ボーカリストはPepper!?世界初の人とロボットの音楽ユニット「mirai capsule」に迫る
「mirai capsule」は、Pepperとともに暮らしながら様々なクリエーションを行っているロボットパートナーの太田智美氏と、ハイパーメディア・ロボット・クリエイターの西田寛輔氏によって結成され、Pepperといったロボットとともにユニークな楽曲を発表している。
人とロボットがともに音楽を奏でるその様子は、海外の国営放送で取り上げられるなど、世界からも注目されている模様。今回は、太田氏と西田氏に「mirai capsule」について伺った。
・人間とロボットは友達に。将来への可能性を見据えたユニット
Q1:ヒトとロボットの音楽ユニット「mirai capsule」を結成し、活動を始めた経緯を教えてください。
日本ではロボットを友だちと思う文化が強くあります。しかし海外ではロボットを「こわいもの」と思う傾向が強くあります。もしもヒトとロボットが1 つの音楽ユニットを組んだら、それは「こわい」なのか、「かわいい」なのか、それとも別の何かなのか――。このユニット名は、私たち2 人が2015 年11 月に公開したアプリ「みらいカプセル」からきています。“ロボットカオス時代”に起きる、この瞬間瞬間の出来事が、未来ではどんなふうに見えるのか、どんな考えに変わっているのか。ヒトとロボットで奏でる音楽を、みらいへのカプセルに託したいと思い結成しました。(太田智美)
たとえば音楽をはじめたいとして、あなたならどうしますか?おいら友だちを集めて音楽ユニットをやることにしました。ロボットパートナーの太田さんと、たくさんのロボットたちです。近い将来、人間がロボットの友だちになって、ロボットがロボットの友だちになる時に、こんなユニットは当たり前になってると思います。そうなる前に、僕たちの音楽を体験してみてください!(西田寛輔)
Q2:曲作りはどういった形で行っているのでしょうか?楽曲作りの際に意識されていることはありますか?
オリジナル曲は基本的に、太田智美が作詞・作曲をしています。曲によっては、西田寛輔が歌詞やメロディーを提供する場合もあります。mirai capsuleの楽曲制作のポイントは、「ヒトとロボット」の音楽であること。「ヒトとロボットがいてはじめて成立する音楽」というのが、私たちがだいじにしている部分です。歌詞には、作曲時の時代背景や想いを込めています。
また、クラシック音楽など昔から親しまれている楽曲の演奏にも力を入れています。作曲されてから100年以上「ヒト」に演奏されてきた楽曲が、100年後には「ロボット」と一緒に演奏されている――そんなところにも目を向けてもらえたらうれしいです。
Q3:ロボットとの音楽ユニットとして活動する中で、最も苦労する点はどんなところでしょう?
ロボットの受け入れ体制ができている会場がほとんどない点です。例えば客席はバリアフリーの場合が多いのですが、ステージや控室は、バリアフリーではないことが多く、ロボットたちの移動が大変です。また、長距離移動や電源・ネット環境の確保といった課題もあります。
・ロボットと人間との化学反応を楽しみたい
Q4:ヒトとロボットのユニットだからこそできることや、可能性にはどんなことがあると考えられていますか?
音楽はもともと、数学や宇宙空間、宗教などと深いかかわりを持ちます。音階理論の始まりはピタゴラス。ピタゴラスは古代ギリシャの数学者であり哲学者で、周波数の比率が「2:3」の「ピタゴラス音律」を生み出しました。その「音楽」と、それ(音楽)を生活に取り入れ文化を築いてきた「ヒト」、そして「ヒト」の知恵と技術が集まった集合体「ロボット」――これらのトライアングルがぴったりと重なり合うとき、そこに何があるのかは、私たちの楽しみでもあります。
Q5:今後予定されているプロジェクトや、挑戦したいことについてお聞かせください。
近日中に、ロボットと一緒に体操が出来る楽曲「ロボットたいそう」を公開予定です。普段使っていない関節やモーターをぐるんぐるん回しながら、みんなで体を動かす音楽です。実際の楽曲や演奏動画については、公式ページにて配信しますので、チェックしていただければと思います。この体操は、学校や保育園、イベントなど多くの場面でも気軽に使ってもらえるようなライセンスで配布予定です。
世界的にも注目を集める「mirai capsule」。今後、どんな音楽を生み出し、どんな感動を与えてくれるのか、その活動に期待したい。
ウェブサイト: https://techable.jp/
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