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“突然彼女にふられて”21歳男子が過疎の山村に移住! その結果…?

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 「地域おこし協力隊」という事業を知っているだろうか。2009年に制度化された総務省主管の事業だ。
 人口減少や高齢化などの進行が著しい地方で、地域外の人材を積極的に誘致して定住・定着を図り、「都会を離れて生活したい」「地域社会に貢献したい」といった意欲のある人たちのニーズに答えながら、地域力の維持・強化をはかっていくことを目的とした取り組みである。
 期間は1年から3年以下。地方自治体の委嘱を受け、地域で生活し、各種の地域活動を行う。
 そんな「地域おこし協力隊」に若干21歳の男子が挑戦することになった。

 『21歳男子、過疎の山村に住むことにしました』(水柿大地/著、岩波書店/刊)では、地域おこし協力隊として村に入った青年が、地元の人に学びながら、棚田再生、米つくりや炭焼きに取り組んでいく様子を紹介する一冊だ。

 水柿さんは大学2年の春、彼女に突然ふられた。「何がいけなくてふられたのか」と悩み、その原因を探した。ふられた直後から始まった自己分析は時が経つにつれ、「自分がいま取り組んでいること、大学入学時にもともと取り組みたかったことはなんだ?学生としての僕の過ごし方はこれでいいのか」といったことへと関心が変わっていく。
 水柿さんは農村における地域づくりを学ぶため、法政大学福祉学部福祉学科に所属していた。しかし、このときは大学のカリキュラムに沿って、事例などをもとに机上で学んでいるだけ。実際の現場の様子もわからないのに、「大学で地域づくりを学んできました」と言うことはできそうもなかった。そして、大学2年の終わりに、地方の現場に出るべく、大学休学を決意する。

 地方の現場を経験するために利用したのが、地域おこし協力隊だった。今でこそ常時10〜20の自治体の募集がかかっているが、この事業が始まって2年目の当時、募集をかけていたのは4つの自治体のみ。その中で唯一、山村での活動が入っている地域が岡山県美作市だった。
 岡山県美作市(旧・英田町)上山は、かつて8300枚もの棚田で米つくりが行われていた日本でも有数の棚田の里。しかし、日本のどの地域とも同じように、国の減反政策や押し寄せる高齢化の波によって、かつての棚田の姿は見る影を失くしつつある状態だった。

 無事、美作市地域おこし協力隊から採用の通知を受け、当初は10カ月のつもりで大学を休学し、過疎化が進んでいた美作市へ移り住む。美作市地域おこし協力隊に課せられている仕事は棚田の再生。地域おこし協力隊として、最初の仕事は「草刈り」だった。
 美作市での活動で出会った仲間たちや地元の人たち、米つくり、盆踊りの復活、古民家再生、カフェ作りなど、さまざまな活動をしていくうちに水柿氏は、すっかり上山の生活にハマっていく。10カ月の休学が、2年間の休学になり、3年目には東京と岡山を夜行バスで往復する生活を送り、無事に大学を卒業。現在も美作市上山で暮らしている。

 人口減少や高齢化によって過疎化してしまっている山村は多いが、意欲のある若者たちとその土地の高齢者たちの知恵や経験を合わせて、地域再生がうまくいっている山村もある。
 1人の青年を通して、過疎化してしまった山村の現状、地域おこし協力隊の活動の様子を読むことができる一冊だ。
(新刊JP編集部)



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