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『独裁者と小さな孫』モフセン・マフマルバフ監督インタビュー 「質問の答えは我々が見つけなければいけない」

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カナダで亡命生活を送るアフガニスタン人ジャーナリストが家族を救うために危険を冒して故郷に向かう『カンダハール』をはじめ、数々の傑作を送り出しているイランの巨匠、モフセン・マフマルバフ監督。その新作で、架空の国の独裁者が失脚し孫と逃亡の旅に出るストーリーが各国映画祭でも絶賛を受けている『独裁者と小さな孫』が、2015年12月12日より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町などで公開されています。
2005年に検閲の圧力に抗議しイランを離れ、現在はロンドンとパリを拠点にしているマフマルバフ監督ですが、シリアなどの難民が欧州各国に入るという情勢の最中に来日。独占インタビューに成功しました。映画の内容ばかりでなく、日本を含めた世界情勢や、自身の映画製作に掛ける信条についても話が及びました。その一言一句に刮目してご覧下さい。

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ーー今回の『独裁者と小さな孫』では、現実世界ではなく、架空の国の寓話のようなストーリーになっています。その意図からお聞かせ頂けますでしょうか?

マフマルバフ監督(以下、M):最初は9年前、アフガニスタンの独裁者の話を描こうとしていたのですが、その後イランの反政府運動があり、さらに“アラブの春”があって、少しずつ脚本に手を入れていろいろなものを足していったのですけれど、最終的には一つの地域に限らず、どの国の人が見ても自分たちの国のことの映画だと見えるものにしようと思いました。これは、もしかして日本かもしれないし、他の国かもしれない。100%ではないかもしれないけれど、自分たちの国を見るような映画にしたかったのです。

ーー特にアフガニスタンのカブールと、“アラブの春”に着想を得て脚本が書き直されたとお聞きしています。どのような要素が加えられていったのでしょうか?

M:主に3つのことについて脚本を直しました。まず、最終的に幅広い人に見てもらうために、一つの国のサインを消そうと思いました。その上で、どの国の独裁者に似ていないキャラクターにしなければいけない。見ていてある国の独裁者だと特定できないようにしました。3つめは政治的な目で見ていた脚本を社会的な目線に変えようとしたのですね。そうすればモデルになる。モデルになれば、いろいろな国の状況が説明できると思いました。

ーー冒頭、アーチのような明かりの中を車で進んでいく夜のシーンからはじまり、老独裁者が幼い孫に「明かりを消す」ように命令させるシーンからはじまります。一見では幻想的で美しい情景ですが、同時に独裁者の怖さも感じられるように思いました。

M:まず、最初にたくさんの明かりを見せることで、あとから街中の明かりを消す暗闇の感覚が入らない。ものすごく明るい街だと見せるために車を走らせたのですが、ここで賑やかな平和な豊かな街だと感じるのではないでしょうか。その後、ラジオが流れてくると幸せに生活しているのだと思わせる。その後のシーン、すべての街の明かりを消すことで、独裁者の権力を感じることができる。冒頭の5分ですべてを説明できるのです。

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ーーもう一つ、作品で印象的だったのが、独裁者が孫に声を荒げるシーンがほとんどなく、バツの悪い質問に対しても淡々と答えている姿でした。

M:この孫の存在でいろいろ語りたかったのです。この孫は、大統領の純粋な子ども時代でもあるし、この子どもが大人になった時にもしかして独裁者になるのかもしれない。あと、孫はいろいろ質問をしますが、答えは大切ではないのですね。質問が大切なのです。孫は見る側の代表として質問を投げているのです。それは我々が答えを見つけなければならない。暴力は何か、拷問は何か、暗殺は何か……。私達に聞かないといけないのです。本当に私達の生活の中で必要なのか、と。

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記者:

乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。

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