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エスカレーターの危険な乗り方:障害者への暴力

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今回は鷹嘴さんのブログ『不条理日記』からご寄稿いただきました。

エスカレーターの危険な乗り方:障害者への暴力

かつてこのブログにも書いたことだが(2008年2月8日フジテレビ「トリビア」で知った)、エスカレーターに片側に寄って乗ったり歩いて昇降することは、エスカレーターの機構に負担をかけて不具合をもたらす恐れがある、と日本エレベーター協会*1が警告している。

*1:日本エレベーター協会
http://www.n-elekyo.or.jp/instructions/escalator.html

エスカレーターの安全基準は、ステップ上に立ち止まって利用することを前提にしています
 片側をあけると重量(荷重)バランスが崩れ、不具合を誘発することがあります。また歩いたり走ったりしたときに起きる振動で安全装置が働き、緊急停止することがあります。
歩行禁止の呼びかけが始まっています
 慣例となっているエスカレーターの片側あけですが、危険や不便をともなう行為だということが、少しずつ浸透してきました。多数の場所でエスカレーターの歩行禁止の呼びかけを始めています。

 そういえば駅のエスカレーターの昇降口に、歩行禁止を呼びかけるステッカーが貼ってあるよな。小さいからほとんど気付かないけど。
 それに、たとえば左手の不自由な障害者は右手で右側の手すりをつかんで乗ることになるが、東日本ではエスカレーターの右側を歩いて昇降する者の進路を塞ぎ、背後から攻撃を受けることになる。西日本では右手の不自由な障害者が同じ目に遭う。だからエスカレーターの片側空けや歩いての昇降は、今すぐ禁止しなければならない危険な行為なのだが・・・状況は全く変わっていない。
 そもそもおかしいと思うのは、なぜ急いでいる者のために道を譲らなくてはならないのか?ということだ。エスカレーターは障害者・高齢者、幼い子供を連れた家族のためにあるのではないか。なぜ社会的弱者が、働き盛りのサラリーマンや学生を歩いて昇降させるために、わざわざ片側に寄らなくてはならないのか。なぜ弱者が強者に配慮しなければならないのか。逆じゃねえか?

 2012年6月19日・東京新聞「談論誘発」で、東京都身体障害者団体連合会長・宮澤勇氏が、この問題について提起している(参考)。*2「左半身麻痺で右手しか使えないため右側に立つと、肩を押されて『歩け』と言われたり、バッグをぶつけられた人もいる」という。

*2:「エスカレーター片側空け 「マナー」」2012年7月1日『永嶋税理士事務所通信』
http://www1.ttcn.ne.jp/~nagashima/nowtopic/topic20120701.html

 また日本エレベーター協会の統計によると、エスカレーター昇降に伴う事故は全国で多発しているという。2003年1月から04年3月までに「出動や事後報告だけでも」1014件が発生(1年間の換算で801件)。被害者の年齢は60歳以上が圧倒的に多く、「特に80代が目立つ」という。

 この記事を受け読者の意見が多数寄せられ、2012年6月27日の同紙で一部が紹介された。

● 横浜市の自営業男性(79)
 「エスカレーターの片側空けは日本のマナーとは思えない。これほどおかしな、ばかな習慣はない」
 「急ぐ人は階段を使えばいい。障害者保護も念頭に、こんな習慣はやめるように運動すべきだ」

● 右足に障害があり杖を使っている女性
 「転ばないよう右側に立ち手すりもしっかり握っているが、何度も罵倒された」
 「歩くと危険、というPRを各駅で徹底してほしい」

● 埼玉県熊谷市の無職男性(74)は右側に立たざるを得ない身体だが、わざと身体をぶつけられた経験がある。
 「そんなに元気なら階段を使えと言いたい。既に定着してしまった片側空けを直すため、JRは臨時職員を雇ってもPRしてほしい」

 仰るとおりだ。他人を襲撃するような体力があるなら階段を走ればいい。つーかこれは立派な暴行罪だから、国家権力はデモ妨害なんかやってる暇があったらこういうのをビシビシ摘発するべきだな。

● 東京都稲城市の女性(52)は、
 「(右側に立った)あなたのせいでサラリーマンが大事な商談に遅れたらどうするの」
 と言われたという。
 「都会の電車は数分おきに来るのに、その数分が待てない生活なのか。エレベーターやエスカレーターは、歩くのが不自由な人に譲って、急ぐ人は階段を使って」
 
 エスカレーターを歩いて昇降できなかったせいで「大事な商談」とやらに遅れるようなサラリーマンは解雇されちまえばいい。つーかこんな説教たれる奴、何様のつもりなのか??

 以上のようにこの日本社会では障害者への暴力は「マナー」という名目の元に黙認されている。エスカレーターを歩いて昇降する体力の無い者は端っこに小さくなって乗らなくてはならない。邪魔な所に立っていれば突き飛ばされても文句言えない。という「マナー」が公然化している。言うなれば障害者であること、高齢者であること自体が、社会にとって邪魔なのだ。弱者であること自体が罪なのだ。伝染病患者、公害病患者、路上生活者、外国人労働者、非正規雇用労働者への差別に満ちたこの国の歴史と現状を思い出してみればいい。

● 一方で肯定的な意見もあった。
 「急いでいるときは必然的にエスカレーターを歩く。歩くのは健康のためにも必要」
 何度でも言うが急いでるんなら階段を走ればいい。健康のためなら尚のこと階段を使えばいい。ってゆうか片側に寄ったり歩いたりなどの乗り方を続けていればそのうち故障して大事故に至るかも。事故が起こるまで分からないんだな。原発と同じだ。
 機械自体が故障しなくても引用したような暴力を放置していればどういうことになるか。たとえば下りエスカレーターで左手の不自由な障害者が右側に立っていて、後ろから歩いてくる者に突き落とされたとしたら・・・ゾッとする。

 そもそも、一体いつ誰が、エスカレーターは歩いて昇降する者のために片側を空けろという「マナー」を決めたのか。何となく習慣と化しているだけだろ。なんでこんな「マナー」が必要なのか、と考えることもなくなんとなく従っているだけだろ。周りが従っているから自分も従っているだけだろ。
 上掲の投稿者は「エスカレーターの片側空けは日本のマナーとは思えない。これほどおかしな、ばかな習慣はない」と憤るが、俺は逆にこれこそ日本人的な「マナー」だと思う。理屈も何も無い、周りに従うことだけが大切なんだ。
 こういう国民性が、無謀な侵略戦争を止められず、敗戦後も天皇制を存続させ、日米安保を存続させ、そして原発を林立させてきたんだ。これじゃ原発なんか無くなりっこないな。

執筆: この記事は鷹嘴さんのブログ『不条理日記』からご寄稿いただきました。

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