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歌モノも柔軟に熟すドレイクのポップ・カルチャーを意識した充実作『ヴューズ』(Album Review)

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 2015年秋から、リリースの噂が絶えなかったドレイクの4枚目となるスタジオ・アルバムは、当初タイトルが『ヴューズ・フロム・ザ・シックス』になると発表されていたが、発売直前に短縮(?)されて、遂にリリースされ、『ヴューズ』となった。次週(5月21日付)発表の米ビルボード・アルバム・チャートでは、すでにNo.1デビューすることが確定していて、ドレイクは2010年のデビュー作『サンクス・ミー・レイター』から、4作連続の首位獲得、ミックステープを含むと、6枚目の全米首位獲得を果たしたことになる。

 昨年2月にリリースされた、『イフ・ユーアー・リーディング・ディス・イッツ・トゥー・レイト』同様に、今作もサプライズ形式で急遽、4月29日にリリースされた。「最高のボーカル・パフォーマンスになった」と自身が話すだけはあり、今作はどっぷり黒いラップ・アルバムというよりは、ポップな要素と甘美なメロウを交えつつ、日本人の耳にも非常に馴染みやすく、聴きやすいアルバムに仕上がっている。『テイク・ケア』(2011年)あたりがツボだったリスナーには、間違いない。

 先行シングルとしてリリースされた「ホットライン・ブリング」(最高位2位)の、ドレイク独特のユルい感覚が所々に散りばめられていて、冒頭の「キープ・ザ・ファミリー・クロース」や、「リディムション」、「ファイア&ディザイア」あたりが、それにあたる。

 一方で、アルバム・チャートと同時に、ソング・チャートでも、次週首位獲得が期待されている「ワン・ダンス」のような、ポップ・カルチャーを意識したダンスホールもあったりして、これは、今年2月から9週にわたりNo.1をマークした、リアーナとのコラボ曲「ワーク」のヒットから、ヒントを得たのではないかと思われる。そのリアーナがゲスト参加した「トゥ・グッド」も、彼女が得意とするレゲエっぽいサウンドに仕上がっている。

 また、デビュー曲「ベスト・アイ・エヴァー・ハッド」のようなポップ・サウンドも充実していて、「フィール・ノー・ウェイズ」や「コントローラ」などは、非常に聴き心地が良い。ドレイクの強みは、ラップのみならず、こういった歌モノも柔軟に熟せることだ。だからこそ、ラップ・ファンのみならず、幅広いファンを獲得することができる。もちろん、本業であるラップ・ソングもアルバムの軸となっているので、ご安心を。

 ゲストには、リアーナの他、「ワン・ダンス」に参加しているウィズキッドやカイラ、ドレイクの<OVOサウンド>に所属する、パーティネクストドア、レゲエ・アーティストのポップカーンの名前も、サンプリング・アーティストとしてクレジットされている。故ピンプ・Cを起用しているのも、ニクい演出だ。プロデュースは、ドレイクを中心に、フォーティやボーイ・ワンダが務めている。

 90年代ファンにとって違和感なく受け入れられたのは、その横ノリ・サウンドがナインティーズっぽいだけではなく、DMXやメアリー・J・ブライジ、ビーニー・マンにブランディなど、90年代を彩ったアーティストたちの楽曲を、サンプリング・ソースとして使用していること。当時は70年代のファンクなどが使用されていたが、2010年代のヒップホップ・シーンでは、90年代のナンバーが使われるようになったというのも、時代の移り変わりを感じ、感慨深い。

 パッケージ(CD)は5月6日にリリースされ、まだまだセールスが伸びそうなドレイクの新作『ヴューズ』。2016年を代表するヒップホップ・アルバムであることは間違いないが、2017年の【グラミー賞】でも、今年のケンドリック・ラマー同様に、最多ノミネート作品として話題をさらいそうな気がする。それほど、完成度の高い作品だ。

Text: 本家 一成

◎「Hotline Bling」MV
https://youtu.be/uxpDa-c-4Mc

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