体験を伝える―『ガジェット通信』の考え方

面白いものを探しにいこう 本物を体験し体感しよう 会いたい人に会いに行こう 見たことのないものを見に行こう そしてそれをやわらかくみんなに伝えよう [→ガジェ通についてもっと詳しく] [→ガジェット通信フロアについて]

ほんの少し強い『個人』になって『社会』に向かう生き方

ほんの少し強い『個人』になって『社会』に向かう生き方

今回はSeaSkyWindさんのブログ『風観羽 情報空間を羽のように舞い本質を観る』からご寄稿いただきました。

ほんの少し強い『個人』になって『社会』に向かう生き方

最近、インターネットビジネス関連、特にソーシャルビジネスの周辺では『曲がり角』というか『転換点』を感じさせるトラブルが相次いでいる。昨年末の、食べログのステルスマーケティング問題を皮切りに、Facebookのプライバシー問題、コンプガチャ等ソーシャルゲームの問題、クラウドファンディングのstudygiftの炎上と続き、いまだに火種は残り、問題はまだ終息するようには見えない。この気配を受けて、上場間もないFacebookの株価はとうとう30ドルの大台を割り込み(上場初日の高値は42.5ドル。時価総額換算では350億ドルが消えた勘定になる)、日本のソーシャル各社の株価も年初来の安値を更新し続けている。

「グリー、DeNAなど株価下落が止まらず ソーシャル各社、そろって年初来安値」2012年06月01日『ITmedia ニュース』
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1206/01/news109.html

いわゆる『ソーシャル』ブームで、ごく短期間に驚くべき急成長を遂げた各社が、市場の過剰とも言える期待感もあって株価も膨れ上がったものの、内在していた急成長の歪みがここに来て噴出しているということもあろう。各社ともビジネスモデルが似ており、どこかで起きた問題に起因する不安感は他にも波及しやすい。それは株価に限らない。急成長している間は少々の欠点も大目に見られていたのが、一旦市場に疑念が広がると、今度は過剰に欠点が目立ってしまう。

■強まる『正義の裁き』

だが、ある意味避けることのできない各社の『産みの苦しみ』とは別に、昨今の市場の雰囲気にはどうしても気になるところがある。強い批判や糾弾の声がやけに多いのだ。こういうと『悪いものを悪いと言って何が悪い』と言われてしまいそうだし、それ自体は(あまりの誹謗中傷はいかがなものかと思うが)、各自の意見の自然な表出である限りは、特に否定されるべきものではない。それがきっかけとなって、誤りが是正されるような建設的な批判はむしろ社会にとっても有益だ。だが、どうもそれとも違う。過ちを問いただし、改善を促すというより、悪を裁き感情的に糾弾すること自体が目的になっているような発言が増えているように思えてならない。

これは、匿名制が主である日本のインターネットのネガの部分として長く批判されてきた一局面ではあるのだが(2ちゃんねる、はてなブックマークの誹謗中傷問題等)、これまでより批判の対象が広がり、構造的になり、独特の同調圧力を持って、様々な対象を次々と連続的に見つけて感情的に糾弾する。しかも、自らの正しさや正義に信念があって決して妥協しない。従来の、自らもどこか後ろめたさを持つ愉快犯的な誹謗中傷ではなく、なまじ信念の裏付けがあるから根が深い。

■寛容から不寛容へ?

インターネットはネガの部分も深く大きいとはいえ、ネガと共にポジを両方包含する『懐の深さ』、『多様性』が良さだったはずなのに、妥協を許さない裁きと裁きに伴うマイナス感情を共有する塊が膨れ上がりつつあるのなら実に残念なことだ。それはインターネットの良さを支える『寛容』を『不寛容』で置き換えようとしているようにさえ見える。そういう意味でも、インターネット・ソーシャルは第二幕を迎えているのではないか。そう思うのは私だけだろうか。自らの思いを適切な言葉に表現しきれない苛立を感じつつ、一度きちんと整理しておかねばと考えていた。

■『空気』と『世間』

この関連で、日本社会を説明するにあたって避けて通ることができない、『空気』と『世間』の問題を最近再び考えていたのだが、その過程で、私の問題意識を非常に上手く説明してくれる良書を見つけた。そのタイトルもズバリ、『「空気」と「世間」』*1という。作者は作家・演出家として活躍する、鴻上尚史氏だ。アカデミックな研究書ではないが、その分作家的な直観や表現力が豊で、ストーリーが非常にわかりやすい。それでいて、『空気』は評論家の山本七平氏、『世間』は元一橋大学の学長をつとめた歴史学者の阿部謹也氏というそれぞれの碩学を引用していて、理論的な裏付けもしっかりしている。今回はその本を参照しながら、自らの思いを語ってみようと思う。

1 2 3 4次のページ
寄稿の記事一覧をみる

記者:

ガジェット通信はデジタルガジェット情報・ライフスタイル提案等を提供するウェブ媒体です。シリアスさを排除し、ジョークを交えながら肩の力を抜いて楽しんでいただけるやわらかニュースサイトを目指しています。 こちらのアカウントから記事の寄稿依頼をさせていただいております。

TwitterID: getnews_kiko

  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。
GetNews girl / GetNews boy

オスカー2018年晴れ着撮影会