【インド】100年以上の歴史を持つ巨大洗濯場「ドービーガート」
【旅ブログキュレーションメディアHUGLOG(ハグログ)より寄稿】
今さら感もありますが、ムンバイの(数少ない)観光スポット特集ということで、今回は屋外の巨大な洗濯場、「ドービーガート(Dhobi Ghat)」の様子をお届けします。100年以上の歴史を持つと言われている屋外洗濯場で、病院やホテル、企業、個人レベルまで様々な衣類の洗濯~乾燥~宅配を請け負っているんだとか。
「Dhobi Ghat」という、まさにこの洗濯場を舞台にした映画が2010年に公開されています。あの「きっと、うまくいく」の主人公を演じたアーミル・カーンが主役。これがまた、ダンスあり歌ありのマサラ映画ではなく、ぐっっと渋い構成で本当におすすめ。ムンバイのことがよくわかるし、ムンバイを知っているとよりじーんと切なさが胸に迫ってきます。
観光地としても有名で、ドービーガート内ツアーを提供する会社もあります。ツアーもおもしろそうですが、駅の近くからドービーガート全体をさくっと見ることも可能です。その場合は、ウエスタンレイルウェイの「マハラクシュミ(mahalakshmi)」駅が最寄りです。
電車では必ずこういった流しの行商人がいます。アクセサリーや生活雑貨、野菜などさまざまな物が売られています。今は休憩中でしょうか。駅を出て左折すると、すぐに現れるドービーガート。大きな塀に囲まれ、トタン屋根が並ぶ大きな洗濯場に、シーツやらジーンズやら制服やら、ムンバイ中から集められた洗濯物が干されています。
バックにはとんでもない高層ビル・・・。これぞTHE・ムンバイの格差社会。
働くおやじさんたち。
屋根の上に白いシャツを置いていいのか・・・と聞きたくなります。こんなにたくさんの洗濯物を毎日毎日手で洗って乾かして干すとか(ちなみに乾かすというのは、洗濯物をおもきし台に叩き付ける作業です)・・・にわかに信じがたいですが、みんな黙々と働いています。えらい。
ドービー(洗濯人)というのはカーストの一種(といってもカースト制度に入らない不可触民)であり、このカーストに産まれた人は職を変えられないとか・・・。特にドービーは、洗濯物という不浄なものを扱う職業であることから、不可触民の中でも差別されやすい地位だそうです。
こういったインドの社会構造に触れるたび、なんとも歯がゆいというか、無力な気持ちになります。差別って、動物社会が弱肉強食で成り立っているように、人間という単一の種族内での弱肉強食を作るためにできているのかなって最近思います。
差別が社会を成り立たせるためにあるのなら、そんな社会自体が間違っているのかなぁとも。「みんなが平等に」って願うけど、この巨大すぎる地にいると、一体何から手を付けるべきなのか・・・路上にいる乞食たち? 物乞いしてくる子供たち? 単一の職業にしかつけないカースト制度?
・・・それでもできる範囲からやっていかないと何も始まらないんですよね。というようなもやもやを抱きつつ、ドービーガートを見ていると、早速モノ売りの少女がやってきます。ブレスレットや絵はがきを売る彼女も、今日を生きるために必死。でも・・・いらないんだよなぁ。もやもやとのつき合い方はいまだに解決できないままです。
[寄稿者:いなもん]
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※編集部注
インドでは1950年に制定された憲法17条により不可触民(ダリット)の差別を禁止しています。また、カーストによる差別の禁止も明記されています。それでもまだなお現在、現地では寄稿者が見て感じたような事実があります。
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