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バイリンガル教育と帰国時期

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今回はWillyさんのブログ『統計学+ε: 米国留学・研究生活』からご寄稿いただきました。

バイリンガル教育と帰国時期

この7月でアメリカ生活も丸9年になり永住権も取得したが、大学の教員という比較的転職の多い職に就いていることもあり、どの時点で日本に帰国すると子供の教育はどうなるのか、ということをよく考える。
日本人家庭で、子供は生まれてからずっと、家では日本語、外では英語の生活をしていると想定すると、帰国時期によってその教育はどんな感じになるのだろうか。
個人差が大きいことは大前提として、実際に見て来た例やバイリンガル研究の結果などを参考にしつつ、独断と偏見で考えてみると、こんな感じになる。

小学校就学前に帰国:

英語はほとんど残らないと言われている。逆に言えば弊害もない。
ただし、私はこのパターンの子を知っているのだが、帰国時(4~5歳くらいだろうか)に兄弟で英語で話していたためか、あるいは、親や兄弟からの英語習得ノウハウの点で恵まれていたためか、高校生になっても他の日本人の子よりは英語が得意であったようだ。

小1~2で帰国:

帰国後の英語力の保持は相当困難と言われている。
発音や聞き取りが得意、簡単な会話ができるというレベルは維持できる可能性があるが、それ以上はよほどの環境を整えないと忘れてしまうようだ。

小3~4で帰国:

英語力は大人になるまである程度残ることが多いようだ。
特に発音や会話運用力では、大人になってから海外に来た人とは明確な差があるように思う。

小5~6で帰国:

帰国時年齢相当の十分な英語力を維持できることが多い。
ただし、大人になった時に年齢相応の英語を話すためには、年齢相応の言い回しやボキャボラリーなどを補強する必要がある。
(英語に関しては、それ以上の年齢に関しても同様の傾向が当てはまる。)
なお、日本の中学入試を考えた場合、小4途中以降で帰国すると一般枠での入試は準備が大変なイメージがある。
一方で帰国枠は少なく、また学校毎に帰国後1~3年以内といった制限がある。

中学で帰国:

公立中に編入するか、私立中に編入するかという選択がある。
私立中への編入は募集が少ないため、あくまでケースバイケースだろう。
本人の学力や親の調査能力、地域次第だ。
兄妹とも超有名進学校に編入した人も知っているが特殊な例だろう。
高校入試は英語があるので中学入試よりは帰国生に有利だが、中学で帰って来て国語の試験というのも辛いものがありそうだ。
帰国子女枠は中学よりは充実している印象がある。

高校途中で帰国:

高校への編入手続きで苦労することが多いようだ。
特に地方では受け入れ校が少ない。
こうした理由からか、子供が高校生の在外日本人駐在員家庭では単身赴任が多い。
義務教育ではないため、特に9月~3月生まれの子の場合には、学年の区切りの違いを理由に一学年遅れてしまう事もあるらしい。
ただしこれに関しては、海外での単位認定を早めてもらうよう交渉したり、学年途中で編入したりといった色々な裏技もあるようである。

高卒後に日本の大学に進学:

9月~3月生まれの場合は、よほど工夫しない限り1年遅れてしまう。
ただし、帰国子女の入学枠は大学が一番充実しているようである。
SATによる選考を導入している慶応大のボーダーラインは、2400点満点のSAT I で1700点台(駿台調べ)とのことで、米国での州立トップ校(日本の地方国立大レベル)の合格者平均が2000点前後、州立2番手校(普通の大学)が1600~1700点台ということを踏まえれば、決して高くない点数のようだ。
なお、一般枠でも理系では多くの大学で国語や日本史の試験を回避できる。
むしろ、日本語の文章力をきちんと付けておく事の方が、入学後は重要になってくるだろう。

こうして見ていくと、帰国年齢毎にメリット・デメリットがあることがわかる。
また、帰国後の英語力の維持は、本人と親、双方の努力に加え、環境にも大きく左右されるだろう。
親がほとんど英語を話せず、外国人のほとんどいない日本の地方都市に住み、子供は学校の英語の授業を受けるだけというケースと、大都市圏に住んで日常的に外国人と接する機会があり、親が英語のネイティブスピーカーを家庭教師に雇って英語力を維持させるのとでは、全く結果が異なる可能性もある。

こう考えて行くと、「帰国子女は英語が話せる」と一言では片付けられない、様々なケースがあるということがお分かり頂けると思う。

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執筆: この記事はWillyさんのブログ『統計学+ε: 米国留学・研究生活』からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2013年07月10日時点のものです。

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