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アドビ製品をサブスクリプション形式で提供する『Adobe Creative Cloud』とは何か

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アドビ製品をサブスクリプション形式で提供する『Adobe Creative Cloud』とは何か

アドビ システムズは2012年上半期に、ソフトウェア製品やサービスを年間契約のサブスクリプションで利用可能にするクラウドサービス『Adobe Creative Cloud』の提供を開始することを10月のイベント『Adobe MAX 2011』で発表しました。これに伴い、デザイン・開発向けソフトウェア製品『Creative Suite(以下『CS』)』やこれを構成する『Photoshop』『Flash Professional』などのソフトウェア製品のアップグレードについて、次期バージョンからは過去の主要1バージョンのみをアップグレード対象にすると発表。『CS4』以前の製品を使うユーザーから反発の声が挙がっています。

『Creative Cloud』とは何なのか、従来のパッケージ製品はどうなるのか……などの疑問に答える形で、アドビは11月18日に『Creative Cloud』のプレス向け説明会を開催しました。この日はモバイル用『Flash Player』の開発終了で注目されるFlashプラットフォームの今後についても言及。日本法人から正式な見解が明らかにされています。

『Creative Cloud』とは

『Creative Cloud』の内容

『Creative Cloud』では、大きく分けて『Creative Apps』『Creative Services』『Creative Community』の3種類のサービスが提供されます。その内訳は次のとおり。

『Creative Apps』の内容
・『Adobe Creative Suite Master Collection』に含まれる以下の全製品が利用可能になる
Adobe Acrobat Pro
Adobe Photoshop Extended
Adobe InDesign
Adobe Illustrator
Adobe Contribute
Adobe Dreamweaver
Adobe Fireworks
Adobe Flash Builder Premium
Adobe Flash Catalyst
Adobe Flash Professional
Adobe After Effects
Adobe Premiere Pro
Adobe Audition
Adobe CS Live

・現在ベータで提供している下記の製品が利用可能になる
Adobe Edge
※HTML5/CSS3ベースのアニメーションやインタラクションを作成するツール
Adobe Muse
※デザイナー向けウェブサイト作成ツール

・Androidタブレットや『iPad』で動作する下記のアプリ製品群『Adobe Touch Apps』が利用可能になる
Adobe Photoshop Touch
※タブレット向けの『Photoshop』
Adobe Collage
※コラージュやイメージボードの作成ツール
Adobe Debut
※プレゼンテーション用ツール
Adobe Ideas
※ベクターグラフィックスツール
Adobe Kuler
※カラーテーマ作成ツール
Adobe Proto
※ウェブサイトのプロトタイプ作成ツール

『Creative Services』の内容
・20GBのクラウドストレージ
・『Adobe Touch Apps』とパソコンの同期サービス
・電子出版サービス『Digital Publishing Suite』の『Creative Cloud』版
・ウェブサイトの構築・管理用サービス
・ウェブフォントサービス

『Creative Community』の内容
・アイデアやクリエイティブを共有するサービス
・テクニカルサポート
・ユーザーフォーラム
※コミュニティ機能については多くの部分が未定

この日は『Adobe Touch Apps』のデモと説明もありましたが、ガジェット通信はこちらをお借りしてレビューする予定。詳細は後日お届けする製品レビュー記事をご覧ください。

『Creative Cloud』の料金体系

料金体系

料金については、個人で年間6万円(月割り5000円)、ワークグループのライセンスで年間9万円(月割り7500円)。いずれも年間契約が必要になります。

「ワークグループ」が法人を指すのかどうかなど、詳細な定義については今のところ不明。年間契約のほかにも、月々で支払う、必要な期間だけ支払うなどの料金体系も用意するようですが、詳細は未定となっています。

WindowsとMac、複数台のパソコンなど、1ユーザーが複数の端末で利用する場合の料金は不明とのこと。

従来のパッケージは存続

『Creative Cloud』の提供後も、従来の『CS』や単体ソフトウェアのパッケージ製品は提供を継続します。ただし、パッケージ製品のアップグレードは、次期バージョンの1バージョン前となる『CS5』と『CS5.5』のみが対象となるので注意が必要です。

『CS5.5』から、1か月単位や年間契約で料金を支払うサブスクリプション制が導入されています。こちらについては『Creative Cloud』提供後に別の料金体系へ移行するものとみられますが、詳細は協議中。『CS5.5』のサブスクリプションは単体ソフトウェアでも適用されていたのですが、単体ソフトウェアのサブスクリプションも「残るかもしれない」とのこと。

写真管理ソフトウェア『Photoshop Lightroom』など、『CS』のパッケージに入らない製品については、今後の提供形態は未定とのこと。おそらく、パッケージ製品がそのまま存続するものとみられます。

『Creative Cloud』提供の背景

『Creative Cloud』提供の背景

同社は『Creative Cloud』提供の背景として、「市場変化の早さ」を強調しています。これまでバージョンアップのリリースサイクルが1年半から2年だったところ、『CS5.5』からメジャーバージョンアップのサイクルを2年、市場の変化に対応する中間サイクルを1年と定義したばかり。ところが、実際の市場の変化はさらに早くなっていることから、一定サイクルのバージョンアップではなく、市場が求める最新のテクノロジーを提供するのにサブスクリプション制が適していると判断したと説明しています。

ここで言う「市場の変化」とは、スマートフォン向けにコンテンツを提供する環境の変化を指しています。『Flash』で制作したコンテンツをスマートフォンに提供するために、アプリとして書き出せる『AIR』のモバイル版を開発し、これがアップルから一時的に排除されたり、モバイル用の『Flash Player』がまもなく開発を終了するなど、スマートフォンをめぐるコンテンツの環境はめまぐるしく変化しています。モバイル向けのウェブコンテンツのプラットフォームはHTML5が中心になりつつありますが、同社はHTML5用のデザイン・開発ツールも開発中。こうした市場変化の早さに対応するのが『Creative Cloud』提供の狙いとなります。

では今後Flashプラットフォームはどうなるのか? この日はその点についても説明がありました。

Flashプラットフォームの今後

発表のポイント

11月9日に発表したモバイル向け『Flash Player』の開発終了について、まず発表のポイントが整理されました。

1. Flashプラットフォームについて今後注力する項目は、『AIR』で作成するモバイルアプリケーションと、パソコン用ブラウザ上で『Flash Player』により再生するゲームやビデオなどの表現力豊かなコンテンツ

2. HTML5については、デザイン・開発ツールやソリューション、ブラウザエンジンの『Webkit』について開発のリソースを拡大

3. モバイル用の『Flash Player』は発表どおり、今後積極的な開発を行わない

モバイル版開発終了の理由

続いて、モバイル用『Flash Player』の開発を終了する理由を説明。iOS向けに『Flash Player』が提供できないことから、OSやブラウザ、端末を問わず同じコンテンツを再生できる普遍性が実現できないこと、モバイルのブラウザ上ではHTML5がその普遍性を実現できるようになりつつあること、モバイル端末でリッチコンテンツはブラウザ上ではなくアプリをインストールして利用されること、モバイル用『Flash Player』開発ではOSベンダー、端末メーカー、GPUなどコンポーネントメーカーと継続的な協業が必要で、パソコン用と比べて開発が困難であることを理由として挙げています。

Flashプラットフォームの今後

Flashプラットフォームの今後については、『AIR』をパソコン、モバイルのいずれにも強化していき、『Flash』の新機能も『AIR』に盛り込んでいきます。パソコン用の『Flash Player 11』で実装された新機能は、モバイル向けで最後のリリースとなる『Flash Player』と『AIR』に実装されることは既に報じたとおりです。

モバイル用『Flash Player』はあと1回アップデートされることが判明 『AIR』と共にPC用最新版と同等の機能実装へ
http://getnews.jp/archives/152995

パソコン用『Flash Player』については、今後もブラウザで実現できない機能を提供し、新機能も開発中。HTML5と『Flash』の関係については、『Flash』がHTMLを補完する関係は今後も同様であるとしつつも、従来『Flash』にしかなかった機能が今後HTML5やCSS3で実装されるであろうという見通しを明らかにしています。オープンソースのウェブアプリケーション開発フレームワーク『Flex』は、アドビからApache Software Foundationに寄贈され、今後の開発の方向性はコミュニティが決定していくとのこと。

ユーザーと対話するイベント開催へ

Flashプラットフォームの現状と今後については、12月3日と4日に開催されるイベント『FITC Tokyo 2011』で来日する米Adobe Systems社員が日本のFlashユーザーコミュニティと対話するイベント『FLASH MEETUP』が12月6日に開催され、そこでも新たな情報が明らかになる模様。同イベントには、Flashプラットフォーム主席プロダクトマネージャーであるMike Chambers氏、プロダクトマネージャーのThibault Imbert氏、プラットフォームエバンジェリストのLee Brimelow氏の3名が出席します。

FLASH MEETUP
http://atnd.org/events/22297[リンク]

開催日時:12月9日(火) 19時~21時
会場:ゲートシティ大崎 ホールB
入場料:無料

定員240人のところ、現在267人の参加希望者が参加を表明しており、今後の参加希望者はキャンセル待ちとなっています。

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記者:

宮原俊介(編集長) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます

ウェブサイト: http://mogera.jp/

TwitterID: shnskm

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