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「日本人は働くことが好き」「移民受け入れは難しい」… ミスター円・榊原氏の考え方は古すぎるのか?

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7月19日放送のNHKスペシャルは、「”超”人手不足時代 どう変えるのか?ニッポンの働き方」と題した特集を組んだ。景気回復で人手不足に悩む企業がすでに増えているが、今後は構造的な問題が深刻化する可能性も指摘されている。

このテーマを議論すべく、番組には日本総研の藻谷浩介氏や、社会活動家の湯浅誠氏、評論家の宇野常寛氏、タレントのデーブ・スペクター氏らとともに、元大蔵官僚の榊原英資氏が登場し、持論を展開した。

「日本は非常に特殊な国」と強調

2013年10月現在の生産年齢人口は7901万人。総人口に占める割合は62.1%だが、20年後に56.6%にまで落ち込む試算もある。これに対処するために、政府は「全員参加型社会」を掲げる。生産年齢人口を補完する役割として注目が集まっているのは「外国人」と「女性」だ。

しかしこの政府方針を、世論は必ずしも歓迎しているとはいえない。たとえばNHKの世論調査(2014年4月)では、現在72万人いる外国人労働者の受け入れ増に「賛成」する人は20%にとどまり、「反対」は倍の40%だ。

73歳の榊原氏もこの調査結果と同様、疑問を投げかける。

「日本は非常に同質的で単一(民族)国家だった。いい意味でも悪い意味でも非常に特殊な国であるから、そう安易に移民を受け入れるのは難しい」

だが若い出演者は、こうした意見に共感できなかったようだ。36歳の家電ベンチャー企業社長、岩佐琢磨氏は、

「これまでそうやって来たが、今トラブってて、先が見えない。昔は良かったやり方が今ダメになったって気づいたんだから、何かアクションしなきゃいけない」

と反論。過去だけでなく、将来の解決を見据えた議論をすべきと主張した。これには藻谷氏がシンガポールを例に、単純に移民を増やしても出生率が上がらない限り生産年齢人口は増えず、高齢化問題は解決しないと指摘した。

「子どもの送り迎えで帰る、って言えないよ」

榊原氏はその後も、どちらかというと守旧的な立場で意見を述べる立場に回っている。女性の社会参加を促し「子どもを産める環境」をつくろうというテーマでも、男性の子育て参加や保育への支援について、

「たとえば(男性が)17時に子どもの送り迎えがあるから帰りますって、それを日本の大企業に言えるかっていえば言えないよ、それは」

と、従来型の性別役割分担を擁護。子育てに対する国の支援についても、

「フランスとかドイツのように保育や子育てにお金を入れるためには、消費税20%、25%にしなきゃいけない。それは国民の選択です。税金を安くして、福祉を充実すると両方を求めるのは無理」

とハードルの高さを強調した。これには45歳の湯浅誠氏も、榊原氏の後ろ向きとも取れる姿勢に異論を提示している。

「さっきの外国人労働者の話では、日本文化を言い訳にそれは無理だといい、女性の社会参加は、企業文化を言い訳に無理だという。しかし、そこに踏み込んで、いかに変わっていくかだと思う」

評論家の宇野常寛氏(36)は榊原氏の問題意識を認めつつ、日本企業は「男の人がなかなか帰れない文化や空気がある」点には批判的だ。

団塊世代も「仕事は苦痛じゃない」と同調

藻谷氏も「40年間で子どもが現に半分になっている。仕事だから重要だといっている経営者・リーダーは頭が極端に偏りすぎている」と変化を促し、男性が働き過ぎれば日本は滅びると主張したが、榊原氏は持論を曲げない。

「いやいや、日本人は働くことが好きで、働くことをエンジョイしているんだよ。それは間違っちゃいけない」

これには「団塊世代」を自称する会場の男性(63)からも、「仕事を苦痛だと思ったことなんかない」と榊原氏に同調する声があがった。一方、若い世代の出演者からは、

「それはオールドタイプの日本人ですよ。ホントはみんな働きたくない」
「仕事以外のアイデンティティが持てないってこと」

と批判の槍玉にあげられていた。

榊原氏の意見が過去のものであることは確かだろう。しかし現実の問題を解決し、上滑りでない議論をするためには、過去と現在の「事実」を踏まえることも大切だ。いずれ時間が経てば否定され乗り越えられるとしても、番組であえて「オールドタイプ」を貫いた榊原氏の主張は、興味深いものだったのではないか。

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