熱中症対策に潜む虫歯多発リスク

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歯科医療から見ると、スポーツドリンクは虫歯をつくる危険な飲み物

熱中症対策に潜む虫歯多発リスク

脱水症状を起こしやすくなる夏、外出時や運動時に水やお茶などでこまめに水分補給を心がけるのは、もはや常識になっています。中でも、発汗時に失われる様々な成分が手軽に補給できて、味も飲みやすいために重宝されている飲み物と言えば「スポーツドリンク」です。
夏場の運動時の水分補給や熱中症予防のために、スポーツドリンクを愛飲する人が増えています。水分以外にも、糖分や電解質をスムーズに補給できるとあって、大変優れた飲料ですが、歯科医療の面から見ると、虫歯になりやすい危険な飲み物とも言えます。

ダラダラと長時間にわたって飲み続けると、虫歯菌を増やす原因に

さっぱりとさわやかな風味のスポーツドリンクにも、意外とたくさんの糖質が含まれています。例えば、ポカリスエットには23g、アクエリアスだと21g、板チョコで1枚分に相当する糖分が含まれているのです。したがって、運動時のエネルギー補給の意味で糖分は役立ちますが、就寝前に飲んでそのまま寝てしまったり、ダラダラと長時間にわたって飲み続けたりすると、虫歯菌を増やす原因になります。
さらに、虫歯菌は糖分を摂取し、代謝産物として酸を作って歯を溶かします。虫歯菌の酸は唾液が中和してその働きを弱めますが、そこにクエン酸やアミノ酸などの酸を含むスポーツドリンクが加わると唾液の中和作用が弱くなります。口の中は酸性に傾き、虫歯菌の働きを後押しするため、歯が溶かされやすくなります。糖分が多く含まれていない「イオン飲料」などでも、pHは3.6~4.6とかなり低く、pH5.4以下では歯の表面のエナメル質が溶け始めるため、イオン飲料が口の中に留まっていると「虫歯の原因になりうる」とされています。

睡眠時に唾液分泌が少ない子どもは、就寝前に飲むのを控える

運動時や発汗時の水分やエネルギーの補給、疲労回復には良い飲み物ですが、特に糖分を必要としない場面であれば、お茶にした方が無難です。また、小分けにして少しずつ飲む場合には、面倒でもその都度、口をすすぐことをお勧めします。
特に子どもの場合、唾液の分泌の少ない就寝中が虫歯になりやすく、寝る前にスポーツドリンクを飲む習慣や、長時間にわたるダラダラ飲みが、虫歯の大量発生につながったケース(ランパントカリエス、ボトルカリエス症候群などとも言います)が多数報告されていますので、注意が必要です。

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