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Album Review: コルシカ島の無伴奏コーラス=ア・フィレッタの斬新な世界観を垣間見れる傑作『カスッテリ』

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 世にも神秘的な歌声。そういうと、ブルガリアン・ヴォイスやグレゴリアン・チャントなどを思い浮かべるかもしれないが、地中海に浮かぶコルシカ島のア・フィレッタもその仲間に加えておきたい存在だ。男声のみで構成された無伴奏コーラスは、少しエキゾチックなメロディやハーモニーに彩られている。新作『カスッテリ』は、そんな彼らの魅力が目一杯詰まっているのだ。

 1978年に結成されたというア・フィレッタは、1981年にレコード・デビュー。基本的には歌声だけでアルバムを制作してきたが、同時に様々なコラボレーションも行っている。近作でいえば、バンドネオン奏者のダニエーレ・ディ・ボナヴェンチュラたちと組んだECMレコードからの諸作があるし、映画やテレビのサントラ、演劇やダンスといった舞台芸術でも重宝されている。

 この新作『カスッテリ』も、舞台やサントラで使用された楽曲がメインだ。しかし、寄せ集め的な印象は一切ない。高低の歌声を使い分けたハーモニーはとにかく、優しく、力強く、繊細で美しい。教会音楽のように聞こえる瞬間もあれば、曲によってはアラブ音楽の影響も感じられる。なかには、ポルトガルを代表する詩人フェルナンド・ペソアの作品をコルシカ語で歌ったり、影響を受けたというグルジアのポリフォニーを取り入れるなど、果敢な挑戦を行っているのが彼ららしい。

 たんに、コルシカ島のローカル音楽にとどまらない活躍ぶりを見せるア・フィレッタ。『カスッテリ』は、その斬新な世界観を垣間見れる傑作なのだ。

Text: 栗本 斉

◎リリース情報
『カスッテリ』
ア・フィレッタ
2015/11/15 RELEASE
2,700円(tax incl.)

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