ガジェット通信

見たことのないものを見に行こう

体内で骨と違和感なく機能するポリマー製の生体フィルム

DATE:
  • ガジェット通信を≫

重度の腰痛を患ったのをきっかけに、体内に何らかの装具を埋め込んだ後、違和感を覚えるケースは多い。

今回、米ノースカロライナ州立大学大学院機械・航空宇宙工学研究科のアフサネ・ラビエイ教授を筆頭とする研究グループによって考案されたのが、周囲の骨とよく馴染み、違和感のない生体フィルムだ。

・周囲の骨との結合を良好にする方法を考案

今回使用したのは、骨と類似の力学特性を有するポリエーテル・エーテル・ケトンという超性能ポリマー(以下、「PEEKポリマー」)だ。現行の治療法に使用されているものの、骨との結合具合が芳しくないのが難点である。

そこで、同研究グループは骨との結合を良くするヒドロキシアパタイトと呼ばれる物質(リン酸カルシウムの一種)を使ってPEEKポリマーの表面を被覆する方法を考案。

「イットイア安定化ジルコニア→ヒドロキシアパタイト」の順にPEEKポリマーの表面を被覆後、ヒドロキシアパタイト層の上からマイクロ波を照射したところ、イットイア安定化ジルコニア層についてはPEEKポリマーの融解を阻止する遮熱材としての役割を担っていたという。

一方、ヒドロキシアパタイト層はPEEKポリマー本体を安定化しつつ、周囲の骨との結合を促す結晶構造としての役目を果たしていたそうだ。

・埋込後、骨の再生量が増加

さらに、顕微鏡や3D-X線画像を使って、被覆なしのPEEKポリマーを埋め込んだ場合と比較。

手術より8週間後、被覆なしのPEEKポリマーを埋め込んだ場合に比べ、骨との結合度が良好であるどころか、骨の再生量が2倍以上増加した。

・非常に頑丈

術後18週間後、PEEKポリマーの強靭性を調べるための押出試験を実施。

PEEKポリマーが外れるまで力を加えたところ、マイクロ波による照射などを経たヒドロキシアパタイト被覆PEEKポリマーは、被覆なしのPEEKポリマーに比べ、強靭な性能を示した。

こうして、被覆工程前にPEEKポリマーの表面の強度を上げることで、ヒドロキシアパタイト‐イットイア安定化ジルコニアの密着度が高まり、良好な予後がもたらされる、という結論を下した。

ヒドロキシアパタイト、イットイア安定化ジルコニアについては、移植用としてすでに米FDAにより認可済みであり、健康リスクへの心配はないという。手術にかかる費用がやや高額であるものの、経過観察のために頻繁に手術を行う必要がない。患者自身の精神的負荷の軽減へとつながる新治療法として期待が寄せられている。

North Carolina State University

 

カテゴリー : デジタル・IT タグ :
Techableの記事一覧をみる ▶
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

TOP