田んぼで踊る芸人??「味噌田楽」の意外な由来
焼いた豆腐に木の芽味噌で作ったタレをたっぷりと塗っていただく「木の芽田楽」が美味しい季節です。このように豆腐に味噌だれをつけて食べる料理を一般的に「味噌田楽」や「豆腐田楽」といいますが、この「田楽」がどこから来たのか知っていますか。これは平安時代、田植えのときに行われていた行事にまでさかのぼります。
当時、農村では田植えのときに田の神をまつって豊作を祈願するため、田んぼに入って太鼓の音に合わせて踊る田楽舞という風習がありました。やがて、この田楽舞を踊ることを職業にする田楽法師という芸人も誕生します。田楽法師は白い袴をはいて、竹馬のように長い一本足の竹に乗って田んぼのなかを乱舞し、農村の人びとを熱狂させていたそうです。
この一本足の竹に乗った田楽法師の白い袴が田んぼの土で汚れて黒くなった姿と、串に刺した豆腐に味噌を塗った串焼きが似ているということで、この豆腐の串焼き料理を「田楽」と呼ぶようになったのです。田楽の名は南北朝時代から伝わっていたとのことで、かなり古い歴史を持つ料理なのですね。
この田楽が人気になって広まるにつれて、豆腐以外にもコンニャクや里芋、魚などを使ったものが次々と生まれました。ちなみに「おでん」も、このコンニャクを使った田楽の一種で、田楽の「田」に「お」をつけたものが名前の由来になっています。田楽舞そのものは伝統芸能として一部地域に残っているだけものになりましたが、それをルーツにする料理は現在でも広く親しまれているのですね。
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