参院選29万票で落選……山田太郎氏インタビュー(下) 「表現の自由を守る党の活動は練り直さないといけない」

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2016年7月10日に投開票が行われた参議院議員選挙で得票数29万1188票を得ながら落選した山田太郎氏のインタビュー。前編では、約29万票という投票数の影響や、選挙戦の戦略についてお聞きしました。

参院選29万票で落選……山田太郎氏インタビュー(上) 「ネットの神様は3つのことを守らないと認めてくれない」
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後編では、選挙戦の反省とともに、表現の自由を守る活動を今後どのように展開していくのかお聞きしています。自身のことを「政治家に向いていない」と語る山田氏にはみんなの党の解党などについても語って頂きました。

「僕は政治家に向いていない」

--表現の自由を守る党のお話もお聞きしたいと思います。前回のインタビューで、「地方議員もありだ」というお話もされていましたが、例えば党としての公認とか推薦を出すとか、そういった今後の展開を現段階で考えていらっしゃるんでしょうか?

山田太郎氏(以下、山田):いや、今後どうしていくかは、ネットを含めて「どうしていったらいい?」って聞こうと思っているんです。政治団体として残していったほうがいいのか、その他なのか、それはもうちょっと考えなきゃと。ただ、29万という数字をもらっておいて、「はい、さようなら。知りません」というわけには、きっといかないんだろうなと思っているけれども、少なくとも自分が議員でもないのに、他の選挙の候補者に公認を出すというのは難しいですよね。そういう意味での表現の自由を守る党の政治勢力の維持や広げ方は、落選をして議員でなくなる以上は、まったく練り直さないといけないなと思っています。

--今の反省というところは、具体的にどうことになるんでしょうか?

山田:票を稼ぐとか、選挙そのもので票を出すっていうのは、ある意味で大成功している。だけど選挙制度に基づいて議員になるためには、それだけじゃダメなわけです。自ら党を作っちゃうぐらいだったら100万票が必要だったわけで、全然届かないわけですよ。それか、あくまでも政党政治という論点に立つのであれば、個人じゃなくて党を表に出さなければいかなかったし、あるいは既存のどこかの政党と、もっとちゃんと組むべきなのかとか、そういうことだって問われている。「大きな政党に入れ」という声もあります。
だから今後のアプローチは、単独でいくのか、どこかと組むのか、どこかの大きい政党に入るのか。それだって相手があることで、入れてくれなきゃしょうがない。実は声として一番多いのは、「自民党に行け」っていう声なんだけど、「じゃあ」って行ったから、表現の自由を守る活動ができるのかとか。それが気に入らない人もいるだろうし。「いやいや、政府がやろうとしていること阻止するなら、第一党の民進党に行くべきだ」とか。あんまり党っていうよりも、政権党の中に入ってやるべきだっていう話と、ある種のアンチなんだから、野党第一党に加わってやるべきだという話があって、それは双方とも「そのとおり」という考え方だと思うんですよ。さりとてそれも相手があるからね。選んでくれなきゃしょうがないけれども。

--山田先生が、これから政治家を続けるかどうかというところも含めて、今後どうなさるかというふうなことをお考えだと思いますが、皆さんが山田先生ほどの人を放っておくとも思えないんですよね。

山田:僕は政治家に向いてないと思うよね。この機に議員になれなければ、それはそれで一つの民意なんだから、正直「もう引退しようかな」と思っていたんですよ。それで最後の戦いと言っていたけど、複雑なとこに入っちゃっているね。つまりみんなは、「勝てていたじゃないか」という判断をしちゃっているわけです。確かに数字は、野党で一番数字を取っちゃった。で、過去の憲政史上の最多落選の第4位。これだけの民意があって、「ここまでお前が掘り起こしておいて、人に期待をさせておいて、『さようなら』っていうのは何だよ」っていうのも、「それはそうだよね」と。だから非常に複雑ですよね。
あとはゼロから、100万票作れる組織や党をつくるとか。参議院の比例でやる限りでは、選挙制度にのっとれてやると、選択肢はそういうものしかないんだろうね。「選挙制度がおかしい」とかいう意見も、今回すごく多くて。1票の格差とか言っているけど、「こっちのほうがよっぽど格差じゃないか」と。でも、しょうがないよね。それで僕はどちらかというと現実論者だから、そんなところまで遡って運動していると違う運動になっちゃうから(笑)。もっと急ぐことがあるので。それはそれで、そうかもしれないけど、選挙制度にのっとって、ちゃんと実績を取ろうと思えば、どこかと組むのか、どこかに入るのか、あるいは本当に腹を括って自分でやるのか。

--例えば参議院議員にこだわるのか、あるいは衆議院選挙への出馬を打診されたら受けるとか。そういうことは、そのタイミングになってみないとわからないことですよね。

山田:そこが、なんか僕は「政治家に向いてないな」と思っている。政治家に向いている人っていうのは、どんな手段を使っても議員になること、議員であることを維持する人なんですよ。だけど衆議院っていうのは、選挙制度が表現の自由のこの運動とまったくマッチしない。というのは、小選挙区だから「どうするんだ」みたいな。表現の自由を掲げて戦えないのよ。もちろんそれで、自分が票を取れるかどうかっていうのもわからないし。それでも政治家向きだったらやるんでしょうけど。でも僕は運動体として、これまで真面目にやってきている中で、衆議院でどうやって戦えばいいのか、テクニカル上さっぱりわからない。だって小選挙区でしょ、そこで1人しか通らない選挙をやるけど。もしそれで通ったとしても、惜敗になっても、今度は個人名じゃなくて党を選んでいる構造になるから、難しいよね。

「オタクの消費者団体をつくるのはアリ」

--これは、山田先生というよりも、「われわれが」っていう話なんですが、国会の外から表現の自由を守る活動として、一人ひとりがどのようなことをしていったらいいと思われますか?

山田:「一人ひとりが声を上げましょう」って言うのは簡単なんだけど、「ユニティ」というか、力にならなきゃダメなんだよね。だから僕が、それをまとめる団体を何か立ち上げるか、それは模索、検討中です。政治団体というよりも、どちらかというと消費者団体のほうがいいのかもしれないなと思っていて。直結して消費者として、ユーザーとして、また書く側としてでも、困っていることっていうのを意見として集めていく。それを、もともと僕も議員だから、ロビー活動をしていくというやり方もあると思っているし。僕はもう議員じゃないから、議員として国会で政権や、そういう法案立法に対して直接戦うっていうことができない以上、立ち位置は皆さんと一緒なわけです。
じゃあ、何ができるかというと、29万票も支持された人であるという象徴と同時に、元議員でもあるし、一種の消費者団体がプレッシャー団体になれば、選挙で誰を応援していくかとか、そういうことは力になるはずだよね。だって、じゃあ「農協があります」って言って、農協のほうが僕よりも少ないんだよ。だけどそこがプレッシャー団体として、今回は誰を支持するとかさ。それは、かなり地方議員に対してだって影響があるよね。ただ、その場合はちょっと違うのは、票とお金を持っているからね。なかなかお金は集めにくいから、お金をつくれる消費者団体がつくれれば強いよなと思っている。
もう政治力はあるんですよ、30万票というのは。これは、さっきも言ったけど、民進の自動車総連や日教組、電機労連よりも多いし、自民党側から見たって、普通の組織内候補のグループよりはるかに多い。だから政治力は、この勢力が維持できればだけど、たぶんあるでしょう。あとは、お金を稼げれば。その何らかの団体が別の仕事というかをして。そうしたら、お金も票もあるということになる。そういう意味での消費者団体は、アリかなと思います。

--ある『Twitter』ユーザーが、麻生太郎副総理は、オタクっていうふうなものが政治に関心があることを初めて証明した人で、そして山田先生がオタクという票田が、かなりの埋蔵量を持っていることを証明した人だと。

山田:ハハハハハッ。知ってるよ。それはね、1つ間違っているのは、オタクが票になるっていうことはないですよ。例えば主婦が票になるとか、学生に票になるっていう、あるカテゴリーが票になるわけじゃなくて、たぶんイシューがいるんだよね、「Why?」が。表現の自由は、表現の自由を守りたいだけではなく、例えば差別感を持っていたり、世代間闘争を感じていたり、素直に今、表現を規制されていると思っている人も多かっただろうし。いろんな理由でオタクがバカにされているアンチテーゼとして、応援したいという人もいただろうし。オタクが票になるとかっていう、そんな単純な話じゃないと思っているから。
それは逆に言うと、「なるほどな。よく見ててくれてるな」と思っている『Twitter』のケースで、僕も全部見ているから、その話も知っているけど、もう1つ、「あっ、オタクが票になる。じゃあ真似よう」と思ったら、『さんちゃんねる』を3年間毎週やり続け、国会の多くの時間を表現系に使い、暑くても寒くてもコミケに全部出て、挙げ句にコミケの会場まで出かけて行って売り子をやり。「それができるのかい?」と。そういうことなのかもしれない。

--先ほど、ネットのどぶ板というふうなお話もありましたが、コミケに行くのも、ある意味、どぶ板ですよね。

山田:そうかな。でもコミケ参加は好きでやっているから、別にそれをどぶ板とは思わないけど、ネットの大変なのは、ブワーッとタイムライン上に流れてくるやつを、全部とは言わないけど探す、一生懸命。すごいことになっちゃっているから。1秒ごとにドバドバ、ドバドバ、ドバドバ来てる中で、探していくんだね、こっちは。それはね、すごい作業なんです。それに対して丁寧に答えていくとか。朝までかかるからね。

「イデオロギーを超えるものをやりたかった」

--それだけほとんどネットオンリーの選挙戦をやって29万票を集めたのに、当選できなかったということに、思うところのある人もたくさんいるのではと思います。

山田:いや、素直に思ったのは、29万票を超える票数を与えてもらったのに、議員になれないのは本当に申し訳ないですよ。あり得ないよ。切腹ものだよ(笑)。本当に。

--「ゲームのルールがそうだったから」としか言いようがないですよね。

山田:そう。だとすると最初、司っている僕の戦略ミス。ただ、何にこだわったかといえば、大きい政党であれ、小さい政党でイデオロギーが付いていることであれ、やっぱりそういうものを排除して戦いたかったから。それでバランス的に言うと、新党改革っていうのは、一番いいとは思ったよね。ただ、そこで議席を取れなかったということは、それはもう僕の責任ですよ。あとうれしかったことは、選挙区では自民党を応援しているけど、比例は入れてくれたとか、選挙区では共産党を応援しているけど、比例は僕に入れてくれたとか、幸福実現党まであったんだよ。選挙区は幸福だけど、比例は僕。公明党だけないの(笑)。
僕は、イデオロギーを超えるものをやりたかった。イデオロギーの時代じゃないし、どの党だとか、自民党だとか共産党だとか、もう、そんなこと言っていられる余裕はないよねと。それは昔の大人の政治のお遊びっていうのかな。イデオロギッシュな運動会は、もう暇がない。だからまともな議論をして、結果を出す、変えていくっていうのをやりたかった。そういう意味で幅広く、このイシューに関して、そういう政党であるとか、イデオロギーをある程度超えて、支持をいただけた。それは投票コードの報告から見てね。だけど、どうであれ最多の投票数を取っておいて、それでバッヂを着けられないということ。本当は、それをもって「もっと厳しくおまえ、戦え」と言われて、後押しされてやるはずだったのに、それは申し訳ない。

--そういう意味では、みんなの党がなくなってしまったのが残念です。

山田:みんなの党は、リベラルなのか、中道右寄りなのか、いずれにしてもセンターを置いていて、政権ともある程度うまくやっていこうというポジションであったんだけど、その路線問題がありました。
で、それの背景にあるのは衆議院の選挙だよね、あのときの。2014年の衆議院の選挙で、衆議院側のみんなの党は、執行部も含めて民主が立てば、自分は通らない。だから民主が立たないようにするためには民主と組むという、いわゆる力学が、選挙に生き残るために働いた。これで、まあ(渡辺)喜美さんが怒るのも当然だけど。そうしたら今度、喜美さんも露骨に、毎日、毎日、怒鳴り込んで、自民党と組むべきだと。本人にすれば、やっぱり路線の問題を取り上げた。だったら、もうどうしようもないよね。一回、解散しないと。
われわれは是々非々でやってきたのであって、路線問題を問わない。これが党の最も重要な、アジェンダにのみ忠実であると。僕も475のアジェンダをまとめた張本人。責任者だったからね。だから思っていたんだけど、いったん解散しないと。僕は参議院議員側だったから。衆議院議員の気持ちもわからなくはないけれども。だから今回、僕は苦しい選択をしたつもりですよ。「なんで新党改革なんだ?」って言われたら、「じゃあ、民進に行ったらよかったですか?」と。例えば「自民に行ったらよかったですか?」ということだと思うんだよね。
『Twitter』でいろいろな意見がありますね。新党改革を選んだ瞬間に負けていたんだと。負けたら意味がなかったじゃないかと。そうかもしれないけど。そういう意味で、おおさか維新を1つ選んで行ったけど、不幸にも、まあ簡単に言えば調整がつかなかったと。その次は、どこかといえば、振り返ったときに、安保法制であれ、参議院選挙制度改革であれ、一緒にやってきたグループ。そういう意味では、新党改革というのは、ポジション的に、僕は今でもそも選択は間違っていなかったと思いますよ。かつ、その新党改革に、表現の自由を公約に入れるということを約束させたから。
だけど、新党改革に政治家を1人、議会に送る力が今の制度では、なかったということだね。そこをちゃんと見抜いて選ぶべきだったと言われれば、そうなんだろうけど。みんなの党を去年の末に復活させようとかっていう動きや声もあったし、中道勢力の結集を図ろうと、もう草莽の会とか足かけて、衆議院側にも足を突っ込んで、かなりやったんです。で、元気のいいのを1人持ってきて、なんとか元気を復活させようと、まあ、さんざんやったけどね。
国会議員が5人揃うというのが、いかに難しいか。最後の1人が難しい。最後の1人は、交渉しだしたら、わがままになるんですよ。4人までは揃うんだよ(笑)。最後の1人は大変だよ。よくできているっていうかね。そんな簡単じゃない。逆に「5人を揃えられなきゃ、政党じゃないよ」って言われれば、その通りなんだし。

--本当に、いろいろなことを考えさせられる選挙だったなと今回は思います。

山田:そうなんです。僕もそうです。政党政治もそうだし、1票の重みもそうだし、表現の自由とは何かもということもそうたし、あと、すごかったのは、初めてこれで選挙に行った人が、たぶんごまんといるんだよね。『Twitter』を見ていると、「怖くて行けなかったんだけど、勇気を振りしぼって行きました」というリプがいっぱい来るし。「そんなに怖いんかい」と思ったけど(笑)。つまり選挙はもともと、政治に関心があって好きな人が行っていた。それをはじめて動かした。その貢献は僕にあると思っています。「名前を間違えないように何度も練習した」とか、そういうレベルから。
だから、いわゆる選挙管理委員会が「選挙に行きましょう」とか、「大切な1票です」って口で言うのは簡単だけど、行かせる動機を与えるということが、もっと大切だということ。それと、あんまり僕、オタクって限定したくないんだけど、表現の自由を守ろうとか、漫画・アニメ・ゲームが好きな人たちはオタクばっかりじゃないから。だけど今まで政治力もない、結集とか、そんなのは無理だと言われていたオタクたちが動いた。ほぼ手法はネットでやった。ネット選挙とかやったって3万もいかない。自民党だって今回、大失敗しているでしょ。あれだけ総理まで出て。
こちらは、ある種安上がりよ、選挙費用としては。たぶん通常以下だよ。だってテレビ広告もしてないし、何もしてないんだもん。いわゆる一次メディア媒体を事実上まったく使ってないんです。ツールしか使ってないから。ただ、もちろん皆さんが取り上げてくれたけど、表のメディアはゼロよ。いやぁ、それはつらかったよ。
表現の自由は、コンテンツの自由と、報道の自由と分けるべきで。報道の自由は、みんな一生懸命、ああでもない、こうでもないって、ジャーナリストを並べていろいろやるけど、コンテンツの自由っていうのは、表のメディアではやらない。自主規制している主体は、表のメディアそのものだから。
だからコンテンツの自由を言ったら「じゃあ自分たち、何やってんのよ」って言われちゃうから。絶対にそこはコントロールしたいから、僕のやっていることは、アンチ表のメディアなんですよ。だから一番、政治力として強い人たちに喧嘩を売っているような構図でやっているわけ。だけど「激震が走った」って言って、表のメディアも言っていたのは、やっぱり一次メディア情報が今、ネットニュースだったりするから。
僕らは、『Twitter』をわざと6時半とか7時に出していました。朝、満員電車の中ですることないから、みんな見る。みんなネットを見ているフリをして見て、チェックしてるわけだから、朝とか昼とかに(アクセスが)跳ねるの。みんな夜やっていると思い込んでいるけど、違う。朝に一番見ているんです。

--皆さん通勤電車でスマホを見て、とりあえず『Twitter』や『Facebook』をチェックするとか、普通になっていますからね。

山田:リアル新聞を見ているのなんて、閑人だもん。結局、新聞だってネットニュースでしょ。電子版を見ているわけで。そうなってくると、「もっと自由に書かれている、ネット専門のニュースのほうが……」とか、だんだんそうなってきているんだろうね。だからみんな、各党もメディアも焦って、ネットと選挙の相性っていうのを探るんだけど、これまで誰もできなかったんだと思う。僕はうまくいったというか、さっきも言ったネットどぶ板があるとかっていうのも、みんなわかってないから。いろいろ考え得る限り、われわれもやってみたということですよ(笑)。
でもそれは、急に今回、思いついてやったんじゃなくて、やっぱり3年間、『さんちゃんねる』等々や『Twitter』での発信も含めて、徐々に学んできました。自分たちも、すごくニュースをつくり込んでいたり、国会での質疑でもって、どういう伝わり方をして、テレビを見た人たちが、参議院の予算委員会なんかを狙ってやると、「こういう形で伝わるんだな」とか分析していましたから。

「永田町にいたら、世の中のことがわかんなくなる」

--そういう意味では、表現の自由というイシューで、これだけの票が集まるということと、ネットを活用することで、これだけの票が集まるということで、この2つの数字として29万という数字が叩き出されたということが証明されたと思います。

山田:そう。うちの正規のスタッフなんか、何人もいないのよ。ほかはね、組織内候補を立てるために、どれだけ多くの金をもらって働く人たちが動いているかと。JAなんて正規の職員がそこらじゅうにやるわけでしょ。必死になって電話をかけて、何億も大量の金をかけて。そんなことは、うちはできなかったからね。でも、それを上回る票の数は稼いだということではあるんでしょうね。

--今、一番やりたいことは何ですか?

山田:少し旅にでも(笑)。民間のときと比べて、国会議員の仕事っていうのは、脚気(かっけ)になりそうだ。なぜかっていうと、光に当たってないんだ。日を浴びてないの。この議員会館と議事堂のあいだを、ほとんど地下通路を使って。僕は、だから「モグラ」って呼んでたんだけど。今日、雨が降っているのか、晴れてるのかもわかんない日があるんだよ。ひどいよ、そういう意味で。
だからね、やっぱりこの永田町にいたら、世の中のことがわかんなくなるね。明らかに。僕は、よく「政治家は民間出身であるべきだ」っていうことを言っている。だって東大の法学部を出て官僚になって、だいたい政治家の6割以上は民間経験がないからね。そんな人は議論ができないけど。じゃあ、僕は民間だからといっても、日々こうやって、脚気になりそうなモグラな生活をしていたら、わかんなくなっちゃうんだよ、世の中が。毎日、満員電車に乗って、朝行って、会社の状況、何が売れて、何が売れないかを感じ、吊り革広告で週刊誌が何を訴えているかをリアルに見て。やっぱりそういう生活をしないとダメだよね。本当は政治家なんていうのは、適度で辞めて、民間に下って、またやるとか。だからこれは、職業にしちゃいけないよ、たぶん。そういう意味では、現場・現地というか、旅に出るというか、それをしたいなと思っています。

--わかりました。ありがとうございました。

山田太郎の”僕たちのニューカルチャー” ~表現の自由を守ろう!~
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ふじいりょう

乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。

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