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築33年マンションの挑戦[後編] 目指すは100年、住民主導の修繕計画

築33年マンションの挑戦[後編] 目指すは100年、住民主導の修繕計画

川崎市高津区にあるパークシティ溝の口は、築30年を超えた現在も高い人気を誇る大規模マンションだ。中古での販売価格を調べてみると、75m2前後の3LDKの住戸で4500万円前後。新築分譲時は同程度の住戸が3000万円台前半だったというから、当時より高値がついていることになる。資産価値の維持の背景にあるのが、修繕委員会のたゆまぬ努力だ。これまでどのような取り組みが行われてきたのだろう。

2度目の大規模修繕を前に住民主導の修繕にスイッチ

JR南武線、東急田園都市線、東急大井町線の3路線が乗り入れる溝の口の駅から、歩いてわずか5分ほど。「パークシティ溝の口」は、三井不動産(現・三井不動産レジデンシャル)のパークシティシリーズの第1号として、1983年に竣工された。5万6761m2の広い敷地に低層棟7棟、高層棟5棟の全12棟が立ち並び、総戸数1103戸。敷地内にスーパーなども入り、当時としては画期的な複合開発だったこともあり、分譲時には20倍もの抽選倍率をつけた住戸もあったそうだ。

修繕委員会が発足したのは、2回目の大規模修繕を前にした2005年。その経緯について、委員長の丹保英男さんはこう説明する。

「1998年に行われた1回目の大規模修繕は、管理会社に言われるがまま。標準的な修繕工事を行うのみだったと聞いています。しかし、築20年を超えると同じようなわけにはいきません。このマンションに合った独自の修繕計画を立てるべきではないかという声が上がり、理事で構成される管理分科会の下部組織として、修繕を専門とする委員会が立ち上げられたのです」

任意のメンバーで構成される修繕委員会は、理事と違って任期がない。ある程度、固定のメンバーで、長期的に活動できるのが強みだ。2回目の大規模修繕は、この委員会を中心に住民主導で行う方針が固められたのである。【画像1】修繕委員会委員長、丹保さん(左)は、延べ5年間、修繕委員として活動。右は発足からのメンバーである矢野さん。このマンションには新築分譲時から住んでいるとか。2013年には、長年の功労によって管理組合から表彰されている(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

【画像1】修繕委員会委員長、丹保さん(左)は、延べ5年間、修繕委員として活動。右は発足からのメンバーである矢野さん。このマンションには新築分譲時から住んでいるとか。2013年には、長年の功労によって管理組合から表彰されている(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

12棟の現況を把握しつつ、長期修繕計画を練り直す

活動を始めた修繕委員会だが、課題は山積みだった。

「一番の問題は棟ごとの状況の違いです。このマンションは高層棟と低層棟が混在しており、修繕が必要な箇所はそれぞれ異なります。現況を把握しながら、個別に対応するべき点とマンション全体で行うべき点を見極める必要がありました。また、一つの工事を行うにしても、全棟終了までには数年かかるという点も考慮しなければなりません。専門のコンサルティング会社を入れることを決め、2回目の大規模修繕だけでなく長期的な修繕計画を練り直すことにしたのです」

こう話すのは、発足当初から委員に名を連ねている矢野捷一郎さんだ。矢野さんは住宅などの企画・設計を行う仕事をしており、いわば建築や設備のプロ。修繕委員会の大黒柱的存在だ。

こうして2025(平成37)年までの長期修繕計画と、それに基づく大規模修繕の計画が策定された。工事のスケジュールを見せてもらったが、説明されても把握できないほど複雑だ。矢野さんのような専門家がマンション内にいたことの心強さがよく理解できる。【画像2】駅近の便利な立地と、ゆったりとした敷地計画が特徴。現在は2044年までの長期修繕計画を策定中だ(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
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