リーガ2強バルサ・レアルを倒した男 シメオネの哲学

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リーガ2強バルサ・レアルを倒した男 シメオネの哲学

 サッカーが好きな人であれば、リーガ・エスパニョーラのアトレティコ・マドリーを指揮する“チョロ”ことディエゴ・シメオネの名前を聞いたことがあるはずです。
 レアル・マドリーとFCバルセロナという圧倒的な資金力を持つ世界的ビッグクラブが優勝を独占してきたリーガ・エスパニョーラのなかで、アトレティコ・マドリードは決して環境に恵まれているとはいえません。それでも、2013-14シーズンで18年ぶりに優勝を勝ち取った要因として、シメオネの卓越したリーダーシップと指導力がクローズアップされ、彼の手法は「弱者の兵法」として、スポーツの世界以外でも高く評価されているのです。
 『シメオネ超効果 リーダーの言葉で今あるチームは強くなる』(ディエゴ・シメオネ/著、木村浩嗣/訳、ソル・メディア/刊)は、監督しての彼の「イズム」がつづられ、無類の勝負強さの秘密に迫ります。

■聞く耳を持つ者、持たない者の扱い方を知る
 サッカーに限らず、プロスポーツ選手は自分の才能に強烈な自負を持つ人物ばかり。監督のいうことをきちんと聞く選手ばかりではなく、反抗的な選手も多々います。プロスポーツチームの監督の仕事とは、そんな海千山千の猛者たちを一つにまとめるのが全てといってもいいかもしれません。
 もちろん、反抗的な選手は外して、自分の指示通りに動く選手だけで戦うというのも一つの手段でしょう。しかし、監督との相性で選手を切り捨てずに、全員の能力を結集できるチームの方が強いというのもまた事実です。
 シメオネも「反抗的な選手が好きだ」と言いきり、彼らの力を引き出すのも監督の仕事だとしています。選手それぞれのパーソナリティを把握して、一人一人の扱い方を把握することで、全員に監督の意見や指示が通る状態を作りあげることが、チーム強化につながると知っているのです。

■コントロールできないものに時間を費やすのは無駄だ
 物事には自分がコントロールできるものと、自分ではどうにもならないものがあります。
 たとえば、サッカーの監督であれば、自軍の選手のプレーについてはある程度コントロールできますから、勝つために最善を尽くします。
 しかし、サッカーにはオフサイドやファウルの判定など、非常に判断の難しい場面が多々あり、このような場面を審判がどう裁くかというのは、選手や監督にコントロールできることではありません。
 たとえ、審判が自軍に不利な判定をしたとしても、それにいちいち不満を持っていたら集中力が保てません。こういったことは「当然起こりうることで、自分にはどうしようもないこと」として、すぐに気持ちを切り替えることが大事だと、シメオネは選手に指導しているといいます。

■監督として感じるのは大きな虚無である
 自分の選手がゴールを決めても、チームが大きなタイトルを獲得しても、シメオネが選手と一緒に喜びを爆発させることはほとんどありません。
 選手が自分やチームの成功を喜ぶのは当然ですが、監督としては、成功の瞬間からすでに「次の成功を手にするまでの困難さ」に気持ちが行ってしまい、それゆえに成功そのものにはどうしても無感動になってしまうといいます。
 喜ぶ選手たちの横で一人蚊帳の外。スポーツに限らず、リーダーとは案外こんなものなのかもしれませんね。

 常に弱者の立場から、強豪チームに挑みつづけるシメオネの哲学には、すべてのリーダーにとって役立つヒントが散りばめられています。
 ビジネスの世界もサッカーの世界も、周りは強敵揃いという点では同じ。そこから抜きんでるために、彼の言葉に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。
(新刊JP編集部)


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