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自動車業界にLOVEビーム!?イタリア人女性マーケティング部長が語る「愛あるブランドの作り方」

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男性管理職の多い自動車業界で「イタリアの太陽」と呼ばれ、異彩を放っている女性がいる。FCAジャパン株式会社のマーケティング本部長、ティツィアナ・アランプレセさんだ。FCAジャパン株式会社は、3つの販売チャネル「アルファ ロメオ/フィアット」、「クライスラー/ジープ」および「アバルト」を通し、5ブランドの個性豊かなモデルを国内顧客に提供している。

幼少期から日本の文化や慣習に感銘を受け、ナポリ東洋大学で日本政治学を専攻後、九州大学大学院経済学部を卒業。2010年には、イタリアと日本の交流や発展に寄与した人物に対して贈られる「イタリア共和国功労勲章」をイタリア大統領より受賞した。

そこにいるだけで場がパッと明るくなり、エネルギーに満ち溢れてくると評判のティツィアナさんの人生訓は”Be myself(ありのままに)”だ。有名無名問わず、数々のアーティストやNPO団体と組み、国境、人種、宗教、性差などありとあらゆる垣根を越えたユニークなプロジェクトを実現。自動車のプロモーションやブランディングを次々と成功させている。人と人の想いをつなぎ、社会をもっと笑顔にしたい。その“LOVE”に満ちた仕事観や人生観について聞いた。


意思決定の軸は“インナー・ピース(心の中の平和)”

これまでのキャリアで大事にしてきたことは「インナー・ピース(心の中の平和)」です。管理職に就く以前から、インナー・ピースを軸に意思決定をし、行動することを続けてきました。何か物事を決めなければならないときに、それは自分の幸せになるか、他者の幸せになるか、数年後も正しいと思える選択であるかなど、ありとあらゆる角度から自分のインナー・ピースと向き合います。そうすることで、最終的に「後悔しない選択」ができると信じています。

他者や自分を傷つけたり、欺いたりする可能性のある指示に対しては、たとえ上司の命令でも、はっきりと「NO」と伝えてきました。それにより一時的な衝突を引き起こすことがあったとしても、自分が毅然とした態度で主張すれば最後はリスペクトされ、互いの理解が深まることのほうが多かったように思います。無論、熾烈な競争の中で、ふと自分だけの利益を考え、高圧的な態度を取ってしまう人も中には存在します。けれど、どんな人にも根底には良心が存在しますし、悪いことや人を傷つけることはインナー・ピースに反しますから、本当はやりたくないはず。その良心に訴えかけ、「NO」を言うことは大切です。それによって一時的に出世が遅れ、ここに至るまでに遠回りしたこともあったかもしれませんが、自分のインナー・ピースに背いてストレスを抱えたり、誤った選択をして後悔しながら生きたりすることに比べたら他愛もないことでしょう。自分を好きなまま、他者も好きなまま、「LOVE」の気持ちを膨らませ続けられる人生のほうがよほどハッピーです。

とはいえ、中にはどうしても人を育てられない、部下の自尊心を傷つけてしまう、そんな状態にある上司にめぐりあうこともあるでしょう。そういうタイプの上司に出会ったら、早めにラインを引くことです。そして、何かを主張したいときは、同僚にも協力してもらう。特に若い世代のビジネスパーソンは、上司の言葉をすべて真剣に受け止めて、ダメージを受けやすい傾向がありますからサポートが必要ですし、私もサポートしていきたいと思っています。

ビジネスの世界では立場や業績がとても重視されます。もちろん、野心を燃やすことや目標を達成することは大事ですし、よいことですが、それが行き過ぎるとストレス過多となり、ハッピーにはなれません。インナー・ピースとハピネスは因果関係があるため、自分のことだけを考えた野心やアチーブメントでは幸せになれません。ですから、目標を設定するときは、自分のフィロソフィーを軸としつつ、プラネット(他者との関係)を考えることが大切ですね。というのも、自分の心の中のフィロソフィーやクリエイティビティとプラネットの結びつきを考えていくことは、インナー・ピースやハピネスとそのまま直結するからです。


LOVE TEAM, LOVE BRANDING,LOVE MARKETING

私が自動車業界に飛び込んだ頃は、風通しがよい環境とは決していえませんでした。「強い男性がステータスのために所有するもの」といった自動車のイメージは、いまだ根強く残っています。

だからこそ、自分が理想とするマーケティングを実現できる立場になってからは、ポジティブ志向の「LOVEブランディング」を絶対に広めたいと考えました。

LOVEといっても、華やかなハートマークだけがLOVEではありません。本当のLOVEには責任がつきものです。相手のことを思って、誤っていることは誤っていると指摘することもLOVEに入ります。だから、私は自分のチームに対してすごくシビアですよ。

LOVEブランディングに必要なことは、自分の自由を尊重し、相手の自由も尊重することです。ダイバシティの尊重、ユニークネスの尊重があるからこそ、その過程がどんなに大変でも、すばらしいプロジェクトになるのです。

LOVEの輪を広げるために、私たちのチームはポジティブな情報もネガティブな情報も共有するようにしています。情報の循環を増やすことは、他者を理解し、他者とつながるLOVEマーケティングにとってとても重要です。

エレベーターで見知らぬ人と笑顔で記念撮影!「Smile Project」

Smile Project」とは、朝一番の出勤時に、エレベーターの中で見知らぬ人に声をかけてスマイルで写真を撮る非常にシンプルなプロジェクトです。イタリアでは外でも、オフィスでも、“CIao!(チャオ)”と、知らない人同士でも声を掛け合うのが普通なので、それを日本でも実現できたらよいなと思いつき、続けています。

当初、このプロジェクトは私ひとりで始まりました。1日の始まりをスマイルでスタートさせたいというシンプルな気持ちからエレベーターの中の姿見に映る自分のセルフィーを撮って、Facebookに載せ続けました。その数ヶ月後、ふと思い立って乗り合わせた人に声をかけるように。中でも初対面の人と撮るのが一番楽しいです。

一見簡単そうに思われるかもしれませんが、これがなかなか大変なんです。私のオフィスは24階で、その前に降りてしまう人も大勢いるから、せいぜい6秒くらいしか時間がなく、その6秒が勝負。たった6秒の間に「はい、私はスマイルプロジェクトを今からやります。すごく楽しい。やりましょう」と言いきって、相手の許諾を得て、シャッターを切らなければなりません(笑)。

▲ティツィアナ・アランプレセさんのFacebookの画像

断られることもありますが、大概は皆、快く受け入れて、スマイルで応じてくれます。中にはリピーターがいたり、宅配便のお兄さんがいたり、清掃員の方がいたりと、サプライズも多いです。日本人はあまりオープンじゃないなどと言いますが、全然そんなことはありません。ちょっとのきっかけさえあればスーパークレイジーに対応してくれます。

このプロジェクトを通して実感したことは、誰もが「ほんのちょっとのきっかけ」を待っていて、欲しているということです。だとしたら、You have to give a chance to everyone (チャンスは皆に平等に与えなきゃ)でしょう。自分自身がちょっとの勇気をもって動くことで、自分も周りも自然とスマイルになり、ハッピーになれる。そんなアイデアがあるなら出し惜しみすることなく、どんどん共有して、広めていくべきだと思います。

取材・文 山葵夕子 写真 ヒダキトモコ

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