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お布施にグロスはない

お布施にグロスはない

久しぶりの寺業計画書更新です。

先日こんなニュースが飛び込んできました。

僧侶派遣「5割ピンハネ」、宗派ごまかし法事も

詳細は記事をお読み頂ければと思いますが、なんやら突っ込みどころ満載すぎて当初目にした時はさらっと流してしまいました。でも、お坊さんという当事者でいると日に日に気分が悪くなってくるというか気持ちが悪くなってくるというか…

それにしてもなかなか高額のお布施ですね。関東のお布施の額は私が活動する奈良に比べてかなり高額だと感じますが、今回も同様。おまけに記事によると「宗派の作法がわからず…ごまかしたこともある」という話も。それなら奈良から僕がお勤めに参りましょうか…交通費含めてもそんな高額にはならないし…なんて思ってしまいます。

この記事に対してWEB上でも喧々諤々経験豊富な僧侶の皆様や葬儀社さんがそれぞれの立場でコメントされています。とても勉強になるコメントもあり、様々な立場で葬儀に関わる方の意見を聞く良い機会ではありますが、このような行為に及ぶ僧侶があいかわらず存在しているというのは残念でなりません。お寺だけでは食べていけず、葬儀社からの紹介に頼るという背景も僕自身がそうですから十分理解できます。でも施主と向き合えない僧侶になってしまってはそれこそお陀仏でしょう。

そしてこの件で一番の問題は「お布施にグロスはない」ということです。

以降、「グロス」と「ネット」という言葉でお話ししますのでその定義をしておきたいと思います。僕は広告事業に従事していた時に広告代理店出身の同僚に徹底的に叩き込まれました。「グロス」とは総額、「ネット」とは手数料などを差し引いた金額を指します。広告を出稿したい広告主が広告代理店が提案するメディアプランを採用する場合のお金の金額と流れはこのようになります。

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広告主が広告代理店に支払う広告料が「グロス」、実際に広告を掲載するネットメディアが受け取る媒体料が「ネット」です。

この流れを先の記事に当てはめてみましょう。

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※これはお布施の流れなので葬儀会社には別途葬儀代が支払われているでしょう。

我々が生きている現代社会においてお布施を本来の意味で理解することの難しさは以前の記事でも書きましたが、それでもお布施は僧侶に対する気持ちであってそれ以外の不純物が混ざってはならないものです。

そう、お布施が手数料の含まれたグロス金額であってはならないのです。

記事には施主さまはあくまでも僧侶へのお布施としてお支払いしたとありますので、施主さまからすると気持ちで僧侶へお渡しになられた「ネット」金額だったのでしょう。それを「グロス」金額化し、お布施に手数料を含めてしまった僧侶、僧侶派遣会社、葬儀会社の責任は重大です。

仏教界に従事する側からは、現代人の仏教離れが深刻であるという問題意識が出てきますが、現代人が離れていったものはこのように「グロス化して不純物が混ざりまくった仏教」ではないでしょうか。お布施に限らず、本来の仏教、宗派の教えを、ネットの部分をそのまましっかりとお伝えできるようにこれからも日々精進です。

合掌 松島靖朗拝

○連載:ITビジネスマンの寺業計画書

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記者:

松島靖朗:彼岸寺

ウェブサイト: http://www.higan.net/bizplan/

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