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若者たちを覆う“スクールカースト”の闇

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 「近頃の若者は付き合いが悪い。酒も飲まず、車も欲しがらず、スマホをいじってばかり。全くけしからん!」と叫ぶバブル世代の声が、メディアを通して聞こえてくることがある。しかし、当の20代の若者からすれば「オジサン、オバサン、あんたたちとは違うんだからさ、放っておいてよ」と言い返したくもなるだろう。

 『スクールカーストの闇 なぜ若者は便所飯をするのか』(和田秀樹/著、祥伝社/刊)の著者は現在50代、バリバリの「バブル世代」だ。
 現代の若者の倹約・安全志向を憂える著者の語り口に、バブル的価値観の押しつけを感じる若い読者もいるかもしれない。しかし本書は、単に現代の若者を批判するのではなく、若者とバブル世代との大きな温度差が生まれた要因について、教育・受験制度の変遷から分析を試みたものである。

 書籍名に出てくる「便所飯」とは、ランチを一緒にする友達がいないことを周りに知られないために、トイレの個室で食事をする行為だ。
 実際にこの行為が広く行われているかどうかはともかく、メディアでその伝説がまことしやかに語られ共感を得ていること自体が、若者の間で「友達のいない奴だと思われたくない」という心理が蔓延している証拠だ、と和田氏は言う。ではなぜ、若者は「友達がいない」と思われることを極端に怖がるのだろうか。

■友達が多い子が、いい子
 日本の学校では、なるべく生徒間の差別・競争を避け、全員を平等に扱おうとする風潮がしばらく前から続いてきた。これは、90年代初頭から頒布された新学習要領がいい例だ。通信簿の評価は生徒の習熟度ではなく、「授業で頑張ったかどうか」によって付けられるようになったのだ。そのため、成績がいい・スポーツが出来るといった能力評価よりも、積極性がある・みんなと仲良くできるといった人物評価が重視されるようになり、「明るくて友達の多い子が、すなわちいい子」という価値観が広がっていった。

■「3軍落ち」の恐怖
 人気者は「1軍」、普通なら「2軍」、いじめられっ子や嫌われ者は「3軍」という、クラス内での人気の序列を「スクールカースト」と呼ぶ。
 クラス内での人気は、空気を読む・場を盛り上げる、などといったコミュニケーション能力で決まることが多く、自分の努力で簡単に変えられるものではない。3軍だとみなされてしまえばクラス内ではずっと、そのポジションに置かれてしまう。そのため、生徒たちはこの3軍にならないように必死で空気を読み、「友達ごっこ」を繰り広げることになったと分析する。

■みんなと同じなら、安心
 嫌われることを極端に恐れる彼らは、大学や社会に入ってからも、他者との対立を極力避け、円満な人間関係を装うことに心を砕くことになる。
 嫌われない一番楽な方法は、本音を言わず、「みんなと同じ」でいることだ。若者は周りと同調することで安心するため、「出る杭」になることを恐れるようになってしまった。
 さらに、不景気の中将来への不安も手伝い、現代の若者は「みんなと同じ」「質素な生活」へと埋没してしいるのではないか。周囲の目を気にしすぎて息苦しさを感じるからこそ、便所飯というワードが出てくるのだろう、と著者は結論付ける。

 著者は、現代の若者に対し、バブル期と同じような物質的幸せを目指せと言っているのではない。「周りの目」を意識してクヨクヨするのではなく、自分の目標を見つけ、本音を語らうことのできるひとりの親友を持つことを目指すことがプラスになるのだ、と主張する。
 他人からの評価を気にしてばかりいることに疲れたら、この本を読んでみてほしい。同調圧力に押されていた自分に気が付いて、心が少し軽くなるはずだ。
(新刊JP編集部)



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