えっここまで見られるの? 進化した「ハザードマップポータルサイト」

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えっここまで見られるの? 進化した「ハザードマップポータルサイト」

仕事柄、ハザードマップを見ることが多いが、その際利用しているのが国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」。実は近年、機能がどんどん追加され、賢く使いこなせば相当量の防災情報を得ることができるのだ。国土交通省に活用法を聞いてみた。

ハザードマップとは? どう活用するの?

「ハザードマップ」とは、国土地理院のホームページでは「自然災害による被害の軽減や防災対策に使用する目的で、被災想定区域や避難場所・避難経路などの防災関係施設の位置などを表示した地図」と説明されている。

つまり防災・減災のためにつくられた地図なのだが、有効に活用するにはどうしたらよいのだろうか?

国土交通省 水管理・国土保全局 の河川環境課 水防企画室/野々村武文さんと、防災課 大規模地震対策推進室/橘悠希子さんのお二人に話を伺った。

例えば、「洪水ハザードマップについては、約98%の市町村で作成されています」と野々村さん。水防法でハザードマップの作成や住民への周知が求められているからだが、2015年の水防法の改正を受けて、今後ハザードマップの改訂も進められていく予定。

ほとんどの市町村で作成されている洪水ハザードマップではあるが、市町村から配布されているので見たことはあるが、内容を詳しく見ていないという人が多いのだという。

ハザードマップは、主に2つのシーンで賢く活用できる。

(1)ハザードマップを見て周辺のリスクを事前に把握し、例えば土台をかさ上げして家を建てるなど「住まい方の工夫」に役立てる

(2)気象情報や自治体からの避難勧告などで、リスクが高まった時点でハザードマップを見て、具体的な避難場所や避難経路を確認し、避難行動に活かす

そのためには、常にハザードマップが手にできる状態にあったほうがよいという。

全国の自治体のハザードマップを集約して、インターネット上でいつでも閲覧可能に

「国土交通省のハザードマップポータルサイトがオープンしたのは、2007年です」と橘さん。市町村が住民に配布したりしているものの、いざというときにどこにあるか分からないというのでは、活用ができない。全国の市町村が作成したハザードマップの有無、ネット上で公開している場合はそのURLなどの情報を集約して、常に見られるようにしよう、というのがスタートだった。

自治体のハザードマップは災害別に作成されていて、ポータルサイトには「洪水」「内水※」「高潮」「津波」「土砂災害」「火山」などのハザードマップへのリンクが集約されている。もちろん自治体によって想定される災害が異なるため、すべての災害について作成されているわけではない。

※ないすい:大雨による雨水を河川等に排出できないことによる出水

自治体でほかに、「震度被害(揺れやすさ)マップ」や「地盤被害(液状化)マップ」など地震やその他の危険度マップを作成している場合は、その情報も集約してサイトから閲覧できるようにしている。【画像1】自治体が公開しているハザードマップの例(出典:国土交通省「ハザードマップポータルサイト『わがまちハザードマップ』のパンフレット」より転載)

【画像1】自治体が公開しているハザードマップの例(出典:国土交通省「ハザードマップポータルサイト『わがまちハザードマップ』のパンフレット」より転載)

地図を重ねると見えてくる、災害リスクや有効な避難ルートがある

さらに2014年からスタートしたのが、「重ねるハザードマップ」だ。

昨今は災害が広域化している。洪水浸水想定区域は河川ごとに作成されているので、複数の河川の洪水浸水想定区域を一目で見ることができないといったことや、隣接する別の自治体に避難をしたほうが適切かどうか即座に判断できないといった不都合も起きてくる。そこで、防災に役立つ情報を一元的に、なおかつ重ねて閲覧できるように考えられたものだ。

といっても、同じ災害のハザーマップでも、凡例の区切り方や色分けが自治体で異なるなど、それぞれに違いがあった。そこで、凡例を統一するなどして、同一地図上で見られるように進化させたのが、「重ねるハザードマップ」だ。

例えば、「洪水浸水想定区域」の地図に、「道路冠水想定箇所」や「緊急輸送道路」「事前通行規制区間」などの地図を重ねることで、浸水リスクだけでなく、避難ルートを検討する際に必要な情報が確認できるといった使い方ができる。

【画像2】個々の防災情報を重ね合わせた閲覧が可能(出典:国土交通省「ハザードマップポータルサイトの紹介」(PDF)より転載)

【画像2】個々の防災情報を重ね合わせた閲覧が可能(出典:国土交通省「ハザードマップポータルサイトの紹介」(PDF)より転載)

また、「明治前期の低湿地」や「大規模盛土(もりど)造成地」などで、今の地図を見るだけでは分からない地盤の成り立ちを事前に知ることで、家をどう建てるか(どう建てられているか)といった際の参考にするなど、活用できる情報は多様にあり、一元的に閲覧できるようになっている。

【画像3】「重ねるハザードマップ」で閲覧できる情報(出典:国土交通省「ハザードマップポータルサイトの紹介」(PDF)より転載)

【画像3】「重ねるハザードマップ」で閲覧できる情報(出典:国土交通省「ハザードマップポータルサイトの紹介」(PDF)より転載)

2016年6月には、GPS機能と連動するといった、スマートフォンにも対応した機能を拡張するなど、新しい情報や機能を順次追加している。

地図を重ねると見えてくるリスクや避難経路がある

このように、ハザードマップポータルサイトは進化をし続けているが、どういったシーンで活用するのがよいのだろうか?

橘さんによると「まず見てほしいのは、自分が住んでいる自治体のハザードマップです」。自分の住まいの災害リスクを知ることに加え、避難施設や避難経路などの情報が掲載されているほか、自治体のサイトには防災に関する学習コーナーがあるなど、住民に役立つ情報が多いからだ。

わが家だけでなく、勤務場所や出張先、住み替えを検討する場所についても、インターネット上で災害リスクや避難情報を得るという方法もあるだろう。

そのうえで、より広域なエリアを見たり、特定の災害リスクについて調べたりする場合に、「重ねるハザードマップ」を活用するという応用をするとよいという。

進化した「ハザードマップポータルサイト」には、防災に有益な地図情報が多様に公開されているのだが、実は地図の見方を理解しているかどうかで得られる情報の深さが変わってくる。サイトには、使い方などのパンフレットも公開されているので、参考にしながら見るとよいだろう。この機会に、わが家の災害リスクと備えについて、一度じっくり考えてみるのはいかがだろう。●参考

・国土交通省ハザードマップポータルサイト
元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2016/08/115587_main.jpg
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