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契約社員にも「異動先」を確保してほしい 経験もスキルも正社員より上なのに

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Aさんは、精密機器の組み立てラインで働く30代の契約社員。工場長から「頑張れば正社員になれる」と言われながら勤続4年目となるが、いっこうになれる気配がない。

ラインにはジョブローテーションの一環として、毎年20代の若手正社員が配属されてくるが、そのときはAさんが教育係として、仕事のやり方や進め方を教えている。現場ではすでに「ベテラン格」扱いだ。
異動もないまま4年も同じ工場で頑張ってきた
なぜ正社員だけが…

ところが会社は、工場の海外移転に伴い、Aさんとの契約を今年いっぱいで打ち切りたいと申し出てきた。教育係を務めるなど社員以上の働きをしてきたつもりのAさんには、まさに晴天の霹靂だ。

一方、同じラインで働いている若手正社員たちは、別の工場や営業所などに異動するという。

「自分より劣った経験やスキルしかない人たちが、正社員という身分だけで優遇されるのは理解できない」

そこでAさんは、会社に対し「自分も別の部署に異動してもいいから、何らかの形で雇用契約を継続してほしい」と要望を出せないかと考えている。職場の法律問題に詳しいアディーレ法律事務所の岩沙好幸弁護士に聞いてみた。

――契約社員の方は、常に雇用に対する不安を抱えていらっしゃいます。今回のご相談者の方は、異動もないまま4年も同じ工場で頑張って働いていたにもかかわらず、会社は契約を打ち切りました。経験やスキルはあるにもかかわらず、正社員でないからとの理由だけで扱いが違うのは納得できませんよね。
「配転させなければならない義務」は認められにくい

まず、異動(配転)について考えてみましょう。配転とは、従業員の配置の変更で、職種内容または勤務地が相当の長期にわたって変更されるものをいいます。

労働者をどこのポジションで働かせるかについては、会社に広範な裁量権があります。しかし、労働契約上、配転命令権の根拠がない場合、法令違反などがある場合、権利の濫用と認められる場合は、配転命令は違法となります。

このように、違法な配転については争うことは可能ですが、配転しないことを争うのはかなりハードルが高いです。会社には配転する権利はありますが、配転させなければならない義務は認められにくいからです。

これに対して、契約の打ち切りを争うことは可能です。ご相談者の方が、契約更新を希望しているにもかかわらず、会社が更新を一方的に拒絶したのであれば、いわゆる「雇止め」の問題となります。

雇止めが有効か否かは、(1)雇用の臨時性、(2)更新の回数、(3)雇用の通算期間、(4)契約期間管理の状況、(5)雇用継続の期待をもたせる言動や制度の有無、(6)労働者の継続雇用に対する期待の相当性を考慮して判断されます。
「契約打ち切り」を言われても諦めないで

今回のケースでは、雇用の通算期間が4年と長いので、更新の回数や、会社が雇用継続の期待をもたせるような言動したか否かによっては、雇止めを争うことが可能です。なので、会社から契約の打ち切りを言われた場合でも、あきらめないでくださいね。

人件費を調整する手段として、会社は契約社員を雇止めしますが、そううまくはいかないのがこの世の中です。法律がしっかり労働者を守ってくれているんです。

なお、平成25年4月1日以降に開始する有期の労働契約が対象ですが、期間が通算5年以上であれば労働者からの申し込みにより、無期の労働契約に転換できるようになりました。

このルールは、有期労働契約の濫用的な利用を抑制し、労働者の雇用の安定を図ることを目的としたものです。契約社員の雇用不安をなくすという意味で、とても評価に値する制度だと思います。

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【取材協力弁護士 プロフィール】

岩沙 好幸(いわさ よしゆき)
弁護士(東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業、首都大学東京法科大学院修了。弁護士法人アディーレ法律事務所。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物好きでフクロウを飼育中。近著に『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)。『弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ』も更新中。頼れる労働トラブル解決なら≪http://www.adire-roudou.jp/

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