ADHDは「障害」か? 精神科医が唱える新たな解釈

access_time create folderエンタメ
ADHDは「障害」か? 精神科医が唱える新たな解釈

ここ数年で「ADHD(注意欠如・多動性障害)」という言葉は広く知られるようになりました。ADHDは、

・待ち合わせや締め切りが守れない

・部屋を片付けられない

・忘れ物やミスが多い

といった、仕事や学業に直結してくる症状が特徴的で、だからこそ当てはまる人には「社会人失格」「ダメ学生」といった評価が下されやすくなってしまいます。

もちろん人によって程度の差はありますが、もしあなたがこうした症状に心当たりがあるなら、そしてもし身近に心当たりのある人がいるなら、ADHDを「障害」ではなく「脳のクセ」だと考えてみると、気が楽になるばかりか、仕事やプライベートで抱えている問題についても解決の方法がみつかるかもしれません。

■「やるべきこと」より「やりたいこと」をやってしまう

『仕事&生活の「困った!」がなくなる マンガでわかる 私って、ADHD脳!?』(司馬理英子著、しおざき忍画、大和出版刊)は、ADHDを「障害」ではなく「脳のクセ」だと捉え、そのクセを知ることでADHDと上手に付き合っていくことができるとしています。

たとえば、「その時やりたいこと」を優先してしまい、「本来やるべきこと」を後回しにしてしまうというのはADHDの傾向がある人によくある行動です。

これによって、優先順位の高い仕事を把握しつつも後回しにして、「自分のやりたい仕事」を先にやってしまうということが起こります。今やりたいことを衝動的にやってしまうというのがADHD脳の人のクセとしてあるようです。

この行動を改善するために有効なのが、「途中で放り出してもいい」と楽な気持ちで、優先順位の高い仕事の方に5分だけ手をつけてみること。これだけでもやるべき仕事がそのまま後回しにされ、気づいた時には挽回不能になっている、というリスクは減るはずです。

■仕事の締め切りを守れない への効果的な対策は…

また、仕事を締め切りまでに仕上げられないことがよくあるという人も、ADHD傾向のある人かもしれません。

ADHD脳の特徴として「完璧主義」な一面が挙げられます。どんな仕事するにせよ、最初からきっちりやらないと気が済まないのです。

これは必ずしも悪いことではありません。ただ、作業工程の全体を見ないままこれをやってしまうと、どうしても効率が悪くなってしまいます。

作業の全体像を見極めて、きっちりやるべきところとそうでないところを判断するのは、慣れないと難しいこと。しかし、「一生懸命取り組んでいるのに、いつも締め切りに間に合わない」という人は、この点を意識してみると現状を改善するきっかけになるかもしれません。

本書の著者で精神科医の司馬理英子さんは、ADHDについて「一番の問題は自信を失ってしまうこと」だとしています。

ADHDの傾向がある人は、ベストを尽くしているのに周りから怒られたり、悪気はないの相手を怒らせてしまったりといってことがままあり。落ち込むこともあるかもしれません。

でもそれは、あなたがダメな人だからではなく、自分の脳のクセの扱い方がわかっていないからです。本書ではその扱い方につい、細かく解説されていますので、ADHDと診断されたことがある人も、診断されてはいないもののその傾向がある人も、参考にしてみてはいかがでしょうか。

(新刊JP編集部)

【関連記事】

元記事はこちら

【「本が好き!」レビュー】『果報者ササル――ある田舎医者の物語』ジョン・バージャー著

トランプ大統領を生んだアメリカの「企業と政治の癒着」の実像

  1. HOME
  2. エンタメ
  3. ADHDは「障害」か? 精神科医が唱える新たな解釈
access_time create folderエンタメ

新刊JP

ウェブサイト: http://www.sinkan.jp/

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。