古くから山に伝わる「猿酒」ってどんなお酒?

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野山に住む猿たちは秋の満月の夜、熟れた山ぶどうを岩屋木の穴などに詰め込んで発酵させ、次の満月の晩に再び集まって酒盛りをする。江戸時代の書物にはそんな「猿酒(さるざけ)」の伝説が記されています。

猿酒とは果実が自然に発酵してお酒になったもの、つまり果実酒のこと。洋の東西を問わず、かつて森や野山に緑が満ちていた時代は完熟した果実をかためて置いておくと、山中で繁殖している天然酵母が付着し、糖分がブツブツと発酵して簡単に酒ができたのだそう。つまり、猿の手を借りなくても、果実酒は自然発生的にできる場合が少なくなかったのです。

江戸時代には薬として大流行

江戸の人々は風邪が流行る冬に備えて、秋のうちからせっせと果実酒作りに精を出していました。食に関する百科事典ともいえる『本朝食鑑』によると、当時の人々は手の込んだ色とりどりの果実酒を薬酒(くすりざけ)として健康のために飲んでいたのだとか。代表的な薬酒としては、ぶどう酒、つまりワインを筆頭に、桑の実で作る桑酒、みかん酒、ヤマモモで作る揚梅酒、ライチの仲間であるリュウガンから作る龍眼酒、スイカズラから作る忍冬酒など、現代に負けず劣らずさまざまな果実を漬け込んでいたことが文献からわかっています。

縄文人も果実酒を飲んでいた

さらに時代を遡ると、縄文時代の人々も果実酒を飲んでいたであろうことがわかっています。縄文中期の遺跡から多数発掘されている大型の樽状土器は、中から山ぶどうやガマズミ(スイカズラ科の赤い果実をつける樹木)の種子が見つかっており、酒造りに用いられていたという説が有力。さらに縄文後期の発掘品として、とっくり型の土器やカップ状の土器なども見つかっています。縄文人も一日の終わりには山ぶどう酒やガマズミ酒を土器に注ぎ、仲間同士で楽しく飲んでいたのかもしれませんね。(TEXT:料理サプリ編集部)

参考文献:『大江戸食べもの歳時記』 永山久夫 新潮文庫

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