民泊・シェアハウスでマンショントラブル! どう対応すればいい?

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民泊・シェアハウスでマンショントラブル! どう対応すればいい?

少子高齢化や人口の継続的な減少傾向も影響して、全国の空き家率は13%を超えています(平成25年総務省調査による)。賃貸住宅マーケットが厳しさを増すなか、住宅スペースの活用法として新たな業態が登場しました。

マンションでもシェアハウスの活用例が増えている!

シェアハウスには、そもそも「共同生活を通じて住人同士のつながりを深める」という基本コンセプトがあり、それが若者世代を中心とする層に支持されています。

ただ現実的な問題として、ユーザーにとってはなるべく家賃負担を軽くしたいという事情や、一定のスペースに多くの賃借人を住まわせることで家賃収益を大きく増やしたいという供給側の期待があるのも事実です。

こうした事情を反映して、シェアハウスは一戸建て住宅だけでなく、3年ほど前から分譲マンションの住戸でも見られるようになり、その結果、管理組合とシェアハウス業者との間で紛争に発展しているケースも出てきました。

管理組合側がシェアハウスとしての利用を拒む理由としては、次の2つが挙げられます。

(1)騒音や大量のゴミ出しなど、住民のマナー・ルールが守られず、住環境が損なわれる不安がある

(2)住居内の改造工事において、建築基準法や消防法などの法令が適切に措置されず、火災等の事故が発生するリスクが高まる

上記(2)については、国交省が平成25年9月にシェアハウスが「寄宿舎」に該当すると認定し、居室間の間仕切り壁を原則として準耐火仕様にすることや、スプリンクラーの設置を義務付けるなどの措置を講じました。ただし、運営業者側がこれを確実に実施するかどうかの担保はありません。

高まる民泊ニーズへの対応でマンション内にトラブルが発生!

一方、昨今の外国人観光客の増加で注目されているのが、民泊ビジネスです。Airbnbのようなインターネット上の仲介サイトを通じて個人住宅を宿泊施設として他人に貸し出すことで、部屋のオーナーは家賃に代わる収益を稼ぐことができます。ユーザー側にとっても、ホテルに代わる宿泊先の第2の選択肢としてリーズナブルな価格で旅行や出張ができるという利点があります。

この民泊についても、分譲マンションの部屋を活用するケースが登場し、その結果利用者と住民との間でトラブルに発展している事例も発生しています。

その原因としては、次の3つが挙げられます。

(1)見知らぬ人間が頻繁に建物内を出入りすることに伴う不安がある

(2)騒音など利用者によるマナー違反によって住環境や資産価値が損なわれるリスクがある

(3)継続的な民泊活用は、旅館業法及び消防法に抵触する可能性が高い

また、都心部のタワーマンションでは、区分所有者の訪問客用に廉価で利用できるゲストルーム施設を長期間にわたって利用し、民泊ビジネスで差益を得ようとした悪質な例も見られます。

シェアハウスや民泊を排除するにはどんな対策があるか?

自己居住用の割合が高いマンションでは、シェアハウスや民泊として住戸を活用することを好ましく思わない傾向が強いでしょう。ただ、マンションの管理規約では主として「共用部分の維持管理」のルールが定められており、区分所有者固有の財産である専有部分については「専ら住宅として使用すること」としか定められていないのが普通です。

したがって、マンション内にこうした用途の住戸があると分かったとしても、強制的に止めさせるのは難しいと言わざるを得ません。

一居住者としてできることは、こうした用途での利用に伴い騒音やマナー違反などの迷惑行為等があれば、ただちに管理組合の理事長(理事会)にその事実を伝えて然るべき対応を求めることでしょう。なぜなら、こうした行為に対して差し止め等を請求する権利が、法律で区分所有者全員に認められているからです(※下記の区分所有法の定め参照)。【区分所有法 第6条(区分所有者の権利義務等)】

1.区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。

【区分所有法 第57条(共同の利益に反する行為の停止等の請求)】

1.区分所有者が第6条第1項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。

一方、特に迷惑行為や法律違反等もなく、単にそのような用途で使われている事実しかない場合には、管理規約自体を改正してこれらの用途を禁止対象とするしかありません。ただ、管理規約を改正するには、区分所有者ならびに議決権総数の各4分の3以上の賛成が必要ですから、実現の難易度がかなり上がることになります。

快適なマンションライフは、「誰か任せ」の姿勢では決して守れません。「自分自身で守るもの」という覚悟と、居住者同士が互いに情報共有しながらいざというときに連携できるようなマンション内の関係性の構築が大切だと思います。
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