替え玉10円!? 県内外に12店舗を構える博多ラーメンチェーンがすごい理由【福岡・福重】
ラーメン激戦区、福岡市西区福重に替え玉10円のお店がある!
福岡県民の血管の中は、血ではなくとんこつスープが流れています。その証拠に、例えば地元を離れて上京した福岡県民はとんこつラーメンを一定期間食べないと貧血のような症状に陥り生気が無くなるのです。挙句の果てに禁断症状が出て夜な夜な夜中の街道をラーメン求めてさまよい歩く事態に陥ります。「とんこつラーメンが食べたいのだー!」ああ恐ろしや。
ということで、メシ通レポーターの桂です、こんにちは。
今日は朝起きたら胃袋が(いや心臓が?)とんこつ成分を求めていました。ということで、お昼はラーメンにしようと思います。しかもかなりお腹が空いているので替え玉しまくるつもりで!
そこで今回お邪魔したのが、福岡有数のラーメン激戦区、福岡市西区福重にあるラーメン「博多三氣」です。実はこの福重周辺、そりゃもうびっくりするほど多くのラーメン店が集中していて、互いに火花を散らして競い合っています。東京都心部にお店を構え連日行列ができるほど有名なあのお店や、地元客に愛されてうん十年続いている老舗のあのお店や、ドライバーさんに人気のあのお店などなど。福重交差点を中心にした半径1キロ以内に少なくとも15店はラーメン店があります。まるで街中にラーメンスタジアムがあるようなものですね。
そんな福重エリアでひときわ目立つ「替え玉10円」の看板!
10円ですよ10円! 今時チロルチョコだって10円では買えません。
普通、ラーメンの替え玉100円は当たり前、お店によっては150円取るところだってあるのに、ここは10円!
これはもう行くしかないでしょ。
あ、ちょっと話がそれますが、福岡ではわざわざ”とんこつ”ラーメンという風に頭にとんこつを付けて呼びません。ラーメン=とんこつラーメンです。なのでラーメン店といえばとんこつラーメンを出すお店です。お店もそれをわかっているので、看板に「ラーメン」としか書きません。
市内には味噌ラーメンや家系ラーメンのお店もありますが、その場合は大きく「札幌味噌ラーメン」とか「横浜家系ラーメン」と書かれています。
このレポートでも、ラーメンとしか書いていないので違和感のある方がいるかもしれないと思い、念のため説明してみました。以上、レポーター桂の軽いうんちく講座でした。
駅からは少し離れているので車かバスで
さて、一応最寄駅からの道順をご案内しておきます。市営地下鉄姪浜駅の南口を出て姪浜大通りをまっすぐ南下。
都市高速のガード下を抜けてさらに南下。駅からだいたい1.5キロくらい行くと通り沿いの左側に「ラーメン」と書かれたデカい看板が出現します。
この看板から先が駐車場となっており、奥に「博多三氣 姪浜大通り福重店」があります。
達筆ですね~。誰が書いたのでしょうか。豪快な看板です。
入り口横には店名の由来が書かれています。三氣というのはこの三つの氣を意味しているんですね。
気合入ってます。これなら味も期待できそうですね。
この「ラーメンWalker人気投票 九州ブロック2位」というのも気になります。ただでさえ激戦区に立地しているわけですから、味に自身が無いとここまで大々的にアピールしませんもんね。
入り口の自販機で食券を買うシステム
入り口の暖簾をくぐると目の前に食券販売機があります。このお店のラーメンはどうやら数種類あるようですね。
店名の由来となった「やる氣」「げん氣」「負けん氣」の他に三氣ラーメンやラーちゃんとかいうメニューもあります。
どれにしよう……。
一番ベーシックな「やる氣」にしようかな……。
いやいや、これでもグルメレポーターの端くれ。
定番のラーメンを食べて
“さすが今一番勢いのあるチェーン店の味! あっさりしているスープは麺とよく絡み絶妙の味わいです。あっさりの中にも深いコクがあって女性やこってりとんこつが苦手な人にもオススメです”
というような無難なレポートをしても面白くない。
よし、ここは辛みそとんこつの「げん氣(630円)」にしてみよう。ということで食券購入。
あれ? 替え玉の食券は? と思った方。
まあ、お待ちください。
店内はカウンター席とテーブル席に分かれていて、お一人様でもご家族でも大丈夫です。
店内は博多の有名な祭り「博多祇園山笠」と「博多どんたく港まつり」をモチーフにした作りです。カウンターも屋台っぽくなっていていいですね。こういう博多感大好きです。ということでカウンターに陣取ります。
そうそう、大事なことを忘れてた。
福岡のラーメン店には、必ずと言っていいほど席にはこれがあらかじめ用意されています。
ごま、胡椒、ラーメンのタレ、餃子のタレ、ラー油、唐辛子のセット。
そしてもちろん、
取り放題の辛子高菜。これ大事。
このセットがテーブルに置いてないとラーメン店に来た気分にならない! というのが福岡県民。
早速店長にお話しを聞いてみました
ラーメンが出てくるまでの間、店長の松﨑浩平さんにお話をうかがいしました。
──替え玉10円って、すごく思いきった価格設定ですよね。
松﨑さん:そうですね。麺単体で見るとはっきり言って赤字です(笑)。でも、創業者の”多くの人に博多ラーメンをお腹いっぱい味わってほしい”という思いがあるので、10円という価格でご提供しています。
──周囲の競合店を意識してのことですか?
松﨑さん:それもありますが、ただ、うちの会社はここに限らず全店替え玉10円です。東京にもお店がありますがそこも10円ですよ。
──にもかかわらず、麺にはかなりこだわっているとか?
松﨑さん:こだわっていますね。実は福岡で作られたラーメン専用の小麦『ラー麦』を100%使用しています。通常の小麦と違って博多ラーメン専用に開発された麦なので、茹で伸びしにくく香りも味もとんこつスープにマッチしています。
──それだと余計にコストがかかるんじゃないですか?
松﨑さん:外国産の小麦を使うより割高ですね。でもうまいラーメンを安くというのが基本の姿勢なので。
──こだわりは麺だけですか?
松﨑さん:いえ、ネギも隣の糸島産、チャーシューも九州産の豚で作っています。材料は九州産にこだわっていますね。
──糸島産ですか、糸島ブランド強いですねやはり。
松﨑さん:美味しいですからね。とかくラーメンと言うとスープに注目が集まりがちですが、うちの場合麺にも注目して召し上がって欲しいと思います。
※ラー麦とはこちら(福岡県庁のラー麦紹介HPへリンクしています)
辛みそとんこつ「げん氣」、実食! と、その前に。
貴重なお話しをうかがった後、自慢のラーメン作りを厨房にお邪魔して見せていただくことにしました。
これが自慢のラー麦100%自家製麺ですね。真っ白ではなくやや黄色っぽい麺です。
丼には辛みそがスタンバイ。この辛みそも自家製です。
麺の硬さは”カタ”でお願いしたので、茹で時間は短めです。
では実食!
麺も茹で上がり、具がトッピングされたラーメンがカウンターに届きました。さあ、食うぞおぉ!!
▲辛みそとんこつ「げん氣」(630円)
まずはスープから頂くとしましょう。どれどれ。
うまい! 辛い! いやうまい!! いや辛い!!
辛さとうまさが交互に押し寄せて深い味わいになるというちょっとした驚きです。
とんこつ的にはややあっさりしたさらさら感のあるスープですが、そこにこの辛みが加わることでパンチのきいた味に仕上がっています。
次に麺をいただくとしましょう。
写真では伝わりにくいですが、麺がスープを吸ってふやけることが無く、カタならカタのままで最後まで味わえます。
他のお店ではあまり味わったことの無い歯ごたえの良さも感じます。擬音で表すなら、ズルズルではなくスルスルって感じ。
チャーシューの味は九州的なやや甘さを感じる味付け。申し分ありません。
ゆで卵まで乗ってこの価格、東京だと800円取れるんじゃね? と思ってしまいます。
それはともかく、お腹も空いているので一気に麺を平らげてと……。
替え玉する時はスープをある程度残しておかないと悲惨なことになるからね~(笑)。
すいません! 替え玉カタで!
と、ここでこのお店、替え玉の代金はどうするかというと、
お店のスタッフさんに10円玉を手渡します。
わざわざ食券を買わなくてもOKなんですね。福岡では結構当たり前ですが、全国的に見ると珍しいようです。
ありがたやありがたや。
替え玉オーダーから約1分、カウンターに替え玉が届きました。
▲替え玉(10円)、どんぶりに入れてくれるサービス(0円)
さっきから思ってるんですが、いろいろサービスいいですよねこのお店。
店員さんは元気いいし、愛想もいいし、常に笑顔で対応しています。ラーメン店のイメージらしからぬ接客です。
この点を店長に聞いたところ
「ホスピタリティだけは他のお店に負けませんし、最後お見送りまでするのが三氣流です」とのこと。
さて、替え玉を頼んだらまず真っ先にすることといえば!
そう! 取り放題の辛子高菜を盛大にON!
辛いスープの上にさらに辛いのを乗せるの? って突っ込みは大歓迎。これがいいのです!
でも乗せ過ぎにはご注意を。
ほんとに辛いから!(泣)
あ、忘れてた。
ネギも追加無料だったんだ。
すいません! ネギください!
そして出てきた山盛りのネギ!
好きなだけどうぞとのこと。うれしいなあこのサービス。
ズルズル……。
うん、まだいける。
すいません、替え玉もう1つ! カタで!
▲替え玉2回目(10円)、中に入れてくれるサービス(0円)
味が若干薄くなったので、テーブルの上のラーメンのタレを継ぎ足して美味しくいただきました。
人によっては同じく取り放題の紅ショウガを入れる人もいます。このお店にも各テーブルに紅ショウガが置いてあり取り放題です。
確かに紅しょうがを入れてもいいのかもしれませんが、私は入れません。
実は紅ショウガ、入れる入れないで博多を2分する戦争が起きそうなのでコメントはここまで。
スープを最後までごくごくと飲み干します。うまいです。胃にしみわたります。そして全身にパワーがみなぎってきます。
きっと福岡人には胃袋の中のとんこつ成分を抽出して心臓に送り届ける謎の器官が備わっているに違いありません。
体の隅々までとんこつが行きわたったところでレポート終了~。と、ここであるものを発見!
辛子高菜は持ち帰りできます
ふと壁を見るとこんな貼り紙がありました。
あ、これも安い!
駅の土産物店とかだと200gで500円とかするのに。
これは持ち帰らねば!!
もちろん、店内オーダーなので現金を手渡しです。楽でいい!
▲持ち帰り用辛子高菜 200g(300円)
言い忘れましたが、この辛子高菜も自家製です。うまいです。持ち帰ってご飯に乗せて食べるもよし、チャーハンにするもよし、和風パスタを作るにもよしといった味です。
そろそろ帰るか、と思いふと壁を見るとこんな掲示がありました。
博多の魅力、そして食文化を広めたいという思い。このお店のホスピタリティの原点はこれなんだなあ。
ポスターの下に“いいねボタン”があったら連打してしまいそうです。
博多の魅力を全国に広めたい、これは私自身も常日頃から考えていることです。
東京からUターンしてきてこの仕事を初めて、やっぱ福岡っていいなあと実感する毎日。
少しでも多くの福岡の魅力を全国に届けたい。このお店に来て一層その思いが強くなりました。
最後は店長自らお見送りしていただきました。
味も店内もポリシーもスタッフさんの接客も、すべて満足のお店です。しかもこの安さはちょっとびっくり。何度も通いたくなるお店ですね。次は替え玉の限界にチャレンジしてみようかな。
そしてこれだけのクオリティが手軽に体験できるなんて、やっぱり福岡はいいところだと実感しました。
福岡万歳!(笑)
お店情報
博多三氣 姪浜大通り福重店
住所:福岡県福岡市西区福重4-5-9
電話番号:092-407-6278
営業時間:11:00~24:00(LO 23:45)
定休日:不定休
ウェブサイト:http://hakata-sanki.jp/
※金額はすべて消費税込です。
※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。
書いた人:桂浩一
1968年生まれ。福岡出身。東京で就職するも福岡の味が忘れられず、何のあてもあなく退職してUターン。 現在フリーライターとして活動中。メシと酒とホークスをこよなく愛する自由人。 一応、人事組織コンサルタントみたいなこともやっているが本業は食べ歩きと思っている。
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