体験を伝える―『ガジェット通信』の考え方

面白いものを探しにいこう 本物を体験し体感しよう 会いたい人に会いに行こう 見たことのないものを見に行こう そしてそれをやわらかくみんなに伝えよう [→ガジェ通についてもっと詳しく] [→ガジェット通信フロアについて]

雑草の調理法が紹介された一冊『野草の料理』が印象深い——アノヒトの読書遍歴:コトリンゴさん(前編)

雑草の調理法が紹介された一冊『野草の料理』が印象深い——アノヒトの読書遍歴:コトリンゴさん(前編)

 音楽家のコトリンゴさん。2006年3月、坂本龍一のラジオ番組J-WAVE「RADIO SAKAMOTO」宛にデモテープを送ったことがきっかけで、同年11月に「こんにちは またあした」でデビューを果たします。2017年11月には自身のレーベルkoniwaからアルバム『雨の箱庭』をリリース。今年5月には音楽フェス「Lotus music & book cafe’18」に出演し、6月23日には「Live 2018〜雨の雫とピチカート〜 with 徳澤青弦カルテット」を開催します。そんなコトリンゴさんは普段からさまざまな本を読むといい、今回はコトリンゴさんの日頃の読書生活についてお話を伺いました。

——まず、幼少の頃はどんな本を読んでいたんですか?
「好きだったのは料理に関する本です。小学生が読むような絵が載っている本を読んでいました。『美味しそう!』みたいな感じで、読みやすかったり楽しかったりしたんだと思います。それ以降は、漫画や物語を読み、思い出に残っている物語というと、小学校5〜6年生のときに課題図書で読んだ『モモ』(児童文学)や『注文の多い料理店』(宮沢賢治)です。それから、大人になってからは、好きな作曲家が書いた本といった自分の興味のある本を読むようになりました。例えばモーツァルトの『魔笛』という不思議なオペラがあるんですが、この曲の謎に迫るみたいな本とかですね」

——今、本はどのくらいの頻度で読んでいるんですか?
「どんな本でも読めるときはかなり読めるんですが、読めないときは全然読んでいません。例えばきっかけになるのは『今度あの方にお会いするから、その方が書いてる本を読もう』とか、そんな感じで読むときも結構あります。それでバーッと読めたりします」

——その中で最近気になった本があれば教えてください!
「料理に関する本ですが、甘糟幸子さん作『野草の料理』。食べられる雑草のことを紹介している本なんです。ただひたすら食べられる野草と、どうやって調理したら食べられるかとか、甘糟さんの『これはなんとも食べられる味じゃありません』という感想も最後に書いてあるんですけど、『なかなか美味しい』とか『ちょっと食べられたものではありません』とかそういう感想のさりげなさがまた素敵な一冊です」

——どんな雑草が紹介されているんですか?
「数としては本当にたくさんという感じなのですが、例えば、春先だと、よく私たちが見る植物でいうとタンポポ、ハコベ、ヨモギ、ハハコグサ。あとはハルジオンとかカラスノエンドウ、ヤブガラシ、カキドオシ、ドクダミ、ノダケなどなど。それで、ちゃんとこの方はお料理して食べていらっしゃるのがまたすごい。こんなものも食べたのかっていうものも食べていらっしゃいます」

——調理法みたいなものも紹介されているんですか?
「例えばカラスノエンドウ。よく見ますよね、赤紫のお花がついている植物なんですけど、どこでも生えてくるカラスノエンドウは、意外に食べられていません。山菜や食用植物の本にもほとんど取り上げられていませんし、たまに書いてあるものにも茹でて浸して和え物、汁飲みなどにする、クセがなくてよい、といった程度にしか説明してありません。もしかしたら美味しい食べ方を知っている人がいないのかなとときどき私は首をかしげてしまうのです。でも甘糟さんはですね、『天ぷらにしたりバター炒めも美味しいです』って書いているんです」

——栄養はあるんですかね?
「カラスノエンドウはタンパク質の多い草だそうです。ちなみに私はですね、この作品にはなぜか出てきてなかったんですけど、スギナという植物をこの間ちょうど……音楽作らせていただいた『この世界の片隅に』でも、スギナとサツマイモを混ぜて丸めて食べるというシーンがあるんですけど、それをやってみたんですよ。それで、スギナは今どんどん生えてきて、草むしりが本当に大変なんですけど、意外と、意外とというか、サツマイモが美味しかったので、普通に食べられました。スギナは思ったほど全然苦いとかも全然なく、ただそれだけで食べると、なんていうんですかね、『すじすじ』していて、まぁこれだけでは食べないだろうなっていう植物でしたね。あと、カラスノエンドウもたくさん生えているので、今、食べようかなと思って刈り取ってみたんです。でもまだちょっとやめておこうかなと思って躊躇しています……」

——ありがとうございます。後編ではコトリンゴさんの趣味に関する一冊などをご紹介します。お楽しみに!

<プロフィール>
コトリンゴ/1978年7月17日生まれ、大阪府出身。音楽家。2006年3月、坂本龍一のラジオ番組J-WAVE「RADIO SAKAMOTO」宛にデモテープを送ったことがきっかけで、同年11月に「こんにちは またあした」でデビューする。2016年11月、映画『この世界の片隅に』の音楽を担当し、毎日映画コンクール音楽賞や日本アカデミー賞優秀音楽賞などを受賞する。2017年11月には自身のレーベルkoniwaからアルバム『雨の箱庭』をリリースした。今年5月には音楽フェス「Lotus music & book cafe’18」に出演。6月23日には「Live 2018〜雨の雫とピチカート〜 with 徳澤青弦カルテット」を開催するなど、ライブを中心に今もなお勢力的に活動を続ける。

■関連記事
ファンから薦められた『本屋さんのダイアナ』は、本がたくさん読みたくなる一冊——アノヒトの読書遍歴:広瀬彩海さん(後編)
多いときには月に50冊くらい本を読む——アノヒトの読書遍歴:広瀬彩海さん(前編)
『安楽死を遂げるまで』にはいずれ誰もが直面する問題が描かれている——アノヒトの読書遍歴:舛添要一さん(後編)

BOOKSTANDの記事一覧をみる
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。