「毎日、どこでもYouTube」 Googleがテレビ局含む13社による動画番組を配信する『YouTube』オリジナルチャンネル開設を発表
Googleは11月27日、『YouTube』に関する記者発表会を開催。13社のパートナーが動画番組を配信するオリジナルチャンネルの開設を発表しました。テレビ局や芸能プロダクション、コンテンツ企業などメジャーどころをそろえ、国内外やさまざまなデバイスに向けた動画配信を強化、「毎日、どこでもYouTube」のコンセプトを打ち出していきます。
最初にGoogle社のYouTubeプロダクトアジア太平洋統括本部長のアダム・スミス氏が登壇。『YouTube』のメディアプラットフォームとしての特徴として、いつでも利用できること、スマートフォンやタブレット、パソコン、ゲーム機など複数のデバイスから利用できること、動画の共有やコメントなどインタラクティブ性があることを挙げます。ユーザーが関心のある動画が見つかりやすくなるように、“チャンネル”を中心とした視聴体験ができるサイトデザインへ変更したことにより、ユーザーの視聴時間は月間40億時間、ユーザー登録数は50%の伸びを見せていることを明らかにしました。
続いて同社YouTubeパートナーシップ日本代表の水野有平氏がオリジナルチャンネルの開設を発表します。これらオリジナルチャンネルは広告モデルで運営されるため、ユーザーは無料で番組を視聴可能。将来見込まれる広告収入を制作費としてパートナー企業に支払い、『YouTube』上に独占配信する動画番組を定期的に配信してもらうというビジネスモデルを採用しています。国内向けだけでなく海外からも視聴者を集め、複数のデバイスに向けた実験的な動画制作を積極的に支援していくことを明らかにしました。
最初のパートナー企業は13社で、計17チャンネルの開設を予定。毎日配信する番組や週5回、週3回、不定期更新など各チャンネルが独自に番組を編成していきます。
13社のうち、ビコムとフジテレビ、TBSは10月にチャンネルを開設済み。以降、2013年初旬にかけて各社が順次チャンネルを開設していく予定となっています。
この日発表されたパートナーは以下の13社。
ASOBISYSTEM
原宿カルチャーを配信する『Harajuku Kawaii チャンネル』を開設
アップフロントワークス
ハロー!プロジェクトなどの所属アーティストによる歌番組やバラエティ番組を開設
コミックス・ウェーブ・フィルム
日本のアニメ作品を海外へ発信する『アニメバンチョー』を開設。森りょういち氏による『Peeping Life』のほか、今石洋之氏(『天元突破グレンラガン』)、真島理一郎氏(『スキー・ジャンプ・ペア』)、湯浅政明氏(『四畳半神話大系』)などによる新作アニメを1年間かけて公開を予定
サンミュージックプロダクション
所属のお笑い芸人やダイヤモンド☆ユカイ氏など起用する『OHW Plus – SunMucis Channel』を開設
TBSテレビ
深夜番組『女子アナの罰』と連動する『女子アナの罰チャンネル』を開設
テレビ朝日
バラエティ番組と連動するオリジナル動画を配信
ニフティ
プロドライバーの谷口信輝選手、織戸学選手によるドリフト走行を中心とした番組を配信する『Extremeチャンネル』を開設
VICE
世界30か国に支部を持つ『vice.com』の日本版となる『VICE Japan』を開設
ビコム
鉄道動画専門チャンネル『ビコムステーション』を開設
フジテレビジョン
月曜から金曜まで23時台に放映している『ヌメロン』『キャサリン三世』などの番組と連動するチャンネルを番組ごとに開設
ホリプロ
ホラードラマ『死のエクササイズ』、所属タレントによる怪談朗読『100怪談』、衝撃映像集『Shock!!!』などホラー番組を配信する『Den of Horror ~ホラーの巣窟~』を開設
クリプトン・フューチャー・メディア
日本の創作文化を世界へ発信、世界中のクリエーターとファンをつなぐプロジェクト番組を配信
電通
「日本のメジャーコンテンツの一つをテーマとしたチャンネル」を開設
この日はゲストとして、TBSアナウンサーの加藤シルビアさん、フジテレビアナウンサーの宮澤智さん、ダイヤモンド☆ユカイさんが登壇。加藤さんからはテレビ局をまたいだ女子アナの出演番組、宮澤さんからは10月に入社した“デジタルアナウンサー”杏梨ルネと一緒に新人アナが共演する番組といった企画が提案されたほか、スイーツのレビュー番組を担当するユカイさんは、全国のゆるキャラと一緒にご当地スイーツを評価するという企画を披露しました。
質疑応答ではテレビ局のチャンネルへの取り組みについて聞かれると、番組連動を打ち出すフジテレビに対してテレビ朝日は合計1億再生された『ロンドンハーツ Net Movie』を引き合いに、「テレビのスピンオフではなく放送と遜色のないクオリティの番組を作る」とけん制ムード。TBSはチャンネル動画が200万再生された一方、番組の視聴率も上がっていることをアピールし、各局が今後『YouTube』を舞台に再生数戦争を繰り広げていくことを予感させました。
パートナーは今後も拡大していく考え。発表会のスライドには吉本興業の名前も見られましたが、今回は発表されていません。オリジナルチャンネルはGoogleと契約を結ぶ企業パートナーに限定する模様。個人クリエーターに対しては『YouTube NextUp』などの支援プログラムを用意していくとコメントしています。
宮原俊介(エグゼクティブマネージャー) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。2010年3月~2019年11月まで2代目編集長、2019年12月~2024年3月に編集主幹を務め現職。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます
ウェブサイト: http://mogera.jp/
TwitterID: shnskm
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