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子宮頸がんワクチンをめぐるあれこれ(その3)

政治・経済・社会
子宮頸がんワクチンをめぐるあれこれ(その3)

今回は鹿野 司さんのブログ『くねくね科学探検日記』からご寄稿いただきました。

子宮頸がんワクチンをめぐるあれこれ(その3)

予防接種については、強い不信感をもっていて、強硬に反対している人が少数だと思うけど存在している。

これは日本にもいるし、世界にもそういう感じの人がいる。そういう人が、強く主張すると、この問題にあまり詳しくない大半の人は、そうまで言う人がいるなら,ちょっとやめておこうかなってかんじになりがちじゃないかな。

なぜそうなのかというと、予防接種という概念そのものがあまり民主的じゃないというか、反自由であることと、歴史的な経緯とが絡んでいるんじゃないかと思うんだよね。

予防接種は何故受けるのかというと、大半の人は漠然と、自分や自分の子どもが、その病気に罹らないためという、自分と家族のお得感をまずイメージするんじゃないかと思う。実際、予防接種については、ずっとそう言う感じで受けると良いですよーなんていわれてきたんじゃないかな。

でも、実際には予防接種を受けても、その病気に罹ることはある。どんな予防接種も病気を100%防げるわけじゃない。

いろいろな病気で、接種しておけば、その病気に罹っても、軽くすむことは大いにありそうなことだけど、予防接種をしても病気に罹ってしまった人にとっては、やっぱり接種は無駄だという印象になっちゃうよね。軽くすんでいるかどうかは、本当のところはわからないんだから。

でも、予防接種のより重要な役目は、集団の中の大半の人が接種していれば、集団防御ができるってことだ。

予防接種の対象になる伝染病は、人から人に感染して広がっていく。つまり、免疫を持っている人が少ない集団では広がりやすいけど、圧倒的多数が免疫を持っている集団では、一人が感染しても次に感染が広がりにくいから、流行になりにくい。

予防接種には当然お金がかかるわけだけど、社会のほぼ全員に強制的に接種しておけば、その病気の流行を確実に防げる。一方、予防接種をしないで流行が起きてしまうと、一定の確率で重傷者や死亡者も出るし、その治療のために莫大な医療費がかかるし、その対応に追われると別の病気の治療に手が回らなくなる事まで起きかねない。

基本的に、予防接種しておいたほうが、結果的に社会の支払うコストがうんと安いから、予防接種が行われるわけだ。

こういうことは、戦前とかは自明の理みたいな感じで、どこの国でも義務接種を普通にやっていた。でも、それって、ちょっと軍隊方式ぽいというか、人間の自由意志を制限するわけで、時代が下るにつれて微妙な感じになってきている。

だから、けっこう長い間、集団接種の効用はあまりおおっぴらに宣伝されず、個人的なメリットの話が多くされてきたんじゃないかな。

さらに、義務接種でほぼ全員に接種すると、少数とはいえ、一定の確率で副反応が出るので、それをメディアが拾うと「事件」として問題になりやすい。日本では、1970年代くらいに「予防接種禍」ということで、メディアが大々的にキャンペーンを行って、それが今の義務接種をやめて、定期接種へと変わっていった背景にある。

時代的には、国家の強制で問題が起きたんだから、それをメディアが大々的にとり上げるのは、「国家権力の健全な監視」という意味でも肯定されたんだろうね。今から見ると、オレなんかは煽りすぎたんじゃないかなあって感じるけど、これも時代の雰囲気で他の選択肢はなかったんだろう。

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