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黒猫チェルシー『グッバイ』インタビュー

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シンプルで、とても力強い。ソリッドな演奏に乗せて歌い手のエモーションが溢れてくる一方で、どこか懐かしく、胸を締め付けられる切なさもある──。黒猫チェルシーが2016年2月にリリースした「グッバイ」は、そんな新境地ともいうべきバラードだった。2007年に神戸で結成され、その3年後にメジャーデビュー。ライブシーンでは高い人気と評価を獲得しつつ、ここ数年なかなか作品を世に問えなかった彼らにとって、本作は文字どおり“勝負作”だと言えるだろう。ありったけの思いを込めたシングル曲は、どのように生まれたのか。東京でのワンマン公演(3月27日、新代田FEVER)を間近に控えた4人組が、その舞台裏と未来にかける気持ちを率直に語ってくれた。

 

──久々のシングル曲「グッバイ」。熱い気持ちがストレートに伝わってきました。待ちわびていたファンも多かったと思うのですが…。

渡辺大知(Vo)「2年前に『Cans Of Freak Hits』というベスト盤を出した後、僕たち、しばらく曲がリリースできない時期が続いてたんですよね。そこからレコード会社との契約がいったん終了し、現在のレーベルへ移籍が決まるまではある種の模索期というか。自分たちの音楽の『一番美味しい部分』をどうすれば表現できるか、ライブを重ねながらずっと考えていました」

──その間も、曲はずっと作りつづけていたんですか?

渡辺「はい。ただ、前みたいにリリースに合わせてノルマ的に作るんじゃなくて。足を運んでくれたお客さんに対して、バンドの持ち味がシンプルに伝わることをより意識して作るようになりました。今回の『グッバイ』はいわばその結晶やと思うんです。言ってみれば勝負作なので(笑)。今の僕らの気持ちとか黒猫チェルシーの温度感が、とにかくストレートに出たものにしたかった。で、メンバー4人で話し合って、『じゃあミドルテンポのロックバラードでいこう『』と決めたんです」

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──まず4人で大きな方向性を相談して、そこから具体的な制作に入ったわけですね。普通バンドって、リリース期間がに空きすぎると不安になると思うんです。でも黒猫チェルシーに関しては、音源を発表できない期間もバンドのコンディションは決して悪くなかったと。

澤竜次(G)「原点を見つめ直すという意味では、むしろプラスになった気がしますね。もちろん、せっかく良い曲ができてライブも盛り上がってるのにリリースに結びつかないタイムラグ感は歯痒かったけど。でもこの2年間、ステージはコンスタントに重ねてこられたし。何よりバンド内の意識とかモチベーションは前より高いところで保てていたので」

岡本啓佑(Dr)「演奏の数をこなすなかで、自分たちがどんどんタフになっていってる実感がありました。客観的には崖っぷち的な状況だったかもしれないけど(笑)。不思議なくらい焦りは感じなかった」

──むしろ裸になったことで、迷いが吹っ切れた。

澤「だと思います。以前はけっこう、シーン全体における立ち位置とかも気にしてたんですよ。たとえば2012年のセカンド・フルアルバム『HARENTIC ZOO』では、僕らなりに思いきってポップ・ミュージックのフィールドに切り込んでみました。プロデューサーさんとがっつり組みゲストミュージシャンもたくさん迎えて。新しいことにいろいろチャレンジした。それはそれで達成感があったし、いいアルバムが作れたって今でも思ってます。ただ正直、これが本当に自分たちのやりたい音楽なのかって疑問はあったんですね。いまは完全に逆。音楽シーンでどのポジションにいれば目立てるかとかは一切気にせず、自分たちが今いる場所で堂々と立ってようと思えるようになりました。ライブを通じてそう信じられるようになったのは、大きな変化でしたね」

──宮田さんはいかがですか?

宮田岳(B)「僕も、うーん……ざっくりそんな感じ」

渡辺「『ざっくりそんな感じ』って(笑)」

宮田「いやいや(笑)。ちょうどその前後から、メンバー各自のバンド外活動も広がっていったでしょう。渡辺が俳優として顔を知られるようになったり、啓ちゃんも映画『日々ロック』に出たり。あとはそれぞれ、黒猫以外のバンドにサポートで参加したりね。自分たちのライブと並行して、そうやって4人がいろいろ新しいことをやってたのも、振り返ってみればよかったんじゃないかなと。大人として成長できたっていうか…」

岡本「たしかに。外で音楽をやることで、黒猫の強みを再認識できたところはあったよね。僕たち、バンドをやるために集まった人材じゃなくて、もともとが地元の友だちなんで。僕らにしか出せない演奏の瞬発力とかグルーヴって、やっぱりあるんですよ。この数年、基本に立ち返ってライブを重ねるなかで、そういう瞬間もたくさん経験できた。だから今回のシングルみたいにド直球のバラードも、自信を持って出せたのかなと」

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──改めて自分たちの原点を見つめ返してみて、黒猫チェルシーというバンドの「一番美味しい部分」ってどこだと思います?

澤「やっぱり……土着的なところじゃないですかね。シンプルなロックを演奏しても、どっかブルースっぽい匂いがするというか。ギターの演奏でいうと、フレージングについついコブシを利かせてしまったり」

渡辺「よく指摘されるけど、年齢のわりに泥臭いねんな(笑)」

宮田「まぁ、十代の頃から洋楽のブルースロックとかハードロックのカバーをずっとやってきた仲間なんで。そのクセはどうしても抜けない。この数年間、ライブの本数を重ね、バンドとしての一体感を実感すればするほど、そういう地肌の部分が強く出てくる感覚はありましたね」

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