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La’cryma Christiのメジャー1stアルバム『Sculpture of Time』は今聴いても発見の連続の名盤!

La’cryma Christiは2017年にメジャーデビュー20周年を迎える。2007年に解散して以降、一時的に再結成。2012年にはメジャーデビュー15周年を記念したアニバーサリーツアーを開催したが、また何らかの動きがあるのでは?と密かに期待している人も多いだろう。メンバーのHIRO(Gu)とSHUSE(Ba)はAcid Black Cherryを始めとする数々のサポートミュージシャンとしてもお馴染み、KOJI(Gu)は自身のバンドであるAlvinoで活動中、LEVIN(Dr)もAlvinoやHAKUEIのサポートを務めるなど、現在もシーンで活躍し続けている。ビジュアル系全盛期の1997年にメジャーデビューを果たしたLa’cryma Christiは、デビューの翌年にはシングル「With-you」がヒットし、「未来航路」がオリコンチャートの3位となる大ヒットを記録。ビジュアル系に位置付けられていたが、実は日本が生んだ才気あふれるプログレッシヴロックバンドだったとも言える。そんな彼らの名盤と言えば、代表作となったヒット曲が収録されたメジャー2ndアルバム『Lhasa』も素晴らしいが、“なんだ? このバンドは?”と世の中に衝撃を与えたという意味でも、名曲揃いという意味でもメジャー1stアルバム『Sculpture of Time』ではないだろうか。今、聴いても古くなっていないどころか、TAKAのヴォーカル、演奏、アレンジメントのセンスと完成度の高さに驚きと発見の連続である。
『Sculpture of Time』(’97)/La'cryma Christi (okmusic UP's)

1990年代後半のビジュアルシーンとLa’cryma Christi
音楽のジャンルでは括れないビジュアル系という定義がお茶の間にまで浸透し、一般週刊誌などに特集されるようになったのがLa’cryma ChristiやMALICE MIZER、SHAZNAなどがブレイクした頃だろう。数多くのバンドが出現し、TVの音楽番組にも出演していた時代。あれから約20年の月日が流れた今もビジュアル系と呼ばれるバンドは多く存在しているが、違うのはこの時代、そして、それ以前のアーティストが自分たちのことをビジュアル系だとさほど思っていなかったことかもしれない。世間的にはひと括り的扱いをされていた感もあったが、ほとんどのバンドが音楽はもちろん、ライヴでのパフォーマンス、衣装、見せ方は異なっていた。かぶっていたら世に出てこられなかった時代だったとも言えるし、バンド側も自分たちにしかできない音楽を確立しよう、楽曲を生み出そうとする意識とプライドが非常に高かった。
1994年にTAKA、HIRO、KOJI、SHUSE、LEVINの5人が揃い、大阪を拠点に活動していたLa’cryma Christは“誰も見たことのないキリストの涙の色をステージと楽曲で表現したい”というビジョンを持つバンド。洋楽ロックと東洋のオリエンタルな音楽の要素を掛け合わせたような複雑でいてメロディアスな楽曲を世に送り出した。家にいながらにして世界を旅させてくれる錯覚に陥る歌詞の世界、テクニカルでありながら歌心も持ち合わせている楽器陣の表現力はデビュー当時からかなりの水準に達しており、『Sculpture of Time』にも6分を超える楽曲が2曲も収録されているが、まったく飽きさせないドラマチックな曲に昇華しているのに唸らされる。アクの強いプレーヤーたちを従えるのに相応しいTAKAのハイトーンヴォーカル(ポップなメロディーを活かす声質)がLa’cryma Christiの強力な武器であることは言うまでもないが、こんな浪漫あふれるアジア発のプログレロックバンドはもう出現しないだろうと思う。

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