時代によって異なる事実、教科書の今昔

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新事実の発見で書き換わる歴史の教科書

教科書新事実

先日、「本能寺の変」についての新事実が発見されたとニュースになりました。「本能寺の変はなぜ起きたのか?」という謎の解明に一役買いそうな話です。もしかしたら、何年か後には小学生や中学生の教科書が変更されているかもしれません。実は、日本の教科書はこのような新事実の発見などの理由で、何度も内容が変わっています。

一番有名なのは、やはり歴史の教科書でしょうか。新しい事実が発見されるたび、歴史の教科書は少しずつ改訂が繰り返されてきました。例えば、「富本銭」と「和同開珎」。どれほど流通していたのかなど、まだ学説が分かれていますが、日本最古の貨幣は和同開珎ではなく、富本銭の可能性が高いようです。私もニュースで見て、とても驚いたことを覚えています。

次は鎌倉幕府。みなさん、語呂合わせで「イイクニ(1192)つくろう鎌倉幕府」と習った方も多いはずです。しかし、今は「イイハコ(1185)つくろう」に変更されています。1185年、源頼朝が朝廷に日本全国への守護・地頭の設置を認めさせ、壇ノ浦の戦いで平家を破ったのが年号だから、という理由のようです。

最後に「絵踏」と「踏絵」。たいして違いは無いように思えますが、実際は「踏ませたもの」と「踏ませるという行為」との違いがあり、今は別々の意味として記載されています。ちなみに、私は中学生に教える際、うかつにも旧表記の「踏絵」で教えてしまい、慌てて訂正する羽目になったことがあります。他にも「仁徳天皇陵」から「大仙古墳」へ、「聖徳太子」から「厩戸皇子」へなど、歴史の教科書にはいくつかの変更が加えられてきました。

算数の教科書は学習指導要領によって激変

さて、歴史だけでは面白くないので、次は算数の教科書について。これは、新事実の発見が原因というわけではありませんが、実は劇的に変化したことがあります。よく「うちの子、計算は得意だけど文章問題ができなくて…」と悩んでいる母親がいますが、実は、その原因となった教科書の変更が過去にありました。昭和26年の学習指導要領を最後に改訂された、小学校1年生の教科書がそれに当たります。

当時使われていた通称「緑表紙」と呼ばれる教科書には、算数の説明などはあまり書かれず、先生が絵や図を使って「長い・短い」「より~・一番~」「違いは・あわせて」など200個あまりある「算数のことば」を教えていました。現在のような計算式などの学習ではなく、あくまでことばの学習で「国語」に近いものがあったかもしれません。この「算数のことば」は、日常生活に密着した人間にとって必須な概念ばかりなのですが、今ではこの「算数のことば」は指導要領から削除されています。

もちろん、現在の教科書にもいくつか出てきますが、学校の先生が意識して教えることはなくなっています。昔の指導要領はインターネットで探せばすぐに見つけられますから、文章問題を得意にさせたい母親は探してみると良いでしょう。このように、歴史にしろ算数にしろ、教科書というものはどんどん新しく更新されています。たまには最新の教科書を読んでみて、昔との違いを見つけてみるのも面白いかもしれません。

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