「歴ドルは4人から3人に減りました」 歴ドルの裏事情を聞く

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「歴ドルは4人から3人に減りました」 歴ドルの裏事情を聞く

「もし、歴史上の人物がラジオ番組のレギュラーになったら?」

という、ありそうでなかったインターネットラジオが誕生した。その名も「タイムマシーンRADIO by 歴史Web2.0」だ。構成作家を務めるのは、「オードリーのオールナイトニッポン」など数々の名ラジオ番組を手掛けてきた藤井青銅さん。

「歴史をより身近に」という想いから、『【悲報】本能寺で何かあったらしい……光秀ブログ炎上中! 歴史Web2.0』(日本文芸社刊)のスピンオフとして生まれたこの企画に、なんと「歴ドル」として活躍中の小日向えりさんが参戦! 大坂夏の陣の直前の淀殿、清少納言をライバル視する紫式部、そしてジョン万次郎に英語を教えてもらいながら自著『いざ、真田の聖地へ』(主婦と生活社刊)をアピールする本人役を演じている。

収録直後のお二人を直撃したインタビュー後編では、「歴ドル」をテーマにお話に切り込んでいく!
(取材・文・写真/金井元貴)

■歴ドルは減った? 今の歴ドル事情

金井:実は小日向さんには2009年に、この新刊JPニュースでお話をうかがったことがあります。そのときのインタビューで、「たぶん、歴ドルは4人くらいいると思います」という話をされていたんですが、今はどのくらい増えたんですか?

小日向:今は3人ですね(笑)

藤井:あ、減ったんだ。

小日向:ちょうどその頃、歴女や歴ドルという存在が流行りはじめた頃で、(歴ドルが)あと一人歴ドルが必要な場面で、歴史が好きなフリーアナウンサーの番組が成り立たないみたいな話があって(笑)、歴史が好きなフリーアナウンサーの方がむりやりその枠に入れられて…みたいなこともあったんです。でも、その方は歴ドルとは名乗っていないので(笑)。

金井:減ってしまったんですね。

藤井:それは増やさないと。「歴ドルセブン」とか作らないとね。

小日向:増えそうな感じはするんですけどね。

藤井:でも、ライトに歴史が好きな人はいますよね。

小日向:歴史が好きというアイドルは多いけれど、「歴ドル」とまでは名乗りませんよね。「鉄ドル」は結構名乗っていらっしゃる方がいるんですけど。

藤井:でも、よく聞いてみると、「鉄」もライトな人が多いですよ。「歴」もライトだけれども、どんどん名乗ればいいのにね。「歴ドルライト」みたいな。

全員:(笑)

小日向:「ソフ歴」ですね。

藤井:ハードを高くしちゃうと、入りにくくなっちゃうんですよね。

小日向:確かに「歴史アイドル」というと、すごくハードルが高くなりますよね。

藤井:歴史に詳しくないといけないんだろうなあとか。

小日向:鉄道もハードルが高いんじゃないですか?

藤井:鉄道は細分化しているから。歴史もそれでいいんじゃないかと思うんですよ。

小日向:確かに歴史も細分化していますからね。

「歴ドルは4人から3人に減りました」 歴ドルの裏事情を聞く
■「歴ドル」になるには、まず自分で「歴ドル」と名乗ろう

金井:「歴ドル」同士でつながりはあるんですか?

小日向:イベントとかでご一緒することが多いですね。特に美甘子さんとは「歴ドル」の活動を始めた頃から共演することが多くて、今でも同じ番組に出演することがあります。

金井:歴史の情報を交換することはあるんですか?

藤井:歴史の情報の交換って、それじゃ学会じゃん(笑)

小日向:でも、歴史業界といえばいいのか分からないんですけど、歴史好きで集まることはあります。先日も幸村のご子孫にあたる真田徹さんと、作家の井沢元彦さんと、仲の良い歴史好きの女優さんと、歴史を語る会をしました。あとは、御茶ノ水に歴史好きが集まる「レキシズルバー」というお店があるのですが、そこに友達と一緒に行ったり。

金井:どんな会話をするんですか?

小日向:例えば、私が今、紙甲冑がすごく欲しくて、紙甲冑を頼むとしたらどのお店がいいかを聞いたりとか。

藤井:それを作っているところが複数あるの(笑)?

小日向:あるんですよ。

金井:歴史の解釈をめぐって喧嘩になることはないんですか?

藤井:学説の違いで。

小日向:あまり好みの領域がバッティングしないので喧嘩にはなりませんね(笑)

金井:もし「歴ドル」になろうとしたら、まず何をすればいいのでしょうか。

小日向:まずは「歴ドル」を名乗ることですね。肩書きを先につければ、後からついてくるものもあると思いますし。歴史が好きだけでは「歴ドル」とは言わない気がします。今って自分から「アイドルです」と名乗る時代だから、自分から言うなり、誰かから「歴ドルだね」と言われないとなれないと思います。

藤井:さっきも言ったけれど、ライトでも「歴ドル」と名乗っていいと思うんですよ。どんな人も学者に比べれば足元にも及ばないわけですから。少しくらい詳しいくらいであれば大丈夫だと思います。あとは、歴史が好きじゃないといけませんよね。

小日向:確かに!本当に好きな気持ちがないとダメですよね。

藤井:好きじゃないと、いくら詳しくても心が入らないですから。

小日向:そうだと思います!

藤井:好きであれば、多少間違えていることを言っても良いと思うんですよ。知識は浅くてもね。

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■「人が動いたから歴史が作られた。逆にいえば、僕らは今、歴史を作っている」

金井:これからの歴ドルについて、どのような役割を担っていくべきだとお考えですか?

小日向:今までは、「こんなに歴史が好きな女の子がいるんだ」ということを面白がってもらっていた部分があると思うんですけど、ただ面白がられるところから階段を上がって、歴史に興味がない人やちょっと興味がある人に、もっと歴史に楽しんでもらうための間口を広げられたらいいなと思っています。

藤井:まさに伝道師ですね。

金井:青銅さんは歴史を知ることの意味や面白さについてどうお考えですか?

藤井:僕は歴史の本を何冊か書いていて、その全ての本の「まえがき」に同じことを書いているんです。それは、歴史上の人物が歴史を作ったわけではなくて、僕らと同じように、お金儲けをしたかったり、女の子にモテたかったり、イケメンをつかまえたかったり、というような人たちがやったものが、結果的に歴史になっているということで、そう思うと歴史に対する見方が変わりますよね。逆にいえば、僕らも今、歴史を作っているってことじゃないですか。100年後、200年後に「当時、歴ドルのすごい女帝がいた」となるかもしれないんですよ(笑)

全員:(笑)

藤井:今は、歴史が好きで、歴史の楽しさを人々に伝えている女の子がいるというだけのことだけど、100年後の未来ではそれ自体が歴史上の出来事になっているかもしれない。それと同じで、僕らは歴史を今から切り取って見ているから、歴史上の人物たちを「すごい人だな」と思うけれど、そういうことではないんですよね。

小日向:そうですよね。

藤井:みんな一生懸命生きているんですよ。

金井:では、お二人それぞれの本の読みどころを教えてください。

藤井:僕の本は歴史を知るための入り口なので、ぱらぱらとめくって「ハハハッ」と笑ってもらえれば。あとは日本史の流れが分かると思うので、ぜひ読んでほしいですね。

金井:ひたすら作り込んでいますよね。

藤井:無駄に作り込んでますからね。

小日向:私の本は、真田一族がもともと好きな人もそうですし、大河ドラマなどで興味を持って、初めて真田ゆかりの地をまわってみようと思っている人に、参考にしてもらえると嬉しいです。実際に私が行って、道に迷ったり、苦労したりした部分も書いているので(笑)、ガイドブック代わりに使ってもらいたいですね。史跡ってただ行くだけでは、あまり楽しめないので。

藤井:そうなんですよね。思い入れがないと何も面白くない。

小日向:背景とかを知らないと、ただ石があるだけみたいになってしまうこともあるので(笑)。

藤井:思い入れがあれば石1個、木1本でも感動して見られるからね。

小日向:そうなんですよ。その場所で何があったかという歴史的背景を知っているかどうかで見方ってすごく変わるので、ぜひ読んでいただいて、真田愛を高めて行ってもらえると、よりいっそう楽しくなると思います。

金井:ありがとうございました!

(了)

■小日向えりさんプロフィール
1988年生まれ。奈良県出身。横浜国立大学教育人間科学部卒業。歴ドル(歴史アイドル)の草分け的存在。信州上田観光大使の他、関ケ原観光大使や会津親善大使も務める。

■藤井青銅さんプロフィール
山口県出身。第一回「星新一ショートショートコンテスト」入選を機に作家となり、その後、脚本家・放送作家としての活動に入る。歴史関係の著書も多く、本 書の旧版である『歴史Web』(日本文芸社)や、『「超』日本史』(扶桑社)、『笑ふ戦国史』(芸文社)、『1時間でパッとわかる なるほど現代世界史』(静山社)、『日本人はなぜ破局への道をたどるのか?』(ワニブックス)などがある。

■「タイムマシーンRADIO by 歴史Web2.0」
https://www.youtube.com/channel/UCTCG54a0L38jNbO76g1QKnQ

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