企業がフェイスブックで失敗するパターン

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 企業が自社の製品やサービスを売るために最も必要なことといえば、なんといっても「集客」です。
 どうすればこの「集客」を効率的よく、数多くできるのか。その方法の一つが広告ですが、大企業ならまだしも、中小企業は広告予算も限られており、「集客が思うようにいかない」というのは中小企業の経営者・マーケティング担当者に共通する悩みなのではないでしょうか。
 そんな状態を救ってくれるのがFacebookでありソーシャルメディアだということがよく言われますが、使い方を間違えると効果がないばかりか落とし穴にはまることも。
 そこで今回は、『「いいね!」であなたも年収1億円 フェイスブックで2週間で儲ける方法』(講談社/刊)の著者、佐藤みきひろさんにお話を伺い、ソーシャルメディアを使った集客術についてお話していただきました。

―今回は、本書『「いいね!」であなたも年収1億円 フェイスブックで2週間で儲ける方法』についてお話を伺えればと思います。まず、タイトルにある「1億円」なのですが、この金額は佐藤さんの年収ということでしょうか。

佐藤「ソーシャルメディアについての僕のセミナーやコンサルティングの収入が約1億円ということですね。ただ、僕は複数の会社で役員に入っているので、実際の収入はもっと多いのですが…」

―実際はもっと稼いでいらっしゃるけども、きりのいい数字ということで一億円。

佐藤「そうですね。それ以上の数字だと現実感がなくなってしまうと思ったんです。年収1億円だと月に800万〜900万円なので、読者の方もイメージしやすいと思いますが、それ以上になってしまうと、それこそいくつかの会社の役員をやっていたりしないと難しい額です。かといって“年収1千万”だとサラリーマンを普通にがんばれば稼げてしまいますしね。そういったことも踏まえて“1億円”という数字をタイトルに入れました」

―本書では、主にFacebookなどソーシャルメディアを使ったマーケティングの方法が解説されていますが、その類の本はこれまでにもさまざまなものが出回っています。なぜこの時期にこのような本を書こうと思われたのでしょうか。

佐藤「版元の講談社さんからも“今さらFacebookですか?”って言われました。ただ、個人事業主や中小企業向けにFacebookのセミナーをやり始めたのって僕がおそらく最初で、セミナーをやった数も国内では最多だと思います。その立場から言わせていただくと、ほとんどのFacebook関連本は大企業向けであったり、アメリカでの成功事例を取り上げるだけのもので、中小企業や個人ブランディング向けにFacebookの、著者本人の実績によるきちんとした事例が書かれた本はなかったんです。
その意味で、僕は長くクライアントの方々と向き合ってFacebookを使った集客に取り組んできたので、この本は満を持して出したという感覚です」

―佐藤さんが手がけたクライアントさんはみなさん実績が出ているんですか?

佐藤「出ていますね。僕の場合は塾を開催して、3カ月入ってもらっています。そこでまずはFacebookの知識をゼロから100まで身につけてもらう。そこからFacebookを使った集客・販売だとか、今度はご自身でFacebookのノウハウを教えてマネタイズする方法だとか、もしくはアフィリエイトだとか、そういうことを覚えていきます。
1回目の塾では650人、今やっている第2回は450人くらいの方々と一緒にやっています」

―佐藤さんがおっしゃる“中小企業”というのはどういう会社を指しますか?たとえば、町工場だとか自分の畑で作った作物を直売する農家なども含まれるのでしょうか。

佐藤「そういったものも全部含まれます。集客にマスメディアを使わないレベルの会社はたくさんありますが、この本で取り上げているFacebookを使った集客の方法は、そういう会社が自分でメディアを持って、広告費を削減しながら利益をあげていくことを意味するので、対象となる会社は多岐にわたるはずです。実際、僕のクライアントさんには農家の方もいれば、占い師や士業の方もいます。ただ、町工場は少ないですね。基本的にはBtoCの会社が多くて、BtoBの会社にはBtoCの商品を作って、直販部門をやりましょうという話をします。たとえば、飲食店に商品を卸している製麺所なら、直販商品をつくって、ウェブサイトを立ち上げて、ソーシャルメディアで企画を立ててその直販商品を広げていきましょう、という形ですね」

―現在の中小企業のネット集客の実情はどのようなものなのでしょうか。業種にもよるでしょうが、あまりネットのリテラシー自体が高くないようなイメージがあります。

佐藤「昔は企業のネットを使ったPR活動というと、自社のホームページやブログを作って情報発信をして、コメントなどで多少顧客からアクションが戻ってくるというような形でした。でも、今はネットが第三世代に入っていて、情報発信者と情報受信者が完全にフィフティフィフティの関係、つまり情報発信をしていないと情報が集まらない時代になっています。ここが重要なところで、情報発信が苦手なせいか、ウェブサイトをとりあえず作っておいているだけの会社がすごくたくさんあるんですけど、そこに人が集める手法がわからなければ立ち行かなくなってしまいます。
今はウェブ自体がソーシャルの時代に入っているので、インターネット利用者の大半が情報発信者でもあるという時代です。そんな中で、なぜ情報発信しないといけないかという意味もしっかりと把握していない企業が多いように思います。どういう風に情報を発信して、どういうメリットがあるかもわからないのでやってみる動機がない。耳に入ってくる事例も失敗事例ばかりなので猜疑心を持ってしまう。特に中小企業の社長の方などはそういう人が多いですね。
でも、その失敗事例は、いい加減なウェブ制作会社に言われるがまま自社ホームページを作ってみただけだったり、本当に効果的な方法でやっていないものがたくさんあります。今回の本ではそういう部分を払しょくしたいですね」

―本書で取り上げられている手法は、広告予算の取れない会社にとって救いとなる集客の方法だといえますが、Facebookをはじめとしたソーシャルメディアを使った集客を始めたものの失敗してしまうパターンにはどういったものが挙げられますか?

佐藤「考え方自体を変えられない場合でしょうね。結局Facebookをどんなにうまく使えても、Facebookというのはそこで情報を発信する人の考え方を投稿するツールに過ぎません」

―どのような考え方に変えていかなければならないのでしょうか。

佐藤「日本が高度経済成長期だった頃は、ビジネスの成功のルールというと、伸びている会社のビジネスモデルを真似するっていうものがベースでした。流行っている飲食チェーンがあったら、同じような飲食チェーンを展開すれば伸びましたし、工場などでも“こういうものを作って売れた”という成功事例をもとにして商品を作れば売れるという時代だった。
でも、これからはマーケットも縮小していくでしょうし、そのルールは通用しません。横の真似をすることからいかに脱却するかが大事になります。それは広告一つとってもそうですし、ウェブサイトも同じで、同業他社の真似をして作った時点で負けです。
だから、ソーシャルメディアを使った集客の一環で経営者が情報発信するとしても、誰かが言っているような当たり前のことを言っても誰も見向きもしませんし、意味がない。まだないもの、今までの延長にないものを考えて発信しないといけません。
つまり、何を発信するか、どういう立ち位置をとるか。結局は自分だけの、あるいは自社だけの“オンリーワン”をどう作るかということが大事になります。それは経営者の色とか、人柄を出していかないとうまくいかないでしょう。それがないままツール一辺倒でいくとうまくいきません」

―ソーシャルメディアを使えばいいというものではないんですね。

佐藤「そうですね。ソーシャルメディアを使いさえすれば集客できるということではなく、その根底にある核の部分、つまり“オンリーワン”をまず確立する必要があります。
これはすごく難しいことのように思えますけど、“本物しか生き残れない時代”になったとも言えます。かつて、本物が生き残れなかった時代があったわけじゃないですか。広告だけやCMだけきれいに作って、さもおいしそうに見せれば売れた時代です。でも、今は消費者が賢くなって、きちんとした情報から商品を選びます。口コミであったり、その会社の社長の人柄や理念、第三者の評価などです。
だからこそ、いい商品・サービスを扱っているのに世の中に見せていない会社や経営者はソーシャルメディアを使うべきだと思います。
本物の商品、オンリーワンのサービスを作って、それを見せる努力としてソーシャルメディアを使ってくださいということですね。そこができていれば、集客はいとも簡単にできます。もっと言うなら“この会社じゃないとダメなんだ”と顧客に名指しで選ばれる会社になるはずです」

後編に続く



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