【肉+スパ+飯】セミオーダー制トルコライス! パーツを組んで大人のお子様ランチ勝負
わんぱくな大人のお子様ランチ
大人のお子様ランチとも言われるトルコライスをご存知でしょう。
定義としては「トンカツ、ピラフ、スパゲティを一皿に盛ったワンプレートご飯」です。なんともわんぱくな食べ物です。
長崎のご当地グルメでありまして、名前の由来は諸説ありますが、国のトルコとは関係ないとのこと。
高田馬場駅から早稲田通りを5分くらい歩いたところに気になる看板があります。
ここが「たまき食堂 高田馬場店」となります。
飯、スパ、肉。
トルコライスの3つのエレメントを自分で選んで注文できる仕組みのようです。
たとえば「ピラフ+ミートソース+鶏のからあげ」とか「カレーライス+カレースパ+煮込みハンバーグ」というふうに、好きな構成のトルコライスが楽しめるんですな。
さながらパーツを選んで自分好みのマシンを作れるBTO方式、セミオーダー制のトルコライス屋さんです。なんというか、四輪駆動の自動車のオモチャ、あるいはベーゴマのアレをほうふつとさせる燃えるシステム。
ならば。
パーツを選んで最強のトルコライスを作る勝負をしましょう。
そういうことで集まってもらったのは、ご当地である早稲田大学理工柔道部・柔道会の面々です。左より、部長の向山さん、渡辺さん、1年の原さん、3年の原さん。
食いしん坊を集めました。
紙に書いてパーツ注文するセミオーダー方式
このメニューから肉・スパ・飯のパーツをチョイスして。
盛りのサイズを選んで食券を買うのです。
小盛 (690円)、並盛 (790円)、中盛 (890円)、大盛 (990円)、特盛 (1,190円)、特大 (1,390円)。
オーダーのシステムは、組み合わせたいパーツをマルで囲んで注文です。
勝負の世界に生きる早稲田大学理工柔道部・柔道会のみなさんはこの段階からウンウンと悩んでいます。負けたくないという強い気持ちを感じます。なんか楽しそうですが、これは真剣勝負ですよ。
それではあらためて本日のエントリープレイヤーをご紹介しましょう。
部長でもある向山さん。3年生。柔道二段。100kg級。得意技は大外刈。トルコライスはパワーで押していくスタイルです。
3年の原さん。柔道初段。66kg級。特技は背負投。トルコライスは終盤の粘りで勝ちに行くスタイルです。
渡辺さん。3年生。柔道三段。48kg級。得意技は内股。今回唯一の女性選手です。確かな味覚と安定の箸運びが持ち味です。
1年の原さん。柔道初段。73kg級。得意技は一本背負投。背負投ではなく一本背負投というところが曲者です。トルコライスは序盤から攻めていくスタイルです。
そして、せんえつながら筆者の私もエントリー。書道二段で階級は60kg。払腰が得意技です。トルコライスは攻守のバランスを考えるタイプ。
TORUKO RICE is not a Turkish Rice.
各選手のマシンができあがってきました。
向山選手のマシンはなんと白飯! 「白飯が最強です」とは本人の弁。とりからマヨネーズのこってり味で白飯を運ぶ計画です。ナポリタンレッドがまぶしいです。
3年の原選手はチキンライスとデミグラスロースカツという定番の飯と肉にカレースパで変化をつけてきました。チキンライスはオカズ無しでも進めることができる安心のパーツ。
渡辺選手はピラフと煮込みハンバーグで洋食のセッティング。明太スパを選んでくる女性らしさがイカしてます。
1年の原選手。ドライカレーとミートソーススパは定番を外して変化をつけた構え。ごまだれ豚しゃぶもトリッキーで、柔道のスタイルと同じような雰囲気を感じます。
筆者のマシンはカレーライスにナポリタン。間違いなくおいしいセッティングを狙いました。チキンカツはあえてのソース味。デミグラスではなく、とんかつソースです。体力の有り余っている若者を相手に戦うので、単品で強いものだけを選びました。
各マシンがスタートラインに並びました
まもなくスタートです。
位置について。
用意。
スタート!
オーダー制トルコライスのアイデアは二号店で発動した
それではここで店長の島倉さんにお話をうかがいましょう。
たまき食堂の本店は世田谷にある中華のお店です。高田馬場は二号店。
本店は東京都市大学の近くなので大学生が多いこともあり、まずはそこでトルコライスも始めたとのこと。
その時は一種類だけだったけど頭の中で『あれもできるな、これもできるな』とトルコライスのアレンジを考えていたんです(島倉さん)
しかし、まあ現実的にオーダー制はできないので、本店でのトルコライスは固定メニューでやっていたのですが、二号店を高田馬場に作ることになりました。
そのときに、新しく始める二号店ならオーダー制トルコライスの計画が実行できるということで、このような楽しいスタイルが実現したわけです。
目標はアツアツで提供すること。ですが、実際にやってみたら三種類のパーツを同時に完成させるのが思ったよりも大変でした。オーダートルコライスの注文が殺到してくると、ほかのスタッフと手分けしても「もうダメだ!」というときもあったと言います。
ランチ時に違うセットの注文が複数入ってくると作るのが追いつかなくなってきたので、ランチのメニューを決めたんです(島倉さん)
それが「本日のランチトルコライス並盛 (740円)」なんですね。注文がこれに偏ってくれると厨房がピンチになりにくくなるという知恵です。
ちなみに高田馬場店に来る早稲田の人の特徴としては、ナポリタンやチキンライスなどケチャップ味が好まれる傾向があるとのこと。
そして意外と爆発的にやたらと間違いなくおいしいのがオリジナルのカレーです。
以前はあめ色タマネギや小麦粉から炒めるなどの本格的なカレールー作りをしていたそうです。なんでもスパイスの調合からやったという気合の入りよう。
しかし安定した提供を考えて、いまは肝心な部分だけをオリジナルで作っているといいます。実際に、ここのカレーはじつにおいしい。トルコライスに組み合わせるならカレーがらみのパーツは必ず入れておきたいものです。
最強のトルコライスのパーツ組み合わせはどれだ
さて、レースが終了したようです。
各選手のコメントを見てみましょう。
向山選手は白飯をメインにとりからマヨネーズとナポリタンというパワーセッティングで豪腕を振るいました。
「白飯にはなんでも合うんで。ナポリタンは味が濃くてシンプルでした。鶏のから揚げは辛子マヨが効いていたのでコメが進みました」
さすが部長というべきか、堂々とした戦いっぷりでした。
3年の原選手はデミグラスロースカツをセンターに置き、チキンライスで赤味を足し、カレースパを一気に吸い上げるスタイルでした。
「ケチャップのパンチがあるチキンライスがおいしかったです。デミロースカツに合うご飯でした。カレースパは麺にルーがからんで良いですね」
最後まで攻めの姿勢を貫いた食いっぷりだったと思います。
渡辺選手はピラフと煮込みハンバーグで王道を行きつつ明太スパという異色の小技を使ってきました。さすが三段。今回のメンバー最高段位です。
「明太スパはおいしすぎました。今までで一番おいしい。口に入れた時のプチプチ感に感動です。煮込みハンバーグは粗挽きで、ひとつひとつが小さいので食べやすかったです。ピラフはバターがしつこくなくて、意外と全部食べられましたね」
とにかく全部がおいしかったという渡辺選手。キラキラと目を輝かせて感想を語ってくれました。
1年の原選手。ごまだれ豚しゃぶ、ミートソース、ドライカレーと、トルコライス的にはトリッキーな攻め方です。
「ドライカレーがおいしかったですね。ごまだれ豚しゃぶはあっさりしていて女性に受けそうだと感じました。ミートソースは挽肉を感じられる食感で食べごたえがありました」
肉パーツをあっさりめにして味にリズムをつける狙いはバッチリだったようです。
最後は私、筆者の感想です。
カレーライス、ソースチキンカツ、ナポリタン。主役を張れるパーツだけで構成した、まあおもしろみのないトルコライスですよ。
しかしカレーライスがとにかくうまいんです。そもそもピントのボケた味になりやすいトルコライスの中で、このオリジナルレシピのカレーはスペシャルでした。
ナポリタンはいま流行りの「昔ながらの喫茶店のナポリタン」で安心のクオリティ。ソースチキンカツは衣のパン粉が小さい系の薄衣カツ。これは肉を食べた満足感があるやつです。
しかし落ち着いて考えますと、これはトルコライスというよりも単に「チキンカツカレーにナポリタンをつけたもの」ではないか。……いやいや、そう疑ってしまうほどの完成度の高さでありました。
パーツを組み合わせて自分だけの最高のセッティングを見つけ出すのはホビーの楽しさです。トルコライスにもその楽しさを持ってくることができるんですね。
なんといいますか、メニューの構成を選んでる時間が超楽しいんですよ。おすすめします。
お店情報
たまき食堂 高田馬場店
住所:東京都新宿区高田馬場2-14-6 スワンビル B1F
電話番号:080-9677-0131
営業時間:11:30~22:00(売切次第終了)
定休日:不定休
※金額はすべて消費税込です。
※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。
書いた人:鷲谷憲樹
フリー編集者。ライフハック系の書籍編集、専門学校講師、映像作品のレビュアー、社団法人系の広報誌デザイン、カードゲーム「中二病ポーカー」エバンジェリストなど落ち着かない経歴を持つ器用貧乏。好きなトルコライスのパーツはアルミベアリングローラー。 Twitter:@nwashy
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