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仮装社会コラム 同じことでも違う感じに?(中部大学教授 武田邦彦)

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今回は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。

仮装社会コラム 同じことでも違う感じに?(中部大学教授 武田邦彦)

同じ言葉で同じ意味に使っても、時代や社会が変わると、違う目的、異なる意味になることがあります。その一つが「省エネルギー(省エネ)」です。

高度成長時代、省エネは生産量を上げ、資源を多く使うためにもっとも大切なことでした。後に、省エネが資源の節約の意味を持つようになったとき、私は違和感がありました。「なぜ、省エネが資源を節約するの?」と感じたからです。

たとえば「冷蔵庫の生産と使用」を考えます。冷蔵庫を生産するとき、電気や石油をどのぐらい使うかというのは「原単位」というややいかめしい言葉を使います。製品を1キログラム作るのに電気を何キロワット使うかということですが、わかりやすく、冷蔵庫を一台作るのに電気をいくら使うということと同じです。

今、冷蔵庫を10万円として、製造の時に一台あたり1万円の電気や石油を使うとします。生産を効率的にして省エネを達成し、1台あたり5000円でできるようになると、1台の値段が95000円になりますから、その会社が1億円で冷蔵庫を生産しようとしていたとき、最初は1000台しか製造できなかったのが、省エネ後は1052台になります。

つまり省エネをすることによって、その会社は同じ資金で52台も余計に生産できるようになるので、省エネは会社にメリットをもたらし、生産量を増やし、資源を余計に使うようになります。これが高度成長の時の省エネでした。(増産しても売れることが前提)

ところが、環境の時代になると、180度変わって、「省エネは省資源になる」と言われるようになったのです。その理由を聞いてみると、10万円の冷蔵庫で、それまで1万円の電気と石油を使っていたのに、それが5000円で済むようになると、その分だけ電気や石油を使わなくなるというのです。つまり、冷蔵庫の値段が下がっても冷蔵庫の売れる量は同じだから、資源が節約されるというのです。

そうすると、企業は売上高が1億円から9500万円にさがります。一方、冷蔵庫を使う方は、買う値段が下がり(5000円手元に残り、10年使えば1年あたり500円)、電気も省エネになっていると、電気代も下がる(たとえば500円)ので、合計1000円だけ余ります。

企業は売上が減り、個人はお金があまる・・・その結果、デフレになり、企業はお金を借りないから銀行が国債を買って赤字国債になり、消費税があがる・・・ということになって、アベノミクスが始まったのです。

つまり、個人から見ると1000円あまるのですが、「地球のことを考えて1000円を捨てる」という決断はつかず、結局、自分の代わりに政府が使って政府の借金になり、それをもう一度、消費税として取られるという悲惨なことになったのです。

個人があまった1000円は、その個人が使っても政府が使っても「資源の消費」という点では同じです。だから個人サイドでは「省エネ」は省資源にはなりません。また企業は販売量が減って売上が下がると経営が悪くなりますので、なにか別のことをするようになるので、これも同じです。

またあまりここでは深く考えませんが、日本だけを見ると「もう冷蔵庫はいらない」ということになりますが、世界の5分の4の人は冷蔵庫が欲しいのです。自分だけの事を考えるというのは環境とか省資源という考えとは遠く離れたものでした。

執筆: この記事は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2014年10月15日時点のものです。

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