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【妖怪アトラクション】映画『ROKUROKU』脚本家・梅田寿美子に聞く”オバケホテル”の舞台裏

現在公開中の異色ホラー映画『ROKUROKU』が、密かな話題を呼んでいる。

本作は、『牙狼<GARO>』『ゼイラム』シリーズの雨宮慶太が原作・総監督を務め、『魁!!クロマティ高校』『珍遊記』など独特の作風で知られる山口雄大がメガホンを執る、鬼才によるコラボレーション映画。

ろくろっ首、ぬり壁、カラ傘、猫目など、大胆にビジュアル化された妖怪と人間の戦いを描いた怪作の、原作小説と脚本を担当した梅田寿美子に映画『ROKUROKU』の裏側を聞いた。


<オバケ団地>とデザイン画から始まった原作小説

遡ること7年前。梅田は、ある電子文芸誌の編集部に呼ばれた。「雨宮監督が温めている映画の企画を、まずは連載小説にしたい」それが、梅田と『ROKUROKU』の出会いだった。

「真っ赤な表紙の企画書をめくると、赤い着物姿の首の長い女と目が合いました。ロクロクとの初対面です。ページをめくるたび、ぬり壁、カラ傘、一つ目など、雨宮監督に描かれた妖怪たちが次々と現れて。馴染み深い妖怪でありながら、実に斬新で鮮やかでした」

雨宮監督によるロクロクのデザイン画

企画書に書かれた<妖怪たちが棲みつくオバケ団地に迷い込んだ少女たちが怪異に遭う>という言葉と、雨宮監督のデザイン画を手掛かりに、梅田は<オバケ団地物語>のアイディアを膨らましていった。

「例えば、ぬり壁は<巨大な女の顔が通路にみっちり詰まっている>デザインなのですが、そこから「どうして彼女の顔は巨大になったのか?」と、妖怪のバックボーンを作り、「オバケ団地の中で主人公たちとどう関わるか?」を考えていきました。通常は原作の物語が先にあり、そこからキャラクターをデザインするのですが、『ROKUROKU』の場合はそれが真逆だったんです」

全7回の連載では、1回ごとに雨宮監督のチェックが入り、展開や結末について相談しながら、長いスパンで物語を作り上げていけた、と梅田は振り返る。


団地からホテルへ、妖怪アトラクション映画への道のり

そんな、ビジュアルから作られていった物語だが、映画化への道のりは長かった。

「小説では、登場人物の心の闇やドロドロした部分を描くことに重点を置いていたのですが、映画版はもっと、オバケ屋敷感覚でキャーキャー言える、アトラクション的なものにしたいというオーダーがありました。そこで、全ての妖怪にエピソードを作り、そこに主人公たちの物語を絡ませていくオムニバス形式に決まりました」

『ROKUROKU』が映画化に動き出したその頃、団地を舞台にしたホラー映画が公開された。本格恐怖ホラーとはベクトルの違う作品ではあったが、舞台設定が変更されるきっかけになったと言う。

「<オバケ団地>改め<オバケホテル>に変わりました。妖怪と遭遇する場所は一見バラバラですが、実は全てロクロクが支配するホテルと繋がっているんです。なので、各エピソードの最初にルームナンバーのような数字が出てきたり、すべてのエピソードが1つのホテルの中で起こっていることを意識しました」

登場する妖怪を小説よりも増やすため、脚本担当に熊谷祐紀も参加。梅田と共にアイディアを出していく中で、9つのエピソードが決まっていった。

「妖怪エピソードと、本筋の物語をどう繋げていくかが課題でした。最初に書いた脚本では主人公はイズミ(中西美帆)1人でしたが、最後にイズミが誰かを守るためにロクロクに立ち向かう展開にするため、ミカ(志保)とダブル主人公になりました。ロクロクとの決戦に向けて、他の妖怪エピソードが複線として、じわじわと二人に近付いていくようにしたんです」

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