生たちだ。貧しい家庭の子どもでも平等に学べるように、返済義務のない奨学金制度も整っている。ISAK設立の目的を、小林さんはこう語る。

「『リーダーを育てる』というと、政治家養成塾や大きな会社のCEOをイメージされがちですが、必ずしもそうではなくて、変革できるリーダー、どんな立場・分野でもいいので、新しい価値観を世の中に出していける人を輩出したい」

教師陣は、海外の名門インターナショナルスクールで活躍していた12人の精鋭たちだ。待遇のよかった職を捨て、家族と共に軽井沢の寮で暮らしている。マレーシアから来たコックミン・リー氏は、「前職と比べて給料は3分の1に減りました。でもお金じゃありません。これはチャレンジです。ISAKでの新しい教育に賭けたんです」と明るい表情で話した。

小林さんは日本の高校の方針に疑問を持って中退し、カナダに留学した。夏休みにメキシコ出身の友人に招待され家を訪ねたとき、その貧しさに衝撃を受けたという。15畳に家族全員で住み、ドラム缶に雨水をためて洗濯板で洗う。友人だけが奨学金をもらって高校に行っており、勉強熱心で英語も堪能なお兄さんは、自動車の整備工をやっていた。

日本に育ち、勉強すれば一般的な家庭でも学校に行けて当たり前、家や両親がいて当たり前だと思っていたことが、世界全体で見たら恵まれていたことを初めて痛感したという。
リーマンショック乗り越え、寄付は14億円に

その後、小林さんは東大経済学部を卒業し、外資系の大手証券会社などに勤務。30歳でユニセフの職員としてフィリピンに赴任し、ストリートチルドレンの教育支援に携わった。青空教室を行いながら、貧富の差に激しい疑問が沸いてきたと小林さんは語る。

「振り返ると、反対側にはものすごい富裕層が結構な人数いて、その人たちが国を動かしていて、私の目の前にいるストリートチルドレンとの間にはものすごい格差があった。貧困層教育と同時に、変革を起こせる人たちが財界や政界にも出てこないと、社会構造が変わらないと思った」

発起人代表の谷家衛氏と出会い、学校設立を決意。しかし、決まっていた寄付はリーマンショックで取り消され、4000もの企業に協力を依頼して回ったが、資金は1年以上全く集まらなかった。

しかも長男が生まれて間もないころ、泣いて母親を求める時期だった。村上龍が「そんな困難を乗り越えられた原動力とは何か」を尋ねると、こう答えていた。

「行く先々で、お金を出していただけたかは別として、『これはいいね』『絶対必要だよね』とたくさんの人が言ってくれた」

ニーズは間違いなくそこにあり、方向性は間違っていないと感じたそうだ。実際、2010年夏にサマースクールを開催し実績を重ねるようになってから、事態が好転しはじめた。今では多くの賛同者を得て、14億円の寄付が集まるまでになった。
出産、育児経験で「次世代という言葉に実感」

小林さんは、このプロジェクトが家族の協力なしには実現できなかったこと、出産がこのプロジェクトの間にあって良かったと語った。

「それまでは、自分が高校生だった時の体験に近づけて考えていたのが、(出産や子育てによって)『子どもたちが大人になった時の社会はどうなるんだろう』と考え方がシフトしていった。『次世代』という言葉が実感を持って感じられるようになったのは大きい」

日本女性の場合、子どもを持つことが仕事をする上で大きな負担になる場合も多いが、子どもたちが生きる未来を少しでも明るく変えようとする熱意は、結果的に増したようだ。何があってもやるべきことからブレないという強い姿勢が感じられる。

各界から注目される学校ではあるが、何かの結果がすぐに表れるというわけでもない。今は学ぶこと、異文化に触れ前向きに勉強を楽しんでいる様子の若者が日本にいる、ということを喜びたい。そして、そんな場を作った小林さんは、それだけでとても尊い仕事をされたと思う。(ライター:okei)

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