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「手塚治虫の奇妙な資料」(野口文雄)(メカAG)

生活・趣味
「手塚治虫の奇妙な資料」(野口文雄)(メカAG)

今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

「手塚治虫の奇妙な資料」(野口文雄)(メカAG)

「手塚治虫の奇妙な資料」という本、本棚を整理するために過去何度か捨てようと思ったのだが、そのたびに生き残っている、俺にとっては悩ましい本。

内容は手塚治虫マンガの研究なのだが、微に入り細を穿つマニアックさで、しかも取り上げている作品が初期のマイナーなものが多い。「ブラックジャック」とか「火の鳥」とかメジャーなものもあるけど、「来るべき世界」とか1951年だよね…。

雑誌連載時や単行本時、さらに単行本や全集収録時に変更された箇所を中心に比較し、どういう意図があったのかを分析している。

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むかしの雑誌は付録として小さな本が付いていることが少なくなかった。俺の世代でも「小学○年生」とかで、そういう形式は残っていたような気がする。B5版の雑誌の付録にB6版の小さな単行本がついている。

手塚治虫の初期の時代、本誌の連載の後半が付録の本に続いているものが少なくなかったらしい。つまりひとつのエピソードの前半がB5版の本誌に掲載され、後半がB6版の付録に掲載されている形式。

ここで問題になるのは手塚治虫の場合、B5版は4段組が基本だったが、B6版は3段組で描かれていること。B6版は小さいからコマ割りを大きくして読みやすくしたわけですな。

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ところがそれを単行本化する場合、同じサイズの本に収録しなければならない。まあそのまま収録してもいいと思うのだが、手塚治虫はそれをよしとせず、いろいろいじるのが好きだったらしい。

この本の著者はむしろ段組の混在はいいわけで、基本的に手塚治虫は一度自分が描いたマンガをあれこれ編集し直すのが好きだったのだという。

4段組を3段組に変えるとなると、単純にコマ割りを切り貼りするだけでは無理で、コマをトリミングしたり、逆に新たなコマを書き足したりしている。慣れると絵柄が微妙に違うので、書き足したコマがわかるらしい。

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…という話が延々と続いている。内容はすごく濃い。濃すぎて常人はついていけないんじゃないかと思うほど。書き方が、なんというか、下手というか、自己満足というか、読者置いてけぼりというか、率直にいいて読みにくいんだよね。

よくオタク同士が話しているような文体で、わざと不親切な説明をして、聞き返すと「あれ?そんなことをもしらないの?」みたいに言われているようで、読めば読むほどムカついてくる(笑)。

でもそれを補って余りあるほど内容。なので、なかなか捨てられない。絶版だし…。

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「鉄腕アトム」の「マッドマシーン」エピソード。クライマックスの対決シーンで、連載時は悪い博士はアトムを行動不能の状態まで追い詰めるが、それでも他のロボットを救おうと必死だったアトムの純真な目に心を打たれて、博士は自らマッドマシーンを破壊するという展開になっている。

ところが単行本時はこの部分が大幅に書き換えれ、博士がアトムを熱線銃で撃とうとして、誤ってマッドマシーンを壊してしまうといオチに変えられている。

話としては連載時の方が感動的なのだが、手塚治虫はこれが自分で気に入らず、マヌケな行動で自滅したストーリーにしてしまった。なかなか深い…。別な本で手塚治虫はアトムが「良い子」になっていくのが気に入っていなかったとか読んだ覚えがある。

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