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障害を偽ると、どんな罪に問われる?

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虚偽を知りながら診断書を作成すると「虚偽診断書等作成罪」

最近、ある作曲家の件が世間をにぎわせています。身体などに障害がないのにあるように装ったり、実際に障害を抱えているけれども、その程度を重く装ったりするなど、障害を偽る行為は一体どのような罪に問われるのでしょうか。障害を偽る過程に沿って見ていきます。

まず、地方自治体に障害者手帳の交付を求めるためには、指定医の診断書を添えて申請することになっています。障害を偽る行為は、自らの身体の状態について指定医師に虚偽の説明をし、内容虚偽の診断書を作成させることから始まります。医師が虚偽であることを知りながら、公務所に提出する診断書を作成した場合には「虚偽診断書等作成罪(刑法160条)」に問われることになります。この犯罪の主体は医師であり、しかも故意犯なので、医師がだまされて虚偽の診断書を作成してしまったということであれば、医師だけでなく、偽った人物もここまでの段階で罪に問われることはありません。

虚偽の診断書で障害者手帳の交付申請、「偽造私文書等行使罪」に

次に、そのような虚偽の診断書を利用して障害者手帳の交付申請をした場合は、虚偽診断書を利用・行使したものとして、その人物につき「偽造私文書等行使罪(同法161条1項)」に問われることになります。同時に、障害者手帳をだまし取ることになるので、「詐欺罪(同法246条1項)」に問われる可能性が出てきます。

また、障害年金などの受給申請をして実際に年金を受給するとなると、年金などをだまし取ることになるので、これも同じく詐欺罪に問われることになります。平成19年頃、北海道で虚偽の診断書を作成した医師と、生活保護の申請代行を行った社会保険労務士が、社会保険庁から約1億6800万円をだまし取ったとして詐欺罪で告訴され、最終的に実刑判決を受けた事件がありました。

さらに障害者手帳があれば、公共交通機関の運賃割引、NHK放送受信料減免など様々なサービスを受けることができます。偽りの障害により、本来支払うべき正規の料金の支払いを免れたとなると「財産上の不法の利益を得たもの」として、詐欺罪の一種である「詐欺利得罪(同法246条2項)」に問われることにもなります。

詐欺罪は「欺罔行為」「錯誤」「財物の交付」の因果関係が必要

最後に、健常者である芸術家が障害者であることを装い、そのようなハンディを抱えていることを自らの活動に有利に利用して作品を販売する行為も、詐欺罪に問われる余地が十分にあります。

ただ、詐欺罪は「欺罔行為(だます行為)」→「錯誤」→「財物の交付」といった因果関係が必要です。顧客において当該芸術家が「そのようなハンディを抱えている」ものと誤解し、それが購入の動機になったというのでなければ(たとえば、作品自体が素晴らしかったから購入したなどの場合)、「詐罔行為」はあっても「財産の交付」までの因果関係はないことになるので、詐欺未遂罪にとどまることになります。

また、実際に詐欺罪に問われる行為があったとしても、被害にあった人が被害届を出したり告訴したりしなければ、刑事責任を問われるということはないでしょう。

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