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スーパーカーを愛し、スーパーカーを憎む、すべての人々に――私がオーナーになれた理由【前編】

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▲スーパーカーそのものにももちろん興味はあるが、本当に知りたいのは「どうすればそれが買えるような人間になれるのか?」ということだ

スーパーカーオーナーと私たちの間にある「違い」

雑誌「カーンセンサーEDGE」などの仕事をしている関係で、「車好きの富裕層」と呼ばれる男性を数多く取材してきた。当然、彼らが所有している車はいわゆるスーパーカーである。その買い方も皆、「あぁ、コレが出るって聞いたんで予約して買ったんですよ。値段? 詳しくは覚えてないなあ……」と、まるで大根か何かを買ったかのようだ。そして彼らは、半年後に再会するときはまた別の最新スーパーカーに乗っていたりする。

……これはいったい何なんだろうか。

筆者は己の実力および努力不足によりフリーライター(別名:無職)に身をやつしているが、仮に幼少期から親や教師が勧めるとおりの道筋をマジメに進んだとしても、想像しうる最上の結果でせいぜい「某一流私大卒、某大手総合商社(または民放キー局)勤務。自宅は東京都江東区豊洲のタワマン(30年ローン)で、愛車はキャッシュで購入したBMW 420iグランクーペ」程度だろう。

「せいぜい」といったが、これでもかなり経済的に成功した部類に入るはずだ。しかし通常のコース(?)で最上の結果を出し続けたとしても、「半年に一度、最新スーパーカーを買い替える」という生活には絶対に行き着かない。つまり両者の間には「努力と工夫次第で何とかなる差」ではなく、何らかの「絶対的な違い」があるのだ。深くて暗い川があるというか。

その「違い」とは何なのか? どうすれば、自分も川の向こうへ行くことができるのか? 富裕層と呼ばれる人たちの愛車を取材する際、筆者の興味は常に(申し訳ないけど)スーパーカーそのものではなく、そこにあった。

そしてこのたび、ついに「深くて暗い川」の正体を探る機会を得た。つまり「車好きの富裕層」と呼ばれる人々に対して「スーパーカーではなく、『スーパーカーが買える人生の作り方』について教えてください」と尋ねる企画だ。

その問いをぶつけてみたのが、関東圏にお住まいの会社社長、Aさんである。

▲これまでの半生をじっくり語ってくれたAさん、60歳

アストンマーティン DB9、BMW M3、そしてその他モロモロ

医療関係企業の「代取」をやってらっしゃるAさんのご自宅に到着する。

「やあ、いらっしゃい!」とにこやかに迎えてくれたAさんに、まずは自動車メディア関係者の、そして自動車愛好家の礼儀として、車そのもにについて尋ねてみる。

「これまで乗りたいと思った車にはほとんど乗ってきましたが、今あるのはそんな大したことないですよ。出た翌年に買ってからずっと乗ってるアストンマーティン DB9と、マセラティのクワトロポルテ、ゴルフに行くとき用のメルセデス CLSシューティングブレーク、あとはカミさん用のBMW 2シリーズ カブリオレと、そんなもんです」

世の中には半年ごと、下手すりゃ3ヵ月ごとに車を買い替える富裕層も多いが、Aさんは気に入ったモデルには長く乗るタイプのようだ。

「このアストンにもずいぶん長く乗ってるけど、以前乗ってたE36型のBMW M3には16年間乗りましたからね。あれはホントいい車だったなぁ……。タバコをやめさえしなければ、たぶん今でも乗り続けてたんじゃないかな」

昔はスモーカーだったAさんだが、数年前に一念発起して禁煙に成功。すると、M3の車内にこびりついていたタバコのにおいがどうしても我慢できなくなってしまった。ルームクリーニングをし、そして内装の張り替えも行ってみたがどうしても取れないということで、泣く泣く手放すことに。

「しっかりしたイイ車ってのは、ホント飽きないものですよね……」

単なるファッションやアクセサリーとしてスーパーカーを乗りちらかすのではなく、いわゆるカーガイ的なマインドをお持ちの人物なのだろう。

▲Aさんご自宅のガレージの一部。手前のアストンマーティン DB9は、いつもであればこの写真には写っていない奥のシャッター付きガレージに収まっている

地下室には楽器とオーディオだけで推定1億円以上のアイテムが……

「ま、それはさておき暑いですから中へどうぞ!」

ということで招き入れられた瀟洒なAさん邸。どうやら「趣味の部屋」であるらしい地下室へと案内される。すると……何なんだ、この光景は。

推定60畳はある地下室に(いや、もっと広いかもしれない)、オーディオのパワーアンプがひーふーみーよー……いやもう数えるのがめんどくさくなるほど大量に鎮座している。

▲写真はオーディオのパワーアンプではなくレコードのターンテーブルが主体となっているが、一番手前のターンテーブルもかなりの貴重品。その奥には超大型のサブウーファーが壁面に埋め込まれている

「こ、これは○○社の真空管アンプ! 超レア物じゃないですか!」

と、実はオーディオに詳しいらしいOカメラマンが声を上げ、Aさんも「ん? アナタわかるの? そうんなんですよ! これはねえ、○○が××で……」と、ひとしきりマニア同士の会話が盛り上がる。門外漢である筆者にはその価値はサッパリわからないが、どうやらココは宝の山らしい。しかし、オーディオには詳しくない筆者でも注目せざるを得ない一群の品があった。

超絶大量のアコースティックギターだ。

それもただのギターではなく、かなりのヴィンテージ物とお見受けする「マーティン」。その数は、ひーふーみーよー……と、これまた数えるのがめんどくさくなるほどで、おそらくだが50本以上。下世話な話で恐縮だが1本100万円として5000万円以上。いや、1940年代のマーティンともなると1本400万円以上はザラだったりするので、おそらく5000万円では足りないだろう。

▲米国の「マーティン」を中心とする貴重なヴィンテージ・アコースティックギターの数々。最初に購入したのは新品2本だったが、その後どんどんヴィンテージ品収集にハマっていったという

なぜスーパーカーを手に入れられるほどのお金持ちになれたのか?

そして玄人はだしの腕前でAさんが奏でるグランドピアノは、スタインウェイ、ベヒシュタインと並ぶ「ピアノ製造御三家」とされるベーゼンドルファー。「インペリアル」というモデルだ。価格は、おそらくだが4桁万円以上。

「これぞというスタインウェイを探すため全国のピアノ屋さんを回って試奏してみたんですが、結局このベーゼンドルファーの音が、わたしにはいちばんしっくりきたんですよ。値段ウンヌンではなくこの音がね、ホント最高なんです」と言いつつ、華麗なオブリガードを奏でるAさん。……ステキだ、なんてステキすぎる生活なんだ。

さて、そろそろ今回の訪問における「真の質問」をしなければならないタイミングだろう。ということでAさんの目を見つめ、率直に尋ねる。

Aさん。ところであなたはいかにして、このような生活を構築できるに至ったのですか?

「……それはね、当たり前の答えでつまらないかもしれませんが、『一生懸命働いたから』ですよ」

(以下、後編へ続く)

▲ベーゼンドルファー インペリアルを奏でるAさん。その音色はこの上なくスイートだったtext/伊達軍曹

photo/尾形和美

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