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新しい住まいのカタチ[5] 中川淳一郎さん〜理想は小屋暮らし〜

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「ウェブはバカと暇人のもの」「夢、死ね!」などの著作を持ち、編集者・PRプランナーとして活躍する中川淳一郎さん。家を所有することにまったく興味はなく、現在は都内の賃貸で暮らしています。恋人でない異性との共同生活、学生寮、築50年の風呂無しアパートなど、破天荒な住まい遍歴、そして夢の地方暮らしや理想の住まいについて聞いてみました。【連載】
家を買うか借りるか、住むなら都心か地方か。永遠のテーマともいえる’住まいのあり方’を考える連載です。ひと昔前までは、「郊外に庭付き新築一戸建てを買う」という、住まいのアタリマエがありました。でも、ひとり暮らしや夫婦共働きが増え、都心部ではタワーマンションが建設ラッシュ。一方で、地方移住が関心を集めていたり、古民家リノベが注目されたり。住まいのアタリマエは時代とともに変わり、そしてひとつである必要もありません。この連載では家を買うor借りる、住むのは都会か地方か、その暮らし方について、識者のみなさんと探っていきます。付き合っているわけではない女性と同居、学生寮。強烈な20代の住まいの思い出

「ひとり暮らしをはじめたのは、社会人になってから。数人の知人と飲んでいたときに、”引越ししたい”とオレが言ったら、そこにいた女性が”私もしたい”と言う。すると、別の女性が”じゃああんたたち一緒に住んでしまえば?”と薦められたのがきっかけです。”そうすっか””そうしよう”ということで、女性の知人といっしょに恵比寿のマンションで暮らしはじめたんです」と中川さん。その女性とは付き合っていたわけではなく、「仲の良い友人の一人です」とのこと。暮らしてからも異性関係にはならず、同居する間柄。しかしなぜか中川さんが家賃を全額負担していたそう。

「1年くらい経過したときに、もう1人いっしょに暮らしたいという女性が出てきて、3人で住むことになったのですが、彼女たちが勝手に新しい家を契約してしまったんです。でも、オレの希望エリアではなかったので、じゃあ、いっしょに住めないねとなりました。
恵比寿の部屋は解約の予定だったので、どうしようかと考えていたら、ある日、自転車便で荷物を会社に届けに来たヤツがたまたま知り合いだった。彼は東大の駒場寮の花見で知り合ったA君だったのですが、”まだ駒場寮住んでるの?”と聞いたら”はい、そうです”と言われたので、”じゃあオレも住んでいい?”と聞いたら”いいですよ”と言われ、それで彼が暮らしていた、東大の駒場寮に住むことになりました」(中川さん)と、今度もありえない方向から、住まいの話が舞い込みます。

なお、当時(1999年ごろ)の寮費は6500円。東大の敷地内にあるためアクセスは抜群ですが、築60年を超す建物。当然ながら風呂はなく、必要なときは運動部のシャワーで済ませていたとか。

「もともと一橋大学在学中から、京大吉田寮に入り浸っていたこともあり、他人との共同生活は苦にならないほう」という中川さん。しかし、寮は相部屋が基本。「1部屋に1人で暮らすとなると、電気やガスが使えなかったので、オレが入ることでようやくA君も電気が使えるようになった。彼はずっと電気ナシで生活していた。でも、彼が実は中退していたことがバレて寮を追い出されてからは電気は止められたのでオレも電気ナシ生活に突入した。ただし、電気代負担がなくなり寮費は5000円になった」と当時を述懐します。

今から考えれば相当無茶な話ですが、当時は自治学生寮として、管理がおおらかだったからこそありえたのでしょう。ただし、その後、事態はまた急展開。学生寮が東大との廃寮・存続をめぐる裁判に敗れ、学生寮は明け渡しを命じられ、数百人のガードマンによる強制執行が行われることに。

「裁判に負けたことは分かっていたので、キチンと住まいを借りなければと思い、今度は、都心で築50年、風呂無し共同トイレの家賃3万円のアパートを契約しました。無職だったので極力安い家賃にしたくて」といいますが、その後もワケアリ物件での暮らしが続きます。

【画像1】ひとり暮らしをはじめて、現在8軒目の住まい。「別に引越し好きではないが、騒動に巻き込まれて引越してきただけ」と笑う(写真撮影:片山貴博)個性的な住まい暮らしも、ネタのうち?

家賃3万円と格安ながら、おんぼろアパートには奇妙な住人がたくさんおり、「共同便所からはいつもぐでんぐでんに酔っ払ってる無職のオッサンがいきんでる声が聞こえたりとか、隣の家に住む大家のおばあさんと、そこを訪れるおじいさんの行為の声が聞こえるんですよ。あとは謎の空手家が『キエーッ』とか言っているとか、そんなヤツばかり。もうほんと早く引越したかった。ダハハ」といいながらも、懐かしそうに話す中川さん。

その次は、個性的なオーナー婦人(通称・紫ババア)が所有するアパート、賃貸の一戸建てでの同棲生活と、中川さんの話は続いていきます。人生の転機になったのは、現在借りている、都心にほど近い住宅街に引越してきたことだそう。

「同棲していた婚約者が亡くなったこともあり、心配した友人が近所に引越して来いといってくれたんです。この周辺は神社がたくさんあるから、パワースポットだとかいわれて。運気が上がるぞ、って。そんなことまったく信じていなかったんですけど、結果的に引越してきたあとで、著書を出したり、仕事が好転したりと、一気に人生が開けた感じですね」と振り返ります。

とはいえ、それまでどうして「かなり個性的な住まい」ばかり選んでいたのでしょうか。

「広告代理店の勤務時代は、お金はありましたが、他の同僚と同じように家賃20万円の住まいに暮らしたところで、別にネタにならないし、おもしろくもなんともない。その後、無職になってフリーランスになってからは単純に金がなくて、安い家に暮らしたかったというのが大きな事情です。やっと収入が安定するようになってからも、少し安い物件を借りていたんですが、やっぱりすべてワケありでした。家は安さで選ぶと、ロクなもんじゃありません」と笑います。

しかし、たとえ家賃が安くても郊外に住むことはしたくなかった、といいます。

「フリーランスにとっては、打ち合わせに行きやすい、来てもらいやすいということも仕事の一部なんです。30分のミーティングに呼ばれてすぐに行けるエリア、そこは譲りたくなかった」そう。現在は1年間に1日しか休みをとらないほど、仕事中心に生活が回っていて、毎日、仕事場の一部で寝ている、中川さんにはそんな感覚なのかもしれません。

【画像2】「家賃3万円のアパートはスラムのようでした」というが、話す姿はどこか楽しそう(写真撮影:片山貴博)あと5年で引退。夢は地方での小屋暮らし

現在は、徹底的に働いている中川さんですが、それもこれも、すべて「あと5年で引退する」という目標のため。しっかり働いて貯金をつくり、あとは悠々自適で暮らしたいそう。

「引退後はまず2年くらいアメリカで生活してみたい。翻訳の仕事もしてみたいですし。ウェブで日本のバカをさんざん見てきたので、アメリカのスケールの違うバカを見に行きたいんです。それもニューヨークやボストン、シアトルのような都会ではなく、南部の田舎で、本物のアメリカングレートゴージャスバカに会ってみたい」といいます。その後、日本に戻ってきたら、都会ではなく地方で生活したいそう。

「移住候補で考えているのは、愛媛県、兵庫県豊岡市、それから長崎県、宮崎県とかかな。大きなクワガタがいそうなところです。あとは、すっぽんを捕まえて、それを売って収入を得たり、黄ニラをつくって販売したい」と突拍子もない(?)プランが続きます。

「仕事でやりたいことはやり尽くしていますし、家が欲しいといった物欲はまったくないんです。余計なものを背負いたくないし、自分の住まいの理想は、”起きて半畳寝て一畳”。シンプルな小屋暮らしがいい。あとはキャンピングカーとかで、各地を転々とするのもおもしろそう」と中川さん。ウェブの人間模様を切る鋭い視点は、共同生活の濃い関係を見つめてきたからこそ、培われたものなのかもしれません。

【画像3】「黄ニラやすっぽんは高く売れるんですよ」と、将来の野望をうれしそうに話す(写真撮影:片山貴博)
元記事URL http://suumo.jp/journal/2015/10/22/99023/

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