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「女による女のための文学賞」が生んだ個性溢れる作家たち

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 新潮社が主催する公募新人文学賞『女による女のためのR-18文学賞』の歴代受賞者によるトークイベントが4月6日、東京・新宿の紀伊國屋書店新宿本店で開催された。

 同賞は、2002年のスタート以来、応募者はもちろん、選考委員や下読みの編集者までも女性で統一し、女性のための「性」をテーマとした小説を対象としてきた。2012年の第11回からは「性」に限らず「女性ならではの感性を生かした小説」と募集作品の門戸を広げて、新たな才能を持つ女性作家の発掘に乗り出している。

 今回のトークイベントに登場したのは窪美澄さん(『ミクマリ』で第8回大賞)、彩瀬まるさん(『花に眩む』で第9回読者賞)、深沢潮さん(『金江のおばさん』で第11回大賞)の三人。同じ賞の出身ではあるが、応募した理由も、受賞までの経緯も様々だ。

 受賞作『ミクマリ』を収録した連作長編『ふがいない僕は空を見た』が山本周五郎賞を受賞し、ベストセラーとなった窪さんは、「仕事をしながら子どもを育てていたので、どうしても小説は細切れの時間を使って書くしかなかった。他の文学賞のように原稿用紙100枚となると集中力が途切れてしまうけど、50枚なら何とかなると思った」と、同賞の応募規定が原稿用紙30〜50枚と短いことを応募の理由に挙げた。

 一方、深沢さんは、もともとは作家になろうとは思っていなかったそう。しかし、書いた作品をブログに載せたところ反響があり、それがきっかけで小説スクールに通い始めたことから新人賞に応募することを考え始めたという。
 「小説スクールを見つけたのが『小説新潮』の特集でした。それが初めて買った文芸雑誌だったのですが、とても面白かったので、新潮社の賞に応募してみようと思いました」(深沢さん)
 同賞の良さについて、彩瀬さんは「自分が受賞した時は『性』にまつわる小説という募集規定だったが、それは同時に『性』をテーマにしつつも、生きていく苦しさのような人間的な作品を書けという、2つ目の条件があるように思えた。難しかったが、そこが面白かった」と語った。

 ただ、3人とも初めて応募した作品で受賞したわけではなく、他の新人賞も含めて幾度かの落選を味わっている。その結果を踏まえて「より自分の癖を煮詰めようと思った」(彩瀬さん)、「『性』をそのまま書くのではなく、『性』を通して何を描くかを考えた」(深沢さん)など、自分なりの改良を加えたことが受賞につながったようだ。

 また、「受賞後の打ち合わせで“2カ月に1本短編を書いていけば、来年には本が出るね”って言われてそこからが地獄だった。受賞してからのことは何も考えていなかったので(笑)」(窪さん)と、本格的に作家としての活動を始めてから直面した苦労を語る場面もあり、作家が作家になるまでの道のりを伺い知ることのできるイベントとなった。

 今春、『アニバーサリー』(窪さん)、『あのひとは蜘蛛を潰せない』(彩瀬さん)、『ハンサラン 愛する人びと』(深沢さん)と、それぞれ新潮社から新刊が発売された三人。
 “女による女のための”と銘打った個性的な文学賞から輩出した、個性的な作家たちが今後どのような作品を残していくのか注目したい。
(新刊JP編集部)



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