映画『デッドプール』ティム・ミラー監督に直撃! 大ヒットの秘訣や『Xフォース』の計画を語る

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全世界で大ヒットを記録した映画『デッドプール』が、6月1日(水)より遂に日本での公開を迎えた。

監督を務めたのは、CGやVFXの分野で20年以上のキャリアを積み、今作で長編監督デビューを飾ったティム・ミラー

映画『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』 (2010)のVFXクリエイティブ・スーパーバイザーを始め、映画『ドラゴン・タトゥーの女』(2011)のタイトル・シークエンスや、映画『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』(2013)のオープニング・プロローグを指揮するなど、これまで数々の大作を陰から支えてきた注目の監督だ。

少ない予算で最大限のクオリティを実現

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――まずは全世界で大ヒットおめでとうございます!

ミラー監督:ありがとう! 全く予期せぬことだったんだけどね(笑)。

――ズバリ、監督ご自身が思う大ヒットの一番の理由は何でしょうか?

ミラー監督:映画が持つユーモアじゃないかな? コミック原作の作品では珍しいし、作品が持つハートが理由だと思う。僕が努力したのは、原作ファンだけに向けた作品ではなく、コミックを読んだことがないような人にも響く作品にすることだ。それはすごく難しいバランスだけど、結構うまくいったはずだよ。コミックを読んだことのない人に無知だと思わせないで、コミック原作の映画をからかうみたいなジョークも盛り込んでいる。それが響いているんじゃないかな?

――製作費が少ないこともネタにされていましたが、少ない予算の中でも他のスーパーヒーロー映画に決して見劣りしないクオリティだったと思います!

ミラー監督:僕はVFX業界の出身だから、その分野をよく理解しているというのは確かだけど、全部が僕の手柄だとは言えないよ。タイトルは言わないけど、コミックを原作にした他の映画は、(技術や予算の面で)凄いVFXが使われる大きなアクションシーンが満載で、僕らの作品より20分~30分くらい長かったりする。僕自身はそれがずっと続くと少し飽きてしまう方なんだ。他のコミック原作のスーパーヒーロー作品は尺が長い分、VFXにかかるお金も高くなってるじゃないかな? 105分ぐらいの上映時間は僕らの作品にとってちょうどいい長さだと思う。

この作品が『アベンジャーズ』規模のVFXの予算がある作品だと観客が思っていたわけじゃないけど、どんなにユーモアを楽しんでも、こういうタイプの作品は当然ながらアクションも求められる。本作より3倍、4倍の製作費がかけられている作品と比べられるのは分かっていたからこそ、限られた予算をどのように使って見せるのかはかなり気を使ったし、うまくいったんじゃないかと自負しているよ。

――R指定もこの映画の魅力を支えている要素のひとつだと思います。過激な描写に対してためらいはありませんでしたか?

ミラー監督:R指定で良かったのは、セリフを心配しなくてよかったこと。何を言ってもいいし、そのことによって様々なアイデアを自己規制なく自由に探索できたことだ。セリフについても暴力表現についても、ためらいは一切なかった。いくつかのジョークは少し個人攻撃のようなものがあって、「意地悪過ぎないか?」と思ってカットしたセリフもある。ベッカムの声についてのジョークは、彼はイケメンだし才能があるし、「まぁ、大丈夫だろう」ということで残したけどね(笑)。

――ライアン・レイノルズなしにこの映画は誕生しなかったと思います。主演としてはもちろん、プロデューサーとしての彼の手腕をどのようにご覧になっていましたか?

ミラー監督:最高だったよ! この企画のすべての側面に深く関わっていたし、この映画の実現には彼が持つスターとしてのパワーも本当に大切だった。例えば、高速道路での大きなアクションシーンでは、トラックをメーカーに無償で提供してもらえるように、ライアンが電話をしてくれたんだよ。普通の俳優だったらそんなことはやらないだろ?

マーケティング面でも、普通の映画スターだったらやらないようなことをたくさんこなしてくれた。映画を作るよりも、マーケティングの方を楽しんでたんじゃないかな、アイツ。イカれてるよね(笑)。でも、最高だ。彼はこれまで44本の作品に出演してきたから、プロデューサーとしても本当に言うことが的確で、彼の膨大な経験は初監督の僕にとって最高だった。彼にからかわれる心配なく何でも聞くことができたし、いろいろと助けてもらったんだ。

気になる続編や『X-MEN』とのクロスオーバーは?

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――日本公開を前にして、早くも続編の製作が決定しました! 何か現状で話せることはありませんか?

ミラー監督:ケーブルは登場するよ! もう、発表済みだけどね(笑)。今回よりもイイ作品になるよ。それ以外はまだ何も言えないな……。

――それでは、次回作にかかわらず、デッドプールと映画で共演させてみたいキャラクターはいますか?

ミラー監督:タスクマスターだね、間違いない! タスクマスター対デッドプールとかヤバいでしょ(笑)! そして、二番手はデアデビル。FOXが権利を失ったのは本当に残念だ。まぁ、今後のことはわからないけど(笑)。

あとは、超イカれたアイデアでいいならバットマンだね。ブラー・スタジオ(ハリウッドのCGアニメーション・スタジオ)でゲームの映像を製作していて、CGモデルでバットマンとウルヴァリンの両方を作っていた時期があった。その対決映像を作ったら本当にヤバいよなって思ったんだけど、無料でリリースしても撃たれるか殺されるかだと思って止めたんだ(笑)。

――本当にコミックがお好きなんですね! 『X-MEN』シリーズとデップーのクロスオーバーも楽しみなのですが、スクリーン上でどのように共存させたいと思っていますか?

ミラー監督:実はもう『Xフォース』(自警団のスーパーヒーローたちが集結した過激派チーム)の話はしているんだ。『デッドプール2』の後に、ひとつのゴールとして『Xフォース』があればなって。僕自身、『X-MEN』の中に彼の居場所はないと思うんだけど、『Xフォース』にはあると思う。『Xフォース』はいわゆる 『X-MEN』のブラックオプスバージョン(非合法活動)だと思うから。

コミックの中では、倫理的にグレーな部分、正しいことをするために間違ったことをするみたいな道徳的なコンパスがある。『アベンジャーズ』や『X-MEN』のキャラクターは、道徳的に正しいキャラクターが多い。いつも正しくあることを求められるけれども、僕が思うに、現実においてもコミックの世界でもモラル的にグレーっていうのはリアルだと思うんだ。時に、正しさの為に悪いことをすることだってある。デッドプールのモラルのコンパスはそうだと思う。それはウェイド(デッドプール)自身もそうやって生きてきたからだと思うんだ。

――最後に、「俺はヒーローじゃない」というデップーのセリフは、裏を返せば「誰でもヒーローになれる」という意味とも受け取れました。その一歩をなかなか踏み出せないでいる人も多いと思いますが、何かメッセージをいただけないでしょうか!

ミラー監督:一瞬の痛みは価値があると思う。一生残る後悔よりも。だから、強くあらなければならない瞬間があるけれど、起きることに恐怖を感じるときは、今立ち上がらなければ、どんな後悔があるのか、どんなに怖くてもやらなかった時の後悔を考えるべきだ。だって、やらなかったときの後悔の方がその瞬間の恐怖よりも大きいと思う。それが僕のアドバイスだし、ウェイドのアドバイスだと思うんだ。

――素晴らしいお言葉です。本日は、ありがとうございました!

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3分(弱)でわかる『デッドプール』海外版予告(YouTube)
https://youtu.be/c2lm1N-keP0

映画『デッドプール』特集 ガジェット通信が俺ちゃんを徹底解剖!
https://getnews.jp/deadpool

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よしだたつき

よしだたつき

PR会社出身のゆとり第一世代。 目標は「象を一撃で倒す文章の書き方」を習得することです。

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