Album Review: 『ザ・ビートルズ1』 なぜコンピ盤がここまで世界的に評価と人気を得ているのか?

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Album Review: 『ザ・ビートルズ1』 なぜコンピ盤がここまで世界的に評価と人気を得ているのか?

 すでに大きな話題になっており、ビルボードジャパン“Hot Albums”チャートでも堂々の1位を獲得したビートルズの『ザ・ビートルズ1』。ポピュラー音楽史に頂点に位置するアーティストが、英米で1位を獲得した楽曲のみを集めたコンピレーション・アルバムだ。もともとは2000年にリリースされたアルバムで、現在までに3000万枚以上もの売り上げを記録している。そしてこのたび、リニューアルされての再発売となった。

 リニューアルといっても、大きな変化がいくつかある。そのひとつが、新たにミックスをし直しているところ。ビートルズのプロデューサーだったジョージ・マーティンの実の息子であるジャイルズ・マーティンが担当。アナログ・マスターを掘り起こし、モノラルの初期3曲以外はすべて新規のステレオ・ミックスに生まれ変わっている。原曲の発表当時は、技術上カヴァーできなかった楽器の定位や臨場感といったものが自然な形に置き換えられ、ビートルズが本来表現しようとしていた世界を見事に再現できているといっても過言ではない。とくに、「イエスタデイ」や「エリナー・リグビー」といったアコースティック系のサウンドの美しさには驚かされるだろう。ぜひ全曲お手持ちのライブラリーと聴き比べてもらいたい。

 そして、今回の目玉が膨大な映像だ。もともとビートルズは、映像を多数残している。プロモーションビデオを作り始めたアーティストの先駆けとも言われるくらいだ。しかし、これまでライヴや映画作品以外で、こういった映像をまとめられることがなかった。そのことだけでも快挙なのだが、今回の商品化にあたり、アップル・レコードは18人の技術者チームを結成。フィルムの一コマずつ手作業で修復していったそうだ。そのため、まるでたった今撮影されたのではないかと思うくらい、クリアな映像ばかりが飛び出してくる。それぞれの楽曲について書き始めるとキリがないが、ライヴ映像やスタジオのシーンだけでなく、ロンドンの街を馬で闊歩する「ペニー・レイン」のようなキャラクターが伝わる映像も見もの。CDと同じ27曲が映像になっているということも嬉しい。

 また、映像に関してはオプションがあり、デラックス・エディションではさらに23曲の映像を追加。オルタネイト・ヴァージョンなど楽曲のダブりはあるが、いずれにしても貴重な映像であることは間違いない。ちなみに、今回の『1』は、CD、DVD、Blu-ray、アナログLPのアイテムがバラや組合わせによって多数の形態で発売されている。どれを選ぶかはもちろん自由だが、できることならフルで音源も映像も楽しんでいただきたい。ビートルズはオリジナル・アルバムが本領という意見もあるだろうが、なぜここまで世界的に評価も人気を得ているのかは、本作さえあればよくわかるはず。リアルタイムで聴いていたオールド・ファンも、初めて聴くという若いリスナーも必携の作品なのだ。

Text: 栗本 斉

◎リリース情報
?『ザ・ビートルズ1』 SHM-CD&DVD 
27曲の音源+同27曲のプロモーション・ビデオ
3,980円(期間限定)

?『ザ・ビートルズ1』 SHM-CD&ブルーレイ
27曲の音源+同27曲のプロモーション・ビデオ
4,980円(期間限定)
 
?『ザ・ビートルズ1~デラックス・エディション』 SHM-CD&2DVD
?に23曲のビデオが入ったボーナスDVD付
8,800円(初回生産限定) 

?『ザ・ビートルズ1~デラックス・エディション』 SHM-CD&2BD
?に23曲のビデオが入ったボーナスBD付
9,800円(初回生産限定)
  
?『ザ・ビートルズ1』 DVD 
27曲のビデオ 3,900円    

?『ザ・ビートルズ1』 ブルーレイ
27曲のビデオ 4,900円
   
?『ザ・ビートルズ1』 SHM-CD
2,600円

2015/11/6 RELEASE

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