29歳経営者が考える読書のメリットは「○○○○の速度を上げられること」

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29歳経営者が考える読書のメリットは「○○○○の速度を上げられること」

普段本を読んでいて、ふと「なんのために自分は本を読んでいるのか」と考えるときがある。楽しむため、仕事のため、いろいろ思い浮かぶが、これというものはない。ただ、なんとなく血肉になっているという実感はある。

そうした理由をはっきりと言えるのが、読書を推薦する経営者だ。M&Aに関する事業を行う会社を経営する正田圭さんは、中学生のときに起業し、29歳になった今では資産10億円以上を築いている。そして、その血肉になったのが500冊以上のビジネス書を読破したという読書量だという。

正田さんの自伝的な著書である『15歳で起業したぼくが社長になって学んだこと』(CCCメディアハウス刊)にもたびたび本のタイトルや読書にまつわるエピソードが登場する。正田さんへのインタビュー後編では、経営者としての正田さんに迫りながら、読書についてのお話をうかがった。「本を読むメリット」についてどう回答したのか?

(新刊JP編集部)

■「お金を持ったら近寄ってくる人たちがいる」

――この15年間で、ご自身で成長されたと思う部分はなんですか?

正田:だいぶ打たれ強くなったと思います。資金繰りに苦しんだことも過去に何度かありました。胃を掴まれているような想いでしたね。そういう意味では先ほどお話した、年商35億円くらいの会社を吹き飛ばしたときは、精神的にきつかったですよ。白髪が増えましたから。

――22歳の時のお話ですね。

正田:そうです。それまで仲が良かった人たちが、資金繰りが苦しくなると一気に態度を変えてきますし、お金を持ったらまた態度を変えて急に近寄ってきたり。経営者はそういう人間関係のストレスが大きいと思います。

――人間不信になりそうです。

正田:どこで聞いたのか分からないけれど、私が企業を売却した直後に、不動産や金融商品を売りつけてくる人もいますね。

――お金は人を変えますね。

正田:お金に振り回されてしまう人と、そうではない人、2種類いると思いますが、お金に振り回されてしまう人が大半だと思います。

■「この分野でどこまで自分の力を発揮しているかが楽しみ」

――正田さんは現在、M&A事業を展開する会社を経営されています。その業界の中において、正田さんのご経歴はかなり独特なのではないですか?

正田:M&A業界で事業を行っている人は、金融機関出身だったり、外資系証券会社出身だったりという方々がファンドを設立して参入するというのが基本ですから、私のようにそういったバックボーンがなく、全てを自己資金で運営するというケースはかなり珍しいと思います。

――現在、業界内で正田さんはどのような立ち位置にいらっしゃるのでしょうか。

正田:立ち位置というものはありません。実は業界の人同士の接点があまりないので、それぞれが自分の案件を探しています。

ビジネスモデルとしては、経営難だったり後継者不足だったり、何かしらの問題を抱えている会社を買収し、その会社に何かしらの付加価値をつけたり、業績を良くしたりして、3年から5年ほど保有して売却し、利益を出すというものです。だから、一つの案件が平均して3年から5年がかかるので、同業の人たちをあまり意識していない部分があります。

――今後、正田さんがやっていきたいことはなんですか?

正田:私はこのM&Aという仕事がとても好きです。自分の経営能力に依拠するところが大きく、能力が上がればより大きな案件、社会的に意義のある案件を手掛けられるようなるので、しばらくはこの分野でどこまで自分の力を発揮しているかというところを楽しみたいと思っています。

――非常にストイックな姿勢ですね。まさにアスリートの発想です。

正田:例え業績が上手く上がっていても、このままその通りにいけるわけがないですから。今回、このような本を出版することになりましたが、確かに資産10億円といった数字だけを見れば私は富裕層になるのかもしれません。でも、常にお金持ち状態でいられるわけではありませんし、お金を失うときもあります。

ただそういう状態とは関係なく、仕事のやりがいをM&Aに感じています。そこはお金のあるなしに関わらず、変わりたくないところですね。

■実務経験だけでは学べないことを読書で補う

――この本の中で正田さんは読書、特にビジネス書を読むメリットやデメリットについて言及されていますし、本の紹介も率先して書かれています。非常に共感を覚える内容だったのですが、改めて本を読むメリットについて教えていただけますか?

正田:やはり実務経験だけでは学べないことはたくさんあります。会社の経営をしていて複式簿記を自然に体得できるかといったら、それは無理です。座学で学んだほうが効率が良いんですよね。

これは税務会計も、経営理論もそうです。また、知識や教養といった大学でしか学べないようなことも勉強するには、本はすごく良いと思いますね。ビジネス書の中でも、特に専門的な内容の本は情報収集の速度を上げてくれる効果があります。

――経営に携わっている方は、読書家が多いイメージがあります。

正田:実際のところは、本が大好きでいつも読んでいるという人と、読んでも役に立たないから読まないという二者に分かれますね。これについては、どちらが良いかということではなく、それぞれのスタイルがあってその上で読むか読まないかを決めているのだと思います。

ただ、「読む」という行為は仕事をする上で必要不可欠です。例えば仕事に関する資料を読む。そのときに普段から「読む」ことを訓練していないと、そこに書かれていることがうまく理解できなかったり、読むのが遅くなってしまったり、ということがあります。そうすると、成果に大きな影響が出ますよね。

情報収集のスピードや理解する力はビジネスにおいてのメリットになります。知らないことを学ぶのも、ビジネスの練習になると思うのですね。そういう意味では、本を読むメリットは非常に多いのかなと思います。

――正田さんはどのようにして本を選んでいるのでしょうか。

正田:私の選び方は、芋づる式で読むという方法です。今、読んでいる本に出てきた本ですとか、登場人物を検索してみて、その人物が本を書いていたらそれを読むというような形ですね。そういう読み方をしていくと、一つの事象を複数の視点から捉えられるようになるんです。

また、何かのノウハウを手に入れたいと思った時は、「逆から読む」という読み方をしています。逆とは、「立場」のことです。例えば銀行からお金を借りるための勉強をしたいと思ったら、お金を借りるためのノウハウが書かれている本ではなく、銀行員に向けに書かれた、お金の融資業務や貸出業務についてのノウハウ本ですね。こうすることで貸す側の視点に立つことができます。

――視点を増やすということですね。

正田:貸している側の心理ですとか、何を基準しているのかを学ぶことは必要だと思いますね。「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」という孫子の言葉もあります。

―― 同じ視点のままですと、ずっとその視点でしか考えられなくなってしまうんですよね。

正田:本棚には性格がよく出ますよね。その人の本棚を見たら、だいたいはその人にどんな知識があって、どんな能力があるのかが分かります。

■生々しい起業のリアルを知れる一冊

――本書はどのようなことを伝えようと思って執筆されたのですか?

正田:起業のリアルさを伝えたいと思いました。失敗についての記述が多いのも、リアルを書こうと思ったからです。そういったところから生々しさを感じてもらって、参考にしてもらえたら嬉しいですね。

社長というと、華やかなイメージがありますよね。だけど、実態は全然違います。私の社長としてのスタートは4畳半のボロアパートでしたし、もちろん自動車で迎えに来てくれる人もいませんから。

――本書をどのような方に読んでほしいとお考えですか?

正田:特に自分が何をやりたいのか分からない人に読んでほしいですね。私自身、やりたいことがあったから起業をしたわけではなく、「お金持ちになりたい」という一心でスタートして、お金に振り回されながら、挫折や失敗を通して、自分のやりたいことを見つけていきました。そこに至る経緯をこの本に書いています。

この本を読んでいただいて、自分の手元にあることを頑張るなかで、やりたいことに気付く方が、一人でも増えたら、私としてはこの本を書いた意味があったのではないかと思います。

(了)

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