中古住宅購入者の4割以上が利用する「建物検査」とは

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中古住宅購入者の4割以上が利用する「建物検査」とは

不動産流通経営協会(FRK)は、2015年版の「不動産流通業に関する消費者動向調査」の結果を公表した。それによると、中古住宅(既存住宅)の購入にあたって住宅保証や建物検査(インスペクション)などを利用した人が44.6%もいたという。詳しく見ていこう。【今週の住活トピック】
不動産流通業に関する消費者動向調査<第20回(2015年度)>結果の概要を公表/不動産流通経営協会(FRK)既存住宅の購入にあたって、何らかの建物検査を実施した割合は44.6%

FRKの調査は、首都圏で2014年4月から2015年3月に、購入した住宅の引き渡しを受けた世帯を対象に、マイホームの取得行動などを調査したもので、回答数は1083世帯、内訳は新築住宅購入者が394世帯、既存住宅(いわゆる中古住宅)購入者が689世帯となっている。

まず、「住宅購入にあたって探した住宅」について聞くと、新築住宅購入者では、「新築住宅のみ」を探した割合が54.6%と過半数を占め、次いで「主に新築住宅」の27.2%が続いた。一方、既存住宅購入者の場合、最多割合は「新築・既存にはこだわらなかった」の48.9%で、「主に既存住宅」(23.7%)、「既存住宅のみ」(20.9%)を合わせると、既存住宅を候補に入れて探した割合は93.5%となった。この割合は、年々増加する傾向にある。

次に、既存住宅購入者に対して、なんらかの建物検査を実施したかどうか聞いたところ、44.6%とほぼ半数が建物検査を受けていることが分かった。この割合は、既存マンション(40.1%)より既存一戸建て(54.5%)のほうが高くなっている。

【図1】住宅購入にあたっての建物検査※の実施状況(既存住宅購入者)/出典:不動産流通経営協会「不動産流通業に関する消費者動向調査(2015年度)」 ※不動産会社等による建物保証及び「既存住宅売買かし保険」の利用にあたって実施された検査、ならびにそれ以外におこなった民間の建物検査(ホーム・インスペクション)

【図1】住宅購入にあたっての建物検査※の実施状況(既存住宅購入者)/出典:不動産流通経営協会「不動産流通業に関する消費者動向調査(2015年度)」
※不動産会社等による建物保証及び「既存住宅売買かし保険」の利用にあたって実施された検査、ならびにそれ以外におこなった民間の建物検査(ホーム・インスペクション)建物検査は3タイプ。そのうちの住宅保証の検査って?

ここで聞いた「何らかの建物検査」とはどういったものか見ていこう。
現在行われている建物検査には、3タイプある。不動産会社などによる住宅保証のひとつである「建物保証」で行われるもの、「既存住宅売買かし保険」に加入するために行われるもの、個別に民間の「建物検査(ホームインスペクション)」を依頼して行うものだ。

まず、最近特に大手不動産会社で増えている「住宅保証」について、説明しよう。これは主に、不動産会社が売主および買主へのサービスとして行うもので、その会社の仲介で売買が成立した場合、一定の条件に合致する住宅については、建物の重大な不具合や住宅設備の不具合などを一定期間、一定額の範囲まで補修費用を負担するもの。このサービスを付帯する際に、検査が行われる。

ただし、各社によって保証する期間や額、対象エリアや対象物件などに違いがある。また、建物保証のみの場合と住宅設備保証のみの場合、両方用意している場合などがある。建物保証の場合は、保証する額が多いこともあって専門の検査機関による検査が行われることがほとんどだ。

あくまで不動産会社独自のサービスなので、提供されていないサービスは受けられないし、すべての既存住宅で利用できるわけではない点を押さえておこう。

FRKの調査結果では、住宅保証を利用した人は41.4%。内訳は、「建物保証と住宅設備保証の両方」が14.5%、「建物保証のみ」が18.7%、「住宅設備保証のみ」が8.2%なので、建物検査が入る建物保証の利用割合に限れば、33.2%ということになる。

【図2】不動産会社等による住宅保証の利用状況(既存住宅購入者)/出典:不動産流通経営協会「不動産流通業に関する消費者動向調査(2015年度)」

【図2】不動産会社等による住宅保証の利用状況(既存住宅購入者)/出典:不動産流通経営協会「不動産流通業に関する消費者動向調査(2015年度)」かし保険やホームインスペクションの建物検査は、費用負担が必要

「既存住宅売買かし保険」は、検査と保証がセットになった保険で、引き渡し後に基本構造などで重大な不具合が見つかった場合、その補修費用を保険でまかなうもの。保険に加入できるのは、個人の既存住宅の売主や買主(予定者含む)が費用を負担して依頼した場合。また、検査機関の検査で一定の性能を満たしていない住宅の場合は、加入を断念するか、耐震改修等を行ってから加入をすることになる。

リフォーム済み中古住宅の場合で、売主の不動産会社などがこの保険に加入していることもあり、その場合は買主に費用負担はないが、個人で加入する場合は費用負担が生じる。このためか、FRKの調査結果では、「既存住宅売買かし保険」の利用割合は8.7%しかなかった。

また、一般に知られるようになった民間の建物検査、いわゆるホームインスペクションは、検査員が建物のコンディションを診断し、レポートするものなので、どんな既存住宅でも行うことができるし、売主・買主どちらも依頼することができる。ただし、検査費用の負担が必要となる。

FRKの調査結果では、ホームインスペクションの実施率は、15.2%。内訳は、「すでに売主がおこなっていた」が12.9%、「売主に依頼して、売主負担でおこなった」が0.3%、「買主負担で、売主に依頼しておこなった」が2.0%。売主が費用負担している割合のほうが多いことから、売主側の積極的な姿勢がうかがえる結果となった。

さて、調査結果を見て、築年数の古い住宅を購入する場合、何らかの建物検査を行う事例が多いことに驚いた。ただし、FRKは不動産仲介の大手や中堅の会社が会員の団体なので、住宅保証サービスを行っている不動産会社も多い。中古住宅購入の全体像では、これだけ建物検査を利用している割合が高いことはないだろう。

重要な構造・給排水管などの状態を確認することは大切。不具合が生じた場合の改修費用が多額になることに加え、なかなか素人には分かりにくい場所でもある。建物検査がさらに普及することが望まれる。
元記事URL http://suumo.jp/journal/2015/11/11/100404/

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